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沖縄の米軍基地への誤解はなぜ生まれる?

沖縄タイムス 8/7(日) 18:35配信

 沖縄の米軍基地に関する誤解やうわさがどのように生まれ、広まるのか-。反証本「それってどうなの?  沖縄の基地の話。」を県内の研究者らと執筆、作成した佐藤学沖縄国際大学教授(政治学)に話を聞いた。(聞き手=特別報道チーム・福元大輔)

 -4月に本を出版した。

 「3年前にある学生が、何もない場所に普天間飛行場を造った、と訴えてきた。私は戦前の航空写真を見せ、集落や役場があったと説明した。学生は『基地反対の人はひどいことをするとインターネットで見た。戦前の写真をCGでねつ造したと思う』と疑った」

 「なぜ基地内で墓参りする人がいるかなど説明は計4回、5時間にわたった。その後、米国の世界若者ウチナーンチュ大会で、別の学生が『普天間飛行場には何もなかった』と発言したことを知った。一人が理解しても、他の学生には伝わっていなかった。しっかりとした論拠を提示しないと、誤解やデマを信じたままになると思った」

 -なぜ誤解やうわさが生まれるのか。

 「歴史を詳しく知らないことが大きな要因だろうが、沖縄に基地が集中している事実から目をそらしたいという意識もある。基地のおかげで経済が潤っている、振興予算をもらっている、中国から攻められないなど、沖縄への基地押し付けを正当化する意図もあるように思う」

 -信じる人も多い。

 「一部の事実を捉え、沖縄は立派なことを言っているが間違っていることもあるじゃないか、という類いも多い。確かに問題を取り上げるのは重要だが、弱みにつけ込むだけで、本質を無視しているものもある。信じる人は、きれい事に辟易(へきえき)しているのだろう。きれい事はうさんくさいという風潮も影響している」

 -若者を中心に誤解が広まっている。

 「卒業や就職のことで頭がいっぱい。仕事に就けば、もっと忙しくなる。沖縄の人が沖縄の歴史を知らないでどうするのか、と言われてきたが、最近では意図的に歴史を知りたくないのではないか、と感じる。近現代史を知り、そこから巨大な権力に立ち上がろうとすると大変な作業が待ち受けている。知らずに、考えずに過ごした方がラクとなっていないか。6月の参院選で、20代とそれ以外の年代の投票結果が異なったことも分析する必要がある」

 -どのように伝えていくか。

 「広く参加者を募り、ワークショップを開いた。今の沖縄の状況が、自分の暮らしに、どうつながるか。一歩引いて、考えてほしかった。今後は、自治公民館単位で、勉強会などを重ねたい」

最終更新:8/7(日) 18:35

沖縄タイムス