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PayPalとVisaが期間限定提携 1年間手数料無料

ZUU online 8月7日(日)7時10分配信

長年にわたりVisaと顧客獲得戦を繰り広げていたPaypalが和解の意を示しただけではなく、提携関係を結んで世間を驚かせてから半月が経過した。

手数料なしでPayPal Wallet決済にVisaカードが利用可能になるなど、消費者にとっては歓迎すべき動きであるが、発表と同時にPayPal株が下落するなど投資家には不評のようだ。

さらにはマスターカードとの提携関係の可能性も飛びだし、オルタナ(非銀行系)決済と従来の決済の壁が今、崩れ去ろうとしている。

■物理的ストア決済に動いたPayPalに不満の投資家

1998年のサービス開始以来、オルタナティブ決済の先駆けとして不動の地位を確立したPayPalだが、Visaを代表する従来の決済ブランドとの間に生まれた確執は、常々語り草となっていた。

PayPalはVisaに対抗する手段として、クレジットカードを利用したPayPal Wallet決済に手数料を課してきた。手数料を支払うのが嫌な消費者は、必然的に銀行口座とPayPal Wallet間の直接決済を選ぶという戦略だった。

今回VisaがPayPalに手数料を支払うことに合意し、PayPalがクレジットカード締め出し戦略を廃止する姿勢を示したことで、手数料に関する消費者側の負担は軽減される。

また米国ではVisaのコンタクトレス決済ポイントを通して、PayPalを利用することも可能になるなど、消費者の生活がより快適なものへと変わるだろう。

しかしこうした両社の歩み寄りが、投資家には受け入れられていないという点では、「報われない努力」といった感が否めない。

Visaの決済システムと融合して物理的ストア決済への進出を加速させることは、PayPalを主流に押し上げた「インターネット決済」の特性を弱めてしまいかねない。

結果的には「クレジットカードとやデビットカードと、何ら変わりない決済法になるのではないか」と、PayPalの先行きへの懸念が持ちあがるのも無理はない。

そうした不安感を反映し、発表翌日には株価が40.13ドル(約4065円)から37.42ドル(約3791円)まで下落。8月1日現在は、さらに37.06ドル(約3754円)まで落ちこんでいる。

■PayPalレディ氏 オンライン決済への固執を否定

これに対し、メディアの取材に応じたPayPalの製造・エンジニアリング部門の国際責任者、ウィリアム・レディ氏は、物理的ストア決済がいまだ市場の9割を占めている点を指摘。

「PayPalが入りこむ空間がある」と、これまでのオンライン決済のみに固執する必要性を否定している。

ユーザ数と取引総額の増加という重圧にさらされているPayPalにとって、新たな戦略が例え本来の方向性をねじ曲げる可能性を含んでいたとしても、試さずにはいられないといったところだろうか。

この提携関係に便乗するかたちで乗りだしてきたのは、Visaと並ぶ国際決済大手、マスターカードだ。

「PayPalと協力しあえるカード会社はVisaだけではない」と、アジェイ・バンガCEOがマスターカードも提携関係について協議中であることを明らかにした。

「VisaとPayPalの契約内容については関知しない」と前置きしたうえで、マスターカードは「PayPalに何かを強要しようというわけではない」と強調。

マーチャントや消費者、銀行、PayPal、マスターカードにとって、より透明性が高くオープンな環境を築くことを目的とする、「あくまで市場発展に向けた共同事業の提案」だという。

PayPalはマスターカードとの提携関係の可能性について、肯定も否定もしていないものの、「共通のビジョンを持って協力しあえる企業であれば、誰でも歓迎する」とのコメントを発表している。(FinTech online編集部)

最終更新:8月7日(日)7時10分

ZUU online