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「ニュートリノ振動の発見」のその先に。ハイパーカミオカンデで目指す、超ドラマティック展開

ギズモード・ジャパン 8月6日(土)21時10分配信

偉業を経ての、さらなる偉業、達成なるか。

誰もが知り、憧れる、偉大なるノーベル賞。2015年、日本人が受賞した2つの賞のうちの1つが、東京大学の梶田隆章教授が受賞したノーベル物理学賞。

梶田教授は「ニュートリノ」を研究していましたが、同じく2002年に同賞に選ばれた小柴昌俊教授は、梶田教授の「師匠」ともいうべき存在です。

当時の報道では、ニュートリノやカミオカンデなどの言葉がよく聞かれましたが、それって何なのか、結局何がすごかったのか、恥ずかしながら私、よくわかっていませんでした。

しかしIBMのウェブメディア、無限大(mugendai)が、改めてそのすごさを解説してくれていました。さらに、達成のために現在進行形で進んでいる、とある超ドラマティック展開も知ることができましたよ。

小さな球体が無数に並ぶ、カミオカンデ。これは、岐阜県・神岡にあるニュートリノを観測するための施設の名前です。東京の日本科学未来館に模型の展示があるため、ご存じの方も多いかもしれません。

しかしこのカミオカンデ、最初は全然違う目的で建てられたのです。実はこれ、当初は「陽子崩壊」というものを観測するために作られたんですって。

陽子崩壊とは、それまで絶対に壊れることはないと考えられていた「陽子」が壊れるさまを確かめること。もしこれができたら、物理学上の大発見。

しかしこれには予想以上に時間が掛かり、待てど暮らせどその兆候は現れませんでした。その頃、研究室に入りたてで意欲に燃えていた梶田教授も、「だまされた」と思ったんだそう。

カミオカンデのプロジェクトはここで失敗となってもおかしくなかったのですが、そんなことで諦めないのが小柴教授。メンバーに「陽子崩壊がダメなら、ニュートリノを捉えてみようじゃないか」と提案したのです。それから現在に至るまで、世界をリードし続けている日本のニュートリノ研究は、この一言からはじまったのです。

ニュートリノは、電気を持たない小さな粒子のこと。あまりに小さすぎて、肉眼では見えず、何と人間の体や物も通り抜けてしまうほどなんだそう。何かが体を通り抜けるってちょっと想像つきませんが、とにかく、あまりに小さいため、存在することはわかっていても、誰もそれを確かめられていない状態だったのです。

しかし小柴教授のチームは、カミオカンデを改造して観測を開始。するとすぐに、16万年前に起こった「超新星爆発」の際に発生したニュートリノの観測に、世界ではじめて成功したのです。2002年、この業績が讃えられ、小柴教授らはノーベル物理学賞を受賞。

しかし、物語はまだ終わりません。

ニュートリノの存在は確認されましたが、その小ささゆえ、ニュートリノに「質量」があるのかどうかはわかっていませんでした。多分あるんだろうけど、小さすぎて測れなかった、という感じでしょうか。

そこで、カミオカンデより10倍以上大きな「スーパーカミオカンデ」が建設され、膨大なデータの収集と分析が開始されます。それから数年、梶田教授、それに先輩であった戸塚洋二教授らの猛烈な努力により、ついにニュートリノにも質量があることが証明されたのです。

これは物理学上の大発見となり、梶田教授は2015年のノーベル物理学賞を受賞。教授はその際の記者会見で、感謝する人物として、そして同時に受賞すべきであった人物として、2008年に亡くなった戸塚教授の名を挙げました。

スーパーカミオカンデは今なお稼働中で、宇宙からの貴重なデータを収集していますが、現在はそれをさらに超えた、「ハイパーカミオカンデ計画」が進行中。そしてこのハイパーカミオカンデの目的こそが、最初にできなかった「陽子崩壊」を観測することなんだそうです。

1983年にカミオカンデのプロジェクトが開始され、はや33年。物理学史上に残る数々の大発見を経て、再び最初の目標に挑むとは、何ともドラマティックな展開じゃないですか。

ニュートリノ、カミオカンデ、それに人類史に残る発見に邁進した男たちの物語は、無限大(mugendai)にもっと詳しく書かれています。

source: 無限大(mugendai)

最終更新:8月6日(土)21時10分

ギズモード・ジャパン