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「断らない救急医療」へ好発進 岡山市民病院、応需率95%超

山陽新聞デジタル 8月7日(日)9時26分配信

 「24時間365日断らない救急医療」を看板に、昨年5月に開院した岡山市立市民病院(北区北長瀬表町)。救急外来専属を含む職員は7月1日現在、旧市民病院だった2014年4月に比べ医師は24%、看護師らは30%増えており、15年度の救急応需率(救急車搬送受け入れ率)は前年度比7・8ポイント増の95・5%で、目標実現へ向けて好発進した。ただ、日中に医師2人が常駐する「3交代制」導入には医師は少なくとも3、4人の増員が必要で、人材養成など克服すべき課題がある。

 市民病院の医師は7月1日現在、常勤73人(14年4月65人)、非常勤52人(同36人)の計125人(同101人)。看護師などは常勤368人(同304人)、非常勤103人(同57人)で、合わせて471人(同361人)となっている。

 運営する地方独立行政法人「市立総合医療センター」は「医療の質を向上するためスタッフを増やした」と説明する。もっとも、非常勤の比率は医師は36%から42%へ、看護師などは16%から22%へ上がっている。

 ■施設面も充実

 このスタッフのうち「岡山ER」と位置付ける救急外来の専属スタッフは医師5人(救急専門3人、岡山大からの非常勤2人)と看護師など37人(常勤35人、非常勤2人)。外科や整形外科といった各診療科の医師も交代勤務のローテーションに加わっており、医師は1人以上が24時間常駐する「2交代制」で運用している。

 松本健五院長は「救急外来専属スタッフは将来的には増員する考えだが、当面は病院全体で支援する体制。診療科の垣根を越えた協力関係がうまく機能している」と話す。

 救急外来の充実は、施設の面で如実に表れている。専用スペースは旧病院の10倍近い約1400平方メートル。症状から医療対応の優先順位を決める「トリアージ室」1室と、経過をみる「観察室」7室は新設された。また専用のCT(コンピューター断層撮影)、レントゲン撮影機は各1台配備。処置室、診察室なども大幅に増えた。

 市立総合医療センターは「大きな事故などで大勢が救急搬送された場合でも、相当程度まで対応できる施設。大地震の発生時にはERで重症患者を受け入れる」とする。

 ■人材養成が急務

 医師を増員して3交代制へ移行するには、医業収益を増やして人件費を生み出す必要がある。15年度経常収支比率(100%超で黒字)は93・1%。開院前に示していた目標を2・5ポイント上回ったが、新たな支出増に対応する体力づくりが課題だ。

 専門医不足という壁もある。桐山英樹・救急センター長は「全国的に救命救急医の有資格者が少ない中、専門医配置は岡山大病院など高度な医療を担う3次救命救急センターが優先される。2次センターである市民病院での確保はハードルが高い。人材養成が急務」と強調する。

 こうした中で、市民病院は岡山大の寄付講座で、救命救急医や総合診療医の研修を実施している。1年目は研修医37人が受講し、救急救命士97人も受け入れた。桐山・救急センター長は「研修医に幅広い経験を積んでもらっている。救急医療を支える人材を育成したい」と意欲を見せる。

最終更新:8月7日(日)9時26分

山陽新聞デジタル