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がん治療薬開発の厳しい側面、投資家を直撃-米ブリストル株急落で

Bloomberg 8月8日(月)9時46分配信

米ブリストル・マイヤーズスクイブの株式を保有する投資家はこの約4年間、同社ががん治療の分野に照準をしっかりと合わせてきたことで大きな利益を得てきた。しかし5日の同社株急落で、そうした集中がもたらし得る別の側面を思い知らされた。

ブリストルの株価は5日、16%安の63.28ドルで取引を終え、約16年ぶりの大幅安となった。肺がん患者を対象とした「オプジーボ」の臨床試験の失敗が原因だが、この分野でブリストルが突出したリーダーとなる能力に対する投資家の期待が揺らいだことも大きい。医薬品開発に伴うリスクをあらためて思い起こさせる出来事でもあった。

最近ではブリストルほど一つの疾病分野に集中している大手製薬会社はない。ブリストルが注力するのは、身体の免疫システムを利用してがん細胞を攻撃する「がん免疫療法」の治療薬開発。今回の試験結果によると、未治療の患者の肺がん進行を食い止める効果で、オプジーボは化学療法薬に勝らなかった。

この発表を受け、オプジーボと競合する製品を持つ米メルクの株価は上昇し、10%高の63.86ドルで終了した。

巨大な市場

免疫療法薬の潜在的な市場規模は数十億ドルとされる。アナリストはオプジーボの売り上げが2020年には107億ドル(約1兆900億円)に達し、免疫療法薬が同社の売上高全体の半分近くを占めると予測してきた。米国がん協会によれば、がんによる死亡では肺がんが最も多い。

BMOキャピタル・マーケッツのアナリスト、アレックス・アルファイ氏は、オプジーボの試験結果について顧客向けのリポートで、「がん免疫療法の適応では肺がんが最大となるとの当社の予想を踏まえると、市場シェアに対する意味合いでは極めて大きな出来事だ」と指摘した。同氏はブリストルの投資判断を「マーケットパフォーム」としている。

今回の急落でもブリストルのバリュエーション(株価評価)はなお高めだ。11銘柄から成るS&P500医薬品株指数の株価収益率(PER)は24倍。ブリストルのPERは5日の株価下落の前は36倍だった。2013年以降、同指数の他の構成銘柄よりも割高な状態が続いている。

ブリストルのジョバンニ・カフォリオ最高経営責任者(CEO)は5日の電話インタビューで、「われわれの実績により、期待値が高いことは明白だ」と説明。今回の試験結果後も「当社の焦点やオプジーボの長期的な潜在性は変わらない。がん免疫療法を当社の戦略の柱とするコミットメントに影響はない」と語った。

原題:Bristol-Myers Investors Feel the Harsh Downside of Cancer Bet(抜粋)

Cynthia Koons

最終更新:8月8日(月)9時46分

Bloomberg