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飯舘村の母牛引き取り丹精 共励会で日本一 無念つなぐ 福島・JA会津よつば いいで地区の齋藤さん

日本農業新聞 8月8日(月)7時0分配信

 東京電力福島第1原子力発電所事故の影響で、全域が避難区域となった福島県飯舘村の母牛から生まれた雌牛が今夏、第18回全農肉牛枝肉共励会の和牛雌の部で最優秀賞を獲得した。村の母牛を買い取り、雌牛を育てたのはJA会津よつばいいで地区肉牛部会の齋藤栄信さん(61)。牛を手放さざるを得なかった村の農家の悔しさを受け止め、懸命に育てた。

 7月上旬に開かれた全農肉牛枝肉共励会。雌牛の部では71頭が出品され、その中のトップに輝いた。枝肉重量486キロ、脂肪交雑(BMS)ナンバー12、ロース芯面積96センチ、バラ厚8.8センチでA5ランクとなった。

 最優秀賞を獲得した牛の母牛は5年前、本宮市で開かれた臨時のせりで齋藤さんが見つけた。原発事故で飯舘村から避難せざるを得なくなり、農家が手塩にかけて育てていた牛がせりにかけられていた。

 「最初に見た時、育て上げた農家の管理の良さを感じた」と齋藤さん。「きっと手放したくはなかっただろう。飯舘村は繁殖牛の改良が進んでいた。農家はさぞ、無念だっただろう。その思いをつなごうと思った」と購入を決めた理由を打ち明ける。

 2014年、雌牛が誕生。丁寧に育て続け、順調に生育し「体型などは満点に近い仕上がりになった」。共励会への出品を決め、今回の快挙につながった。最優秀賞を獲得した齋藤さんの牛の肉は、8月上旬から郡山市の福島牛焼肉店「牛豊」(朝日店、八山田店)で提供される。

 齋藤さんは、今後も自身の和牛経営の中で、飯舘村の母牛を飼養していく考え。「浮かれることなく次に進みたい。これからも消費者に求められる肉牛を提供したい」と先を見据える。

日本農業新聞

最終更新:8月8日(月)7時0分

日本農業新聞