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KinKi Kidsの目を引くいびつさ、 2016年のトリックスター・RADIO FISHなど。7月のMステを定点観測!

M-ON!Press(エムオンプレス) 8月8日(月)18時37分配信

音楽ブロガー・レジーが、「ミュージックステーション」の放送内容を基に最新のJ-POP事情についてお届けする連載「月刊 レジーのMステ定点観測」。7月のMステは通常放送3回(8日、22日、29日)という平穏な1ヵ月でした。

スピッツのMVはこちら

ただ、スペシャル企画のないこういう月こそ、Mステ本来の魅力である「各アーティストのパフォーマンスがしっかり楽しめる」という部分を堪能することができます。まずは最近ちょっとしたブームになりつつあるこちらの話題からどうぞ。

■90年代が追いかけてくる(1):スピッツ

「90年代のJ-POP」というのが何となくのトレンドになっている最近の音楽シーン。若いバンドが20年以上前の音楽を下敷きにしたような音を鳴らしている今の状況はその当時ちょうど10代だった自分のような人間からするととても面白く感じるのですが、今月のMステにはその90年代を牽引していた存在がまだまだ元気であることを証明するようなステージがいくつもありました。

29日のMステに出演したスピッツは、7月27日にリリースされた15枚目のアルバム『醒めない』のリードトラックでもある「醒めない」を披露。いつになっても瑞々しさがなくならないスピッツというバンドは「日本の宝」と言っても大げさではないような存在になってきていると思いますが、今作『醒めない』は「どのアルバムも当たり前のように良い」という高いハードルを軽々越えてくるような本当に素晴らしい作品になっています。

この日演奏された「醒めない」も、ベテランバンドらしい安定したグルーヴを聴かせながらも跳ねるようなメロディラインは若々しさ満載。さらに“ロック大陸の物語”“さらに育てるつもり”なんて言葉が歌われる歌詞は「ここからもう一花咲かせてやろう!」というような野望に満ち溢れているようにも感じます。

メジャーデビュー25年目にして今後の活動がますます楽しみになってしまうわけで、スピッツが現役で活動している時代に日本の音楽を聴くことができているめぐりあわせに感謝せずにはいられません。


■90年代が追いかけてくる(2):KinKi Kids

22日に出演していたKinKi Kidsが披露したのは新曲の「薔薇と太陽」。1998年に「硝子の少年」でデビューしたふたりもすっかり大人になり、それと同時に各人が独自の世界を持ったグループに成長しました。

そんな様を表現するかのように、この日のフォーメーションは堂本剛がバンドをバックにギターを弾き、堂本光一がストリングス隊の前で4人のダンサーを従えて優雅にダンスを踊るという斬新なもの。

剛の膝の状態が悪いことから生まれた苦肉の策、という話もありますが、まったく方向性の異なるふたりが同じグループで活動していることのいびつさ、そしてそこに起因する有無を言わさぬ迫力が伝わってくる魅力的なステージでした。

「J-POP」というよりは「歌謡曲」と呼びたくなるような哀愁漂う(そしてその感じがKinKi Kidsにぴったりの)この楽曲は、作詞作曲が先ごろ再結成したTHE YELLOW MONKEYの吉井和哉、そして編曲は沢田研二「勝手にしやがれ」も手がけた船山基紀。

2016年になって「THE YELLOW MONKEY」という名前をこんなにたくさん聞くとは思いもしませんでしたが、90年代ブームの中で本家本元が復活するという展開には胸が熱くなるものがあります。

■90年代が追いかけてくる(3): YEN TOWN BAND

前回出演が1996年ということで20年ぶりの出演を果たしたのがKinKi Kidsと同じく22日に登場したYEN TOWN BAND。CHARAと小林武史によるこのユニットは、映画「スワロウテイル」に登場するバンドがそのまま現実世界でデビューしたもの。

