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IIJ「mineoにはビックリした」 mineo「iPhone問題で神の手が来た」――トークセッションで語られたこと

ITmedia Mobile 8月8日(月)20時10分配信

 7月30日と31日に開催された「mineoファンのイベント」は、ゲストとして登場したIIJのエンジニア、佐々木太志氏と堂前清隆氏とのトークセッションも見どころの1つだった。「両社の関係」「MVNO市場の展望」「端末・ネットワーク」という3パートに分けて話が進み、各パートの後半では参加者(一般ユーザー)からの質問も受け付けた。31日の東京会場(渋谷)で開催された様子をお届けしたい。mineo側は、ケイ・オプティコム 事業戦略グループ グループマネージャーの上田晃穂氏、モバイル事業戦略グループ モバイル事業戦略チーム チームマネージャーの森隆規氏、経営本部モバイル事業戦略G モバイル事業戦略T マネージャーの杉野浩司氏が加わった。

【端末検証に使うIIJの“秘密兵器”】

●mineoとIIJmioの関係:飲み会がきっかけでIIJの参加が決まった

 まずはお互いの印象から。mineo(ケイ・オプティコム)から見たIIJ、またIIJから見たmineoは、どのようなものなのだろうか。

上田氏 IIJさんに対しては「教えてください」というスタンスで、いろいろ技術的なことも教えていただいている。例えるなら、IIJさんはよく勉強ができる長男みたいなもの。われわれは末っ子で、勉強を教えてもらいつつ、何ができるだろうか、ひそかに抜かしたろうかなと思っている。

佐々木氏 2年前、ケイ・オプティコムさんがmineoをやると聞いたときに、非常にビックリした。それまで何社か格安SIMに参入していたが、auさんの回線を使うと聞いて、「よくそんなビジネスが成立できたなぁ」と、心の底からビックリした。独自性は非常に重要なので、mineoが勝ち取って、そういうビジネスを成功させて伸びている。そこについては、すごいなと感嘆の思いでいる、今後、さらに手ごわいライバルになっていくんじゃないかと思う。

 mineoにとって、IIJが絡んだ大きなエピソードは、iOS 8でau系SIMを利用可能にする糸口を、IIJが発見したことだった。

上田氏 一番大きいのはiPhone問題で、iOS 8以上の5sと5cが動かなくなる事件があった。私も当時(個人で)mineoを使っていた。どうしようというときに、IIJさんから神の手のような、技術的な提案をいただき、そのおかげで私たちの端末も使えるようになった。

佐々木氏 いくつかパートナーシップはあると思っている。MVNO委員会でもケイ・オプティコムの存在感は高い。MVNOはいろいろな会社がある中で意見が一致しない。ともすれば合意が無理じゃないかとなったときに、ケイ・オプティコムが果たされている影響は大きい。いろいろな側面で一緒にビジネスをやっていくことはあり得ると思っている。

 mineoとIIJで、一緒にやってみたいことはあるのだろうか。ケイ・オプティコムからは具体的な提案が挙がった。

上田氏 市場自体が大きくなるのは大歓迎。イベントをやる、総務省に物申すとか、そういうことを一緒にできたらと思う。今回も、なぜmineo主催でトークセッションをすることになったのかというと、前任の津田が、お2人(佐々木氏と堂前氏)と飲み会で盛り上がって、やろうやろうと、思いつきで始まったのがきっかけ。私が来たときには決まっていた(笑)。今後とも、私もIIJmio meetingに出させていただいたりとか、両方で盛り上げていったらいいなと思う。

堂前氏 mineoさんを含めて、MVNOには顔見知りが多いるので、一緒にやっていきたい。mineoさんはわれわれとカラーが似ているので、一緒にやりやすい。MVNOも日本の中で認知されてきたので、やらなければならないことが増えている。子供に対する安全安心の取り組みなども、一緒にお話をしたこともある。

森氏 IIJmioとmineoでパケットを贈り合うといったこともできればいいなと。われわれのシステムはレディーの状態なので(笑)。

参加者 音声サービスをどう差別化していくのか。例えばMVNOが結託してサービスを作れないのか。

佐々木氏 音声の利用は減っていてシュリンク(縮小)している市場であるにもかかわらず、MVNOが音声SIMを出し、初めて(大手キャリアと同じ)舞台に上がれたので、矛盾は感じている。音声の差別化が難しいので、何かしらMVNOが技術的なブレークスルーを出していかざるを得ない。

森氏 佐々木さんがおっしゃる通り。例えばVoLTEをうまくコントールできるようになれば、サービスの幅が広がる気もする。今の枠の中では制限がある。

佐々木氏 mineoさんは「LaLa Call」をやっている。固定でもIP電話をやられていて、われわれよりもずっと先を行っているので、われわれが頭を下げてお願いすることもあるかもしれない。

参加者 (自前の加入者管理装置を持ち独自にSIMを発行できる)「フルMVNO」を一緒にやることは考えられる?

