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東京電力の対応に小売電気事業者の不満

スマートジャパン 8月9日(火)11時25分配信

 東京電力グループの送配電事業会社である東京電力パワーグリッド(東京電力PG)は電力使用量の通知が遅延している問題に関して、定例の進捗報告を8月5日に電力・ガス取引監視等委員会に提出した。家庭向けを中心に電力の需要データの通知が遅延している件数は8月2日の時点で1万9715件にのぼり、すでに2カ月以上も続いている遅延の状況は収束していない。

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 需要データの遅延は東京電力から小売電気事業者へ契約を切り替えたケースで発生している。東京電力PGのシステムにさまざまな不具合が発生して、検針日から1カ月以上を経過しても使用量を確定できない状態だ。ようやく4~6月分の遅延が徐々に解消する一方で、新たに7月分の遅延が増え始めた。

 しかも4月分と5月分の検針データのうち、使用量を確認できない件数が約3000件も残っている。小売電気事業者は顧客に電気料金を請求できず、事業運営に支障をきたしている。東京電力PGは小売電気事業者と協定を結んで使用量を確定させたい意向だが、小売電気事業者の多くは承諾していない。

 8月3日の時点で協定の対象になっている2996件のうち、東京電力グループの小売事業会社である東京電力エナジーパートナーの顧客分が2350件、そのほかの小売電気事業者の顧客分が646件ある。東京電力エナジーパートナーの顧客を対象にした協定が完了した件数は966件で、それでも41%の状態だ。他の小売電気事業者とは23%しか協定を締結できていない。

 東京電力PGが進める協定の基本方針では、顧客ごとに前年度の実績値をもとに、未確定になっている今年度の使用量を決める。しかし東京電力の従来のメニューから変更した顧客の多くは電気料金の削減を目的に契約を切り替えた。節電にも取り組んでいるため、前年度と同様の使用量を提示されても受け入れがたいのは当然だ。顧客の不満は東京電力PGではなくて小売電気事業者に向けられる。

 小売電気事業者が東京電力PGに伝えた現状は深刻だ。契約を変更したことが原因とみなされて、顧客の離脱につながる可能性があるばかりか、新規顧客の獲得にも影響が出かねない。小売電気事業者のあいだでは東京電力PGに対して損害賠償請求を検討する動きも始まっている。

 東京電力PGは小売電気事業者の顧客に対して、お詫びの文書を送付するなどの対応を進めている。顧客からの問い合わせを受け付ける専用の窓口も設置したが、わざわざ東京電力PGに連絡してくる顧客はそう多くないだろう。小売電気事業者と顧客の双方の不満を解消する対策として十分とは言いがたい。

メーターの取替情報がシステムに反映できず

 問題の原因になっているシステムは「託送業務システム」と呼ばれるものだ。電力会社の送配電部門が家庭や企業に設置したメーターから収集した使用量のデータをとりまとめて、小売電気事業者に通知する役割を果たす。政府の指針では検針日から4営業日以内に通知することが原則になっている。

 東京電力の託送業務システムでは4カ所で不具合が発生していて、その影響で電力使用量を迅速に算出できずにデータの通知が遅れている状況だ。現在も不具合を解消できていないために、これから検針する8月分についても遅延が発生する可能性は大いにある。

 託送業務システムで算出するのは利用者の需要データのほかに、家庭や企業に設置されている発電設備も対象になる。この発電データでも遅延が発生していて、8月2日の時点で6793件にのぼっている。ただし需要データと比べて対象数が少なく、未通知の件数は徐々に減ってきた。

 一方で需要データに関してはシステムの不具合による問題が広範囲に及ぶため、未通知を解消する作業は困難を極めている。東京電力PGは7月1日に検針した未通知分を詳細に分析して、4通りの個別対策を追加で実施した。

 その結果、未通知だった294件のうち228件は問題を解消できたが、66件は7月29日の時点でも解決できていない。大半は旧型のメーターから新型のスマートメーターに取り替えた情報がシステムに反映できていないことによる。

 東京電力PGは4通りの個別対策を前倒しで実施しながら、検針から7営業日以内に電力使用量を通知できる状態を目指す。特に長期にわたる未通知の原因になっているメーターの取替情報に関しては、検針から2営業日以内に現場で状況を確認してシステムに登録する作業を完了させる方針だ。一連の個別対策を計画・管理する「暫定運行チーム」の人員を従来の9人から一挙に65人に増やして未通知の解消を急ぐ。

最終更新:8月9日(火)11時25分

スマートジャパン