ここから本文です

「おおっ」まるで路面電車 都市の“新たなアトラクション” 福岡の連節バスに乗った

qBiz 西日本新聞経済電子版 8月8日(月)18時7分配信

 バス2台をつなげた「連節バス」の試験運行が、8日から福岡市中心部で始まった。どんな車両なのか。乗り心地は―。福岡の新たな名物になるかもしれない九州初お目見えのバスに早速、乗ってみた。

福岡市 住みやすさ「世界7位」 京都を抜く

 運行は2路線。博多港国際ターミナルを発着点に、それぞれ天神と博多駅を、2台の車両で1日各6往復する。

 天神の出発点となるバス停は「天神ソラリアステージ前」。午前10時2分。予定より12分遅れて真新しい黄色の連節バスが到着すると、「おおっ」と歓声が。

 カメラを持った若者たちが慌ただしくシャッターを切り、待ち構えたテレビクルーや新聞記者たちも一斉に取材に取りかかった。

 全長約18メートル。2台のバスをアコーディオンのような蛇腹の幌でつないだ、トレーラーのような六輪車だ。

 ドアは三つ。うち「前ドア」と「中ドア」と呼ばれる二つは先頭車両にあり、通常のバスと同じ配置。後ろから乗って、前から降りる仕組みも同じだ。

 違うのは、三つ目の「後ドア」。後続車両にある。このドアだけは、乗車も降車もできる。

 後ドアには、女性のバスガイドが待機していた。バスからいったん降りて、「こちらからも乗車できまーす」と手を挙げて笑顔を振りまくと、乗客たちが次々に吸い込まれていった。

 ■窓から思わぬ光景が

 一番後ろの席に座った。定員は133人(運転士を除く)。目の前には、座席がずらっと並ぶ。幌でつながった二つの車両は自由に行き来ができる。

 目的地の博多港国際ターミナルへ向け、出発した。

 車窓からは、沿道で物珍しそうにバスを眺める歩行者たちの姿がみえた。手を振る子どももいた。

 車内では、テレビクルーのインタビューが所々で始まった。

 「今日はどちらから?」
 「乗り心地は?」

 乗客に向けたカメラとマイクが、時折、揺れた。車内の「揺れ」は、通常の路線バスと同じである。

 カーブに差し掛かった。「右に曲がります」。運転士がアナウンスすると、車両は、ゆっくり、大きく、右折した。

 蛇腹の幌が、まさしくアコーディオンのようになった。右側が縮み、左側がぐーんと伸びた。大きな円盤のような形をした車両の連節部分の床も、時計回りにくるっと回った。

 その時だ。前の右側の車窓から、思わぬ光景が。先頭車両の運転席がひょっこり顔を出した。もう、車内は、路面電車のようである。かつて福岡の街中を走った光景を思い出す人もいるかもしれない。

 ■乗客をすっかり魅了

 30分ほどで、博多港国際ターミナルに着いた。

 前ドアと、後ドアから二手に分けて乗客が降りた。大人数でもスピーディーに降車できる工夫だ。

 まだ知名度が十分でないためか、乗客は少なかった。

 天神出発の10分ほど前。バス停には、約60人が集まっていた。

 連節バス待ちか、と思いきや、違った。博多港国際ターミナルへ向かう普通の路線バスが先に着くと、次々に乗車した。直前に、連節バスを運行する西日本鉄道(福岡市)の社員が、PRのチラシを配って案内していたにも関わらず、である。

 結局、連節バスに乗ったのは20人ほど。家族連れや乗り物ファンとみられる若い男性たちだったが、半数近くは、報道や西鉄の関係者だった。

 ただ、連節バスは、確かに乗客を魅了した。

 「夏休み中」という高校2年の男子生徒(16)は、わざわざ北九州市小倉北区から高速バスに乗って、駆けつけたという。「初めてです。格好いいです」と、声を弾ませた。

 フリーターの男性(27)=福岡市南区=も、わざわざ駆けつけた1人。乗客を全員降ろし、先頭車両の表示が「回送」に変わって走りだした後も、カメラを手に追い掛け、何度もシャッターを切っていた。

 「今日は僕の誕生日。連節バスも今日が誕生日です。縁を感じますね」

 福岡には、屋根のない2階建ての「オープントップバス」も運行している。そこに、連節バスが加わった。

 これから知名度が上がっていけば、きっと都市の新たな“アトラクション”のような存在になるに違いない、と思ったお手軽なバスの旅だった。

■■■

 運賃は博多港国際ターミナル-天神が190円、博多港国際ターミナル-博多が230円で、一般の路線バスと同じ。

 運行する西鉄は、バスを基盤とした大量輸送システム「都心循環BRT」(BRTはバス・ラピッド・トランジットの略)の形成を目指す、としている。9月中旬以降は天神、博多、ウオーターフロント(WF)地区を巡る循環運行に移行する。運賃や所要時間などは今後決める。

西日本新聞

最終更新:8月10日(水)14時47分

qBiz 西日本新聞経済電子版