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職員ら、県内施設の不審者対策強化へ 佐賀

佐賀新聞 8月6日(土)11時48分配信

 相模原市の知的障害者施設で起きた殺傷事件を受け、佐賀県内の施設で不審者の侵入に備えて対策を強化する動きが出ている。5日には事件後初めて、佐賀県警が協力した訓練が鳥栖市の障害者支援施設で実施されたが、入所者が本物の事件と勘違いしないように細心の注意を払う。そもそも、こうした施設が目指してきたのは「地域に開かれた施設」。危害を加えようとする部外者の侵入は想定しておらず、関係者からは戸惑う声も漏れる。

 「入らないで」-。侵入を試みる不審者役の男性を、男性職員3人がはしごで食い止め、警察官が駆け付ける時間を稼いだ。鳥栖署が5日、障害者支援施設「若木園」(鳥栖市)で実施した訓練。施設では毎月、火災に備えた訓練をしているが、不審者対応は初めてで、職員たちは迫真の演技に圧倒されていた。

 対象は職員に絞り、入所者の避難誘導はなかった。藤田晃園長は「重い知的障害の人が実際の事件と思い込み、パニックになってはいけない」と説明した。

 県内には障害者支援施設が22カ所あるが、障害の特性によって、非常時への備えが難しい側面がある。

 知的障害児28人が生活するくろかみ学園(武雄市)は年3回、夜間に避難訓練をしている。7月の訓練では点呼を終えるまで約10分。夜は職員が少なく、自力で歩けない児童の移動で数回往復するため、昼間の約2倍の時間を要した。永尾忠博施設長は「非常時であっても、大声で呼び掛けると混乱する子もいる。声の掛け方を含め日頃の積み重ねが重要になる」と話す。

 住宅街の中にある長光園(佐賀市)では重度の身体障害者53人が暮らす。事件後、職員から「夜勤が不安」という声が上がった。宮崎一哉園長は「刺股を準備したり、必ず鍵をかけたりして、できるだけ不安を取り除きたい」と話す。

 一方で「あまりに防犯を強化しすぎて施設が閉ざされては、障害者への理解も進まない」。施設の安全確保と、地域との共生のはざまで揺れる胸の内も明かした。

最終更新:8月6日(土)11時48分

佐賀新聞