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母国でのオリンピック 滑り込み出場の女子選手が感じたこと

ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO) 8/7(日) 13:32配信

「私は入ったの!どんな入り方だろうが関係ない。誰もこの権利を奪い取ることはできないんだから!」。自国ブラジルで開催されるオリンピックで、112年ぶりに復活したゴルフ競技。最後の出場枠に滑り込んだビクトリア・ラブレイディ(ブラジル)は“情熱的なブラジル人”そのままの豊かな感情表現で、そのときを振り返った。

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オリンピックランキングが締め切られる直前の「全米女子オープン」で生まれた1つの物語。この試合で8位タイに入ったアメリカのジェリナ・ピラーは、世界ランキングを1つ上げて15位へと浮上した。アメリカ勢では3番手となるが、15位以内であれば最大各国4人までが出場できる。このピラーに押し出されて圏外に漏れたのがラブレイディだった。

「私は自分がやれることは全部やった。いろいろなことを犠牲にして、世界中を旅して(世界ランキング)ポイントも稼いだ。もし、ダメだったとしてもそれはOK。ゴルファーとして成長できたのだから。でも、まだ状況は変わるから待とうと思った」

約1年前、ラブレイディは友人であるオランダ人選手からこんな話を聞かされていた。「私たちの連盟は、世界ランク100位以内じゃないと、たとえオリンピックランキングに入っていても私たちを連れて行かないと言っている――」。7月11日に締め切られたオリンピックランキングに2人のオランダ人選手が含まれていたが、ともに世界ランキングでは100位に及んでいない。ラブレイディはその友人に電話をした。「本当に行かないの?もしあなたが行かなかったら、私が行くことになるんだけど!?」「行かない。それは、どうしようもないの」。

それでも、正式に発表されるまで信じるわけにはいかなかった。次週に行われるスコットランドでの試合に向けて荷造りをしていたが“念のために”オリンピック用の鞄にも荷物を詰めていたという。「でも使うかもしれないし、使わないかもしれないから、私の鞄じゃないような感じだった」

そこに1本の電話が掛かってきた。7月15日、ブラジルゴルフ連盟の広報担当からだった。「君のコメントが必要なんだけど?」と電話の主。「OK。何のコメント?」とラブレイディ。「君がどう感じているかについて。オリンピックメンバーに加わったことについてね」

「ちょっと待って」と断ってから電話機を置くと、ワーっと大声を出しながらバンザイをして家中を駆け回った。「もう少しで夫の首を絞めるところだったわ(笑)」。そして先ほどの鞄が目に入った。「今はもう私の鞄。大事にするわ!」

当然、昨夜の開会式は特別だった。午後5時に選手村の建物前にブラジルチームのみんなで集まると、そこからパーティは始まった。マラカナンスタジアム隣にある体育館で出番を待っている間にも「ブラジリアンミュージックが流れて、みんなで歌って、ダンスをして」と祭りは続いた。

ブラジルチームの入場は、選手団の最後だった。「入り口に近づくにつれて、段々騒音が大きくなって、多くの群衆が一緒に歩いて、みんなが同じ歌を歌っていた。ブラジル国中が一緒にいるように感じたの」とラブレイディ。「スタジアムに入ると、満場の観客がみんな叫び声を上げていた。サッカー選手がいつもどういう気持ちなのか分かったわ(笑)」

叫んで、歌って、ハグをして。「なんていう瞬間なの。私の人生の中でも最高の夜の1つ」。ラブレイディも自分を解放することを許し、その瞬間を祝っていた。すると、遠くから「ビクトリア!ビクトリア!」と自分の名を呼ぶ声がした。見ると、スタジアムの最前列に最愛の父の姿を発見した。

子供のころからヒーローだった。スポーツに導いてくれたのは父。どれだけ娘のキャリアのために自分の人生を犠牲にし、遠く離れて暮らす寂しい思いをしてきたかは分かっていた。「2人で抱き合って泣いたの。『私たちはついにやった!』って。完璧な夜だったわ」

サンパウロ出身の映画監督、フェルナンド・メイレレスが演出した開会式。「トーチは今までみた中で一番綺麗だったし、ショーも素晴らしかった。それにスピリット」とラブレイディ。「すべての国が平和に一緒にそこにいた。1人1人が違うこと、違う国から来て違う競技をやっていることを愛していた。みんなが尊敬し合い、スポーツをする人を愛し合っていた。それが最高の経験。世界がもっとそういうふうになってくれればいいと思う」。そのスピリットこそ、オリンピックが全世界に向けて発信するメッセージだ。(ブラジル・リオデジャネイロ/今岡涼太)

最終更新:8/7(日) 13:32

ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)

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