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【7月米雇用統計】雇用者数は前月比25.5万人増。今後の持続可能性に疑問も、文句のつけようのない良好な結果

ZUU online 8月8日(月)13時50分配信

■結果の概要:6月に続き、雇用者数は市場予想を大幅に上回る増加

8月5日、米国労働省(BLS)は7月の雇用統計を公表した。非農業部門雇用者数は、前月対比で25.5万人の増加(*1)(前月改定値:+29.2万人)となり、前月は下回ったものの、市場予想の+18.0万人(Bloomberg集計の中央値、以下同様)を大幅に上回った。

失業率は4.9%(前月:4.9%、市場予想:4.8%)とこちらは前月に一致、市場予想は上回った。一方、労働参加率(*2)は62.8%(前月:62.7%)と2ヵ月連続の上昇となった。

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(*1)季節調整済の数値。以下、特に断りがない限り、季節調整済の数値を記載している。
(*2)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に対する労働力人口(就業者数と失業者数を合計したもの)の比率。
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■結果の評価:今後の持続可能性に疑問も、文句のつけようのない結果

7月の雇用者数が市場予想を上回る大幅な増加となったほか、過去2ヵ月分も上方修正された結果、過去3ヵ月の月間平均増加数は、19.0万人増と16年1-3月期の19.6万人増に近い増加ペースとなった。

このため、5月改定値の2.4万人増が異常値である可能性が高くなった。雇用者数は足元で順調な増加が続いていると言えよう。もっとも、米労働市場の回復が長期化していることに加え、完全雇用に近づいているとみられることから、今後も6月、7月の増加ペースを維持することは困難であろう。

一方、失業率は前月比に一致したものの、労働参加率の改善が続いているため、労働力人口は増加しており、労働需給の改善は持続していると判断できる。

時間当たり賃金(全雇用者ベース)は、前月比が+0.3%(前月:+0.1%、市場予想:+0.2%)と前月、市場予想を上回り、好調な結果となった。前年同月比では+2.6%(前月:+2.6%、市場予想:+2.6%)と、こちらは前月、市場予想に一致した。時間当たり賃金も労働需給の改善を背景に、漸く着実な伸びがみられてきている。

このようにみると、7月の結果は雇用者数が大幅に増加しただけでなく、労働需給、賃金ともに、労働市場が順調に改善していることを示しており、文句のつけようのない内容と言える。もっとも、雇用者数の増加ペースは持続可能なペースを上回っているとみられることから、来月どの程度鈍化するか注目される。

一方、7月の雇用統計の結果を受けた金融政策への影響については、限定的とみられる。FRBは7月の結果を受けて、労働市場の回復、消費主導の景気回復の持続性に自信を深めているとみられる。

もっとも、4-6月期の成長率が前期比年率+1.2%と低成長となったことから、7-9月期の成長加速を確認する必要があることに加え、BREXITの米経済への影響を見極める必要から、当研究所は、追加利上げは12月まで先延ばしすると予想する。

■事業所調査の詳細:広範な業種で雇用が増加

事業所調査のうち、非農業部門雇用増の内訳は、民間サービス部門が前月比+20.1万人(前月:+25.4万人)と、前月を下回ったものの、20万人超と好調を維持した。

サービス部門の中では、大手通信会社の従業員ストの反動で前月に大幅な増加となった情報関連が前月比横這い(前月:+4.2万人)となったほか、小売が+1.5万人(前月:+2.6万人)と伸びが鈍化したものの、専門・ビジネスサービスが+7.0万人(前月:+5.3万人)、医療サービスが+4.3万人(前月:+3.9万人)と前月から伸びが加速した。

財生産部門は、前月比+1.6万人(前月:+0.5万人)と2ヵ月連続で増加した。資源関連は▲0.6人(前月:▲0.8万人)と雇用の減少は持続しているものの、製造業が+0.9万人(前月:+1.5万人)と2ヵ月連続でプラスとなったほか、建設業が+1.4万人(前月:▲0.3万人)と、前月から増加に転じた。

