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上司/先輩にしてもらってうれしかったこと

@IT 8月9日(火)6時10分配信

 人材育成歴30年の田中淳子さんが、人生の先輩たちから頂いた言葉の数々。時に励まし、時に慰め、時に彼女を勇気付けてきた言葉をエンジニアの皆さんにもお裾分けする本連載。

【その他の画像】存在を気に掛けてくれると、見ていてくれる、それだけでうれしいものだ

 前回は、ガンガン怒ってくれる人ほどありがたい、という話をした。今回は若手エンジニアが振り返る、新人のころ先輩や上司にしてもらってうれしかったことを紹介する。

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●覚えていてくれたんだ!

 あるお客さまと2年ぶりに再会し、「今でもウオーキングで出社なさっているのですか?」と尋ねたら、「え?」と目を真ん丸にして驚かれた。

 「2年前にそんな話をしたので、今でも続けてるかな? と思って。私もウオーキングしているのですよ」と続けると、「田中さんは、仕事柄大勢の人と会うのに、よく私のウオーキングのことなんて覚えていましたね。びっくりしました」と笑顔になった。「健康のためとおっしゃっていましたよね」と続けると、「そうそう。体脂肪率、落ちましたよ」とのことだった。

 最近、記憶力に難が出てきたが、彼女のウオーキングの話はずっと記憶に残っていて、時々「どうしているかなあ」と思い出していた。そんなことを話題にしたら、思った以上に喜んでくれたのだ。

 人は、自分のことだけではなく、自分が話したことを覚えていたり、存在を気に掛けてくれたりすると、とてもうれしいものなのだ。

●見ていてくれたんだ!

 先日、30歳前後のITエンジニアに「上司や先輩にしてもらってうれしかったこと」を挙げてもらったところ、似たような例がたくさん出てきた。「覚えていてくれた」「気に掛けてくれた」、そういったことが部下や後輩の心にはとても響くようだ。

「あなたのことを、気にしているんだよ」という感じを出してくれると、とてもうれしいです。

私がプロジェクトで大変な状況になっていることを知っていて、時々「大丈夫?」と声を掛けてくれると、それだけでうれしい。「ちゃんと私のことも気にしてくれているんだなあ」と思うから。

「先週、具合悪そうだったけれど、風邪の調子は?」なんて声を掛けてもらうと、「見ていないようでいて、ちゃんと見てくれているんだ」と驚くし、うれしい。

「夏休みは、ちゃんと計画している?」と気を配ってもらえた時もうれしかった。

 上司が部下に、先輩が後輩を、といった上下関係だけではなく、仲間同士でも「大丈夫?」「何か困っていることない?」と互いを気に掛け、時に、声も掛け合っている職場は、安心して仕事できるのではないだろうか。

●私のお守り

 入社2年目のエンジニア(女性)が、新入社員のころのことを話してくれた。

OJT担当の先輩女性と別のプロジェクトにアサインされて、なかなか会えなくなってしまいました。私、先輩とのコミュニケーションが少ないことが不安で、不安で。先輩も気になってたのかな。2週間後くらいに歓迎会の席で、「もし困ったことがあったら、連絡してね。朝でも夜でもいつでも構わないし、愚痴でもいいからね」とプライベートのメールアドレスを教えてくれたんです。

 実際にそのアドレスにメールする事態には陥らなかったそうだが、そのアドレスは、お守りのような作用があったと話していた。アドレスを交換すること自体が「気に掛けている」という証になったのだろう。

 「誰かが気に掛けてくれている」と分かると、人は安心できる。「あなたのことを見ているよ」「あなたのことを気にしているよ」と、少しずつ他者に関心を寄せあったら、居心地良い職場となって、仕事でも高い成果を出せるのではないだろうか。

●筆者プロフィール:田中淳子 グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー。1986年 上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタル イクイップメントを経て、96年より現職。IT業界をはじめさまざまな業界の新入社員から管理職層まで、延べ3万人以上の人材育成に携わり28年。2003年からは特に企業のOJT制度支援に注力している。日経BP社「日経ITプロフェッショナル」「日経SYSTEMS」「日経コンピュータ」「ITpro」などで、若手育成やコミュニケーションに関するコラムを約10年間連載。著書:「ITエンジニアとして生き残るための「対人力」の高め方」(日経BP社)「ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック」(日経BP社)「速効!SEのためのコミュニケーション実践塾」(日経BP社)など多数。

最終更新:8月9日(火)6時10分

@IT