佐々木氏 フルMVNOというワードがあちこちで聞かれるようになってきた。何かしら技術的にやらないといけないという問題意識は持っているが、ガイドラインを改正しようと総務省がおっしゃったのが2015年秋なので、やっと議論を深めていく環境が整ってきたところ。あとは各MVNOがキャリアさん相手に協議をしないといけない。実現は先の話になるとみている。

森氏 auとドコモの回線や、海外での利用を1枚のSIMで、という思いはあるので、まさに勉強している。

●MVNO市場の展望:新しいビジネスモデルを考えないと厳しくなる

 格安SIMは、個人向け需要を中心に拡大し、2017年3月末には820万回線、2018年3月末までには1170万回線に達するとの予測もあるが、MVNO市場の展望と課題について、両社はどのように考えているのだろうか。

佐々木氏 MVNO市場は非常に伸びているといわれていて、現にわれわれのビジネスも、成長を続けている。ただ、MVNOは現在200社ほどいて競争が厳しくなり、差別化が難しくなっている。これから数年間は、MVNOは順調に伸びていくと思っているが、海外だと(シェア)15%ぐらいまで伸びると息切れがあったり、MVNOがMNOに買収されたりして、頭打ちになっている。

 今、日本のMVNOは5~6%のシェアで、まだまだ伸びる余地はあっても、新しいビジネスモデルや成長を考えていかないと、苦しい時代になる。フルMVNOの話も、そういう文脈の中で、MVNOが真面目に考えて、キャリアから何かを勝ち取っていかないといけない。

森氏 おっしゃる通り。競争が激しくなっていて、IIJさんは技術という太い幹があるので、技術を核とした新しいサービスは、IIJさんから生まれてくると思っている。

 佐々木氏が話す通り、日本では数多くのMVNOが存在するが、脅威に感じる競合他社はあるのだろうか。

堂前氏 そりゃmineoさんは怖い。mineoさんは2年前に始められてから急速に伸びているので、私たちにとってもライバルのような感じで、いいサービスだと思う。mineoさんを参考にして、自分たちのことを振り返っていくことも必要だと思っている。

佐々木氏 mineoさんを除くなら、各社の調査でわれわれは(格安SIMのシェアで)2番手のようなので、1番手(OCN モバイル ONE)を倒さないとだめという意味では競合だと思っている。それはともかく、MVNOの中にはやんちゃで乱暴な方もいらっしゃって、消費者の皆さんがとハッピーになるか分からないビジネスをされているところに対しては、脅威に感じているところはある。

森氏 私たちは、IIJを業界の大黒柱と感じているので、脅威や競合というレベルではないが、われわれが持っていない強みを持っている事業者さんは怖いなと。大きな顧客基盤を持っていて、その人たちにすぐリーチできる手段のあるところは強いと思いつつ、同じ土俵で勝負しても仕方ないので、違う軸でカスタマーエクスペリエンスを高めていきたい。

●IIJmio郵便局での販売は、mineoにとって複雑な思いが?

 IIJが開始した郵便局でのSIMの取り扱いについて、mineo側には複雑な思いがあったようだ。

堂前氏 (郵便局は)非常に大きな店舗網なので注目されているが、正直騒ぎすぎかなと思っている。あくまでカタログ販売で、販路が1つ増えたという形で考えている。ビックカメラをはじめ家電量販店は売り慣れているが、郵便局はこれから体制を整えるので、いきなりどかーんと立ち上がることはないと思う。

上田氏 郵便局を口説き落としたのがすごい。われわれも「(mineoを)郵便局に置かせてください」と相談したが、実績を話したところ、「ああそうですか」と終わってしまった。そういう経緯もあって、IIJさんには「やられたー」という感じで見ていた。

佐々木氏 担当によると、かなり胃に穴が空くような話だとは聞いていた(苦笑)。

 これだけ多くのMVNOがレッドオーシャンにひしめく中、生き残るために何が必要になってくるのだろうか。

佐々木氏 僕らはお客さんともっと近くにいたい。お客さんに支持していただかないと、ニッチな存在から抜けられないと思っている。大企業になるとお客さんとの距離は空いていくと思うが、それでも歯を食いしばってやっていかないといけない。

