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オバマ氏所感に怒り 吟味せず…被団協・田中熙巳事務局長、評価反省

埼玉新聞 8/7(日) 10:30配信

 6日に式典が開かれた広島市の平和記念公園。今年5月、現職の米大統領として初めてオバマ氏が訪れた。被爆者代表として立ち会った日本原水爆被害者団体協議会(被団協)事務局長の田中熙巳(てるみ)さん(84)=埼玉県新座市=はオバマ氏の所感を聞いた直後、「被爆者の痛みを感じ取ってくれた」と評価した。しかし、「死が降ってきて」との表現に気付き、今は自身の評価を悔いている。「死は原子爆弾の投下によってもたらされたんだ」―。田中さんは「オバマ氏はもう一度、被爆地を訪れ、被爆者の声に耳を傾けてほしい」と訴えている。

■「死は原爆でもたらされた」

 「所感を吟味せずに褒めてしまった」。オバマ氏の訪問翌日、田中さんは反省の思いをパソコンにつづり始めた。

 5月27日、田中さんは前列から3番目でオバマ氏の言葉を聞いた。所感は通訳されたが、文面を確認することができないまま、記者の取材に応えた。オバマ氏が「道徳的な目覚めの始まり」と表現したことを評価。「核兵器は道義に反するという私の思いと一致した」と感じたからだ。

 所感の全文が載った新聞を開いたのはオバマ氏の訪問翌日。冒頭にあった「空から死が降ってきて世界が変わった」という言葉に怒りが湧いた。「被爆者として許せない。あの日、自然現象で『死が降ってきた』のではない。空から原子爆弾を落とされ、多くの人が地上で命を奪われた。原爆を投下した米国の大統領が言うべき言葉ではない」と強く批判する。

 7月に埼玉で開かれた県原爆死没者慰霊式。田中さんはあいさつで、オバマ氏の「死が降ってきて」という言葉に触れ、核兵器廃絶への具体的な行動の提起も決意もなかったとした上で、「被爆者から核兵器廃絶の声を届けることの重要性を改めて痛感させられた」と述べた。

 オバマ氏は所感で核兵器廃絶について、「私が生きているうちにこの目標は達成できないかもしれない」とも述べた。それでも、田中さんは諦めていない。「オバマ氏は核兵器の非人道性に触れ、道義的な革命の必要性を述べた。核をなくすため行動を起こしてほしい」と力を込めた。

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最終更新:8/7(日) 10:30

埼玉新聞

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