最後に、政府部門は前月比+3.8万人(前月:+3.3万人)と、前月から伸びが加速した。内訳をみると連邦政府が+0.3万人(前月:+0.6万人)と前月から伸びが鈍化したものの、州・地方政府が+3.5万人(前月:+2.7万人)と前月から伸びが加速した。

前月(6月)と前々月(5月)の雇用増(改定値)は、前月が+29.2万人(改定前:+28.7万人)と+0.5万人上方修正されたほか、前々月も+2.4万人(改定前:+1.1万人)と+1.3万人上方修正された。この結果、2ヵ月合計の修正幅は+1.8万人の上方修正となった。

なお、BLSの公表に先立って8月3日に発表されたADP社の推計は、非農業部門(政府部門除く)の雇用増が+17.9万人(前月改定値:+17.6万人、市場予想:+17.0万人)となり、前月改定値、市場予想を上回った。

ADP社の統計は、過去3ヵ月に17万人台後半~18万人程度で安定した動きとなっており、雇用統計が大きく振れるのと対照的となっている。もっとも、過去3ヵ月の月間平均増加数は、ADP社が17.8万人増に対して雇用統計が19.0万人増と両統計の乖離は相当程度修正された。

7月の賃金・労働時間(全雇用者ベース)は、民間平均の時間当たり賃金が25.69ドル(前月:25.61ドル)となり、前月から+8セント増加した。週当たり労働時間は34.5時間(前月:34.4時間)と、6ヵ月ぶりに増加した。その結果、週当たり賃金は886.31ドル(前月:880.98ドル)と、前月から増加した。

■家計調査の詳細:労働参加率が2ヵ月連続の改善

家計調査のうち、7月の労働力人口は前月対比で+40.7万人(前月:+41.4万人)と、2ヵ月連続で大幅な増加となった。内訳を見ると、失業者数が▲1.3万人(前月: +34.7万人)と減少する一方、就業者数が+42.0万人(前月:+6.7万人)と大幅な増加になったことが労働力人口の増加に寄与した。

非労働力人口は▲18.4万人(前月:▲19.1万人)と、こちらも2ヵ月連続の減少となった。この結果、労働参加率は62.8%(前月:62.7%)と2ヵ月連続の改善となった。

失業率は4.9%と前月に一致したものの、就業者数が増加する中で非労働力人口が減少しており、職探しを再開して労働市場に再参入する人が増加した結果であり、労働需給の改善が持続していると判断できる。

次に、7月の長期失業者数(27週以上の失業者人数)は、202.0万人(前月:197.9万人)となり、前月対比では+4.1万人(前月:+9.4万人)と2ヵ月連続の増加となった。この結果、長期失業者の失業者全体に占めるシェアも26.6%(前月:25.8%)と、2ヵ月連続で前月から増加した。さらに、平均失業期間は28.1週(前月:27.7週)と、こちらも2ヵ月連続の悪化となった。

最後に、周辺労働力人口(195.0万人)(*3)や、経済的理由によるパートタイマー(594.0万人)も考慮した広義の失業率(U-6)(*4)をみると、7月は9.7%(前月:9.6%)と、前月から上昇した。この結果、通常の失業率(U-3)と広義の失業率(U-6)の差は4.8%ポイント(前月:4.7%ポイント)と、前月から+0.1%ポイント拡大した。

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(*3)周辺労働力とは、職に就いておらず、過去4週間では求職活動もしていないが、過去12カ月の間には求職活動をしたことがあり、働くことが可能で、また、働きたいと考えている者。
(*4)U-6は、失業者に周辺労働力と経済的理由によりパートタイムで働いている者を加えたものを労働力人口と周辺労働力人口の和で除したもの。つまり、U-6=(失業者+周辺労働力人口+経済的理由によるパートタイマー)/(労働力人口+周辺労働力人口)。
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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

最終更新:8月8日(月)13時50分

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