その時の楽曲「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」のアナログで優しい質感の音と母性を感じさせる雄大なメロディは、小室哲哉によるハイテンションなダンスビートが世の中を席巻しているなかで異彩を放っていました(それがチャートで1位をとったわけで、そういう意味では良い時代だったのかもしれません)。

今回の新曲「EL」も、演奏前に小林が明かした通り「アナログな音」にこだわって作られたもの。地味ながらもしっとりとしたこういう楽曲は、今の若い世代にどうやって受容されるのでしょうか。単なる懐メロで終わってしまっているのだとしたらもったいない。

■2016年のトリックスター(1):水曜日のカンパネラ

8日のMステに出演した水曜日のカンパネラ。今年2月以来2回目の出演となる今回は、最新アルバム『UMA』に収録されている「ツチノコ」を披露しました。

タイトルにちなんで「つちのこ探検隊」というツチノコを探している団体に関する豆知識が紹介されていて、タモリもコムアイもかなり興味を惹かれている様子でした(つちのこを生け捕りにして届けると賞金1億円、目撃情報でつちのこ饅頭がもらえるそうです)。

前回出演時は「桃太郎」で紙芝居を模した演出で視聴者をあっと言わせましたが、今回のステージは客席からの登場などいくつかのギミックはありながらも基本はコムアイの身体的なパフォーマンスをしっかり見せるもの。暗闇のなかで妖しく浮かび上がる彼女の姿には神秘的なものを感じました。

■2016年のトリックスター(2): RADIO FISH

水曜日のカンパネラは2016年のメジャーシーンにおいてその独特な存在感でブレイクしたグループのひとつですが、同じく不思議な立ち位置のまま「今年の顔」的なポジションになってしまったのが29日に出演したRADIO FISHことオリエンタルラジオ。

この日はもはや2016年を代表する1曲と言っても過言ではない「PERFECT HUMAN」と新曲の「GOLDEN TOWER」を披露。

「GOLDEN TOWER」についてタモリからは「「PERFECT HUMAN」ほどヒットしてないんだろ?」と嫌味を言われていましたが、この曲はゲスト参加している女性シンガー當山みれいの本気ボーカルがBメロに挿入されることでますます本格的な仕上がり(つまりますます意味のわからない仕上がり)になっています。

「K-POP的なトラックに日本語のラップをかませてサビでコミカルさを加える」というフォーマットもだんだん様になってきており、意外とそれなりに長続きしそうな雰囲気すらしてきました。この先どういうかじ取りをしていくのか注目です。

[前編]はここまで。[後編]では48/46グループの話題などをお届けします。8月9日(火)の配信をお待ちください!

TEXT BY レジー(音楽ブロガー/ライター)

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【2016年7月8日放送分 出演アーティスト】
家入レオ「君がくれた夏」
関ジャニ∞「罪と夏」
高橋 優「産まれた理由」
フィフス・ハーモニー「ワーク・フロム・ホーム」
UNISON SQUARE GARDEN「シュガーソングとビターステップ」
水曜日のカンパネラ「ツチノコ」
EXILE THE SECOND「YEAH!! YEAH!! YEAH!!」
indigo la End「藍色好きさ」

【2016年7月22日放送分 出演アーティスト】
西野カナ「Have a nice day」
水樹奈々「STARTING NOW!」
藍井エイル「翼」
絢香「三日月 2016 ver.」
KinKi Kids「薔薇と太陽」
YEN TOWN BAND「EL」
NMB48「僕はいない」「今ならば」

【2016年7月29日放送分 出演アーティスト】
ジャニーズWEST「人生は素晴らしい」
乃木坂46「裸足でSummer」
RADIO FISH「PERFECT HUMAN」「GOLDEN TOWER(feat.當山みれい)」
E-girls「Pink Champagne」
WANIMA「ともに」
浜崎あゆみ「FLOWER」
スピッツ「醒めない」

最終更新:8月9日(火)11時10分

M-ON!Press(エムオンプレス)