 (IIJmioの)Twitterで4万人も相手をしているけど、ここを続けられる限りは続けていきたい。IIJmio meetingも続けていきたい。mineoさんにお呼ばれしたら、こういったところでもお話をしていきたい。なるべく皆さんのニーズと僕らの目線を合わせ続けていきたい。

森氏 ユーザーとの距離を近くにするという話は、われわれもその通り。冒頭で「安心感」の説明をしたが、それだけでは不十分。安心はマイナスをゼロに戻すものだが、ゼロからプラスにするのは「信頼」だと思っている。信頼されるMVNOが今後残っていく。お客さんの声を受け止めて、言えることはオープンに言って、その中で一緒にサービスを良くしていければ、信頼につながると思う。

参加者 (格安SIMの)支払いはクレジットカードが多い。口座振替に対応すれば、ユーザーが増えて業界全体が潤うと思うのだが。

森氏 決済手段は軽い方がいいけど、軽くするほど悪いことをする人も増えていく。クレジットカードは最低限(必要)だと思っている

堂前氏 例えばBIGLOBEさんは口座振替ができる。何社かは口座振替に対応していることは、そのMVNOの魅力だと思うので、そういった形で選んでいただくのはありだと思う。

参加者 IIJさんは家電量販店に出張所を出している。mineoさんは直営店を出している。それぞれのスタイル対してコメントをいただきたい。

堂前氏 実は、個人的には直営店を出したいとは思っている。社内で「直営店を出しましょうよ。僕店長をやりますので」と言ったら、「お前いくらかかると思っているんだ!」と却下された(苦笑)。直営店は楽しいというのもあるだろうし、安心感にもつながるので、うらやましいと思っている。

森氏 IIJさんはBIC SIMという形でがっつりやっているので、なかなか入っていく隙がない。量販店さんではなかなか目立つ場所に置けないことがある。やりたい接客ができる場所としてアンテナショップは必要なので、数店舗は出していきたい。

●端末・ネットワーク:動作検証はどのように行っている?

 自社の通信サービスに、各種スマホが対応しているかを調べることも重要な仕事の1つ。動作検証の裏側も語られた。2社が特に口をそろえたのが「iPhoneの検証は大変」ということ。またスピードテストの手法についても説明された。

杉野氏 iPhoneは端末の調達が難しい。iPhone 6sのときは心斎橋のアップルストアに始発で並んだ。iPhoneの検証はIIJを抜かそうとやっているので頑張っている。

堂前氏 やはりiPhoneは大変。6sのときは並べば買えたけど、SEは店頭販売がなかったので非常に困った。

 単純にSIMを挿して動くかどうかだけではなく、より踏み込んだ取り組みの1つとして、携帯電話の基地局の“ふり”をするシミュレーターを購入して動作確認をしている。例えば緊急地震速報。SIMフリースマートフォンでは、緊急地震速報が表示されないものがあるが、地震を待つわけにもいかず、なかなかテストができない。このシミュレーターで緊急地震速報の信号を送れるので、動作を確認している。

上田氏 ネットワークのスピードテストを行っていて、机に並べてひたすら測定している。毎日測ってマイネ王に書かれたり、2chを見て心を折られたりしている(苦笑)。

堂前氏 私たちもスピードテストは気にしていて、IIJでは自動化を頑張っている。社内に測定専用の端末とサーバを置いて、自動でテストをして、どのぐらい網が使われているかを確認している。

 皆さんと同じスピードテストアプリを使うこともある。スマートフォンにUSBケーブルを挿してPCからコントロールできるようにしている。皆さんもスピードテストは大好きだと思うけど、それに冷や水をかけるような記事も書いている。

 スピードテストできれいに数字は出てくるけど、唯一無二の正解というわけではない。例えばキャリアのネットワークが混雑しているところで測っても意味がない。意識はしているけど、数値を評価するときは前提条件を持って評価したい。そのうえで話ができると冷静な議論ができる

 ケイ・オプティコムがmineoのユーザーイベントを開催したのは今回が初めてだが、同社はコミュニティーサイト「マイネ王」で、以前から積極的にユーザーと交流を深めており、ここで挙がった意見がきっかけで生まれたサービスもある。IIJは以前からユーザーイベント「IIJmio meeting」を実施しており、7月のイベントで12回目となる。佐々木氏と堂前氏を筆頭に、サービスへの思いを実直に語る姿勢が支持を集めている。

 2社に共通するのが、ユーザーとの距離を縮めようとする姿勢だ。現在はコアなファンや業界関係者がサイト・イベントに多く集まっている印象だが、これらの場を起点に一般ユーザーにも訴求できるようになれば、さらにシェアを増やす起爆剤になりそうだ。

最終更新:8月8日(月)22時44分

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TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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