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歴史に埋もれた“幻のダート重賞” 勝ち馬キョウトシチーはドバイにも参戦

デイリースポーツ 8月9日(火)11時0分配信

 ちょっと前の話。仕事を終え、栗東トレセンの記者寮でテレビを見ながらくつろいでいると、グリーンチャンネル(競馬専門チャンネル)で競馬のクイズ番組が放送されていた。

 自称元・競馬博士の私。40歳を超えてから記憶力の低下が著しいが、ある程度は答えられるだろうと挑戦してみた。実際にやってみると…本当に“ある程度”までは答えられるのだが、思っていたよりもカルトな問題が多く出題され、詰めが甘い。自己評価は30点。散々な結果にショックを受けた。

 ここからが本題。その番組内で「これはいい問題だなあ」と感心させられたクイズがあった。

 「かつて1度だけしか行われなかった重賞がある。そのレース名と勝ち馬は?」

 白状すれば、私は答えられなかった。正解は、96年に函館競馬場で行われたシーサイドステークス。勝ち馬はキョウトシチー(菊沢隆徳騎手騎乗)だった。北海道出身の私。もう少し若ければ…と正解を聞いて肩を落とした。

 96年はJRAがダート路線の整備に力を入れ始めた年で、シーサイドステークスは前年まで行われていたシーサイドオープンを重賞に格上げ。夏の函館のダート王決定戦として定着するはずだった。しかし、翌97年に施行場が札幌競馬場に変更されたため、海のない札幌に“シーサイド”は据わりが悪い。今では、札幌の街路樹などでよく目にするハルニレから名付けられたエルムステークス(エルムはハルニレの英名)として定着している。

 このクイズ。レース名を答えられなかっただけではなく、勝ち馬がキョウトシチーであったのは痛恨だった。ドバイワールドカップに参戦した3頭目の日本馬(96年ライブリマウント=6着、97年ホクトベガ=中止、同馬は98年に6着)として知られる同馬だが、担当者は当時、中尾謙太郎厩舎に所属していた宮本博調教師。昔から世話になっているだけに、決して答えられない問題ではなかった。

 当然、宮本師はご存じ。当時のことをうかがうと、開口一番「1回だけしか行われなかった“幻の重賞”のことやろ?」と笑顔。昔の話であまり記憶がないと言いつつも「行き脚のつかない馬でテンに置かれたけど、小回りの函館で2角からひとまくり(笑い)。あの1回だけ菊沢君が乗ってくれてな。よく勝ってくれた」と、まるできのうのことのように振り返った。

 “幻の重賞”を制したキョウトシチーは、次戦の東海菊花賞(名古屋、6着)を皮切りに、交流重賞に参戦。全国の地方競馬場を巡り、タフな精神力を身につけた。「あの馬にはドバイまで連れて行ってもらって…。本当にいい勉強をさせてもらった」と宮本師。同馬にとって、シーサイドSの勝利がステップアップにつながったのは間違いないだろう。

 今週行われるエルムSは、今年で21回目。第1回のシーサイドSがカウントされているため、実際は今年で20回の節目を迎える。今年は大沼Sを快勝したモンドクラッセや、初来日となった昨年のワールドオールスタージョッキーズを優勝した香港のリーディングジョッキー、ジョアン・モレイラ騎手(32)=ブラジル=とコンビを組むロワジャルダンらが参戦する。クイズの反省を踏まえて、砂の熱戦をしっかりと目に焼き付けたい。(デイリースポーツ・松浦孝司)

最終更新:8月9日(火)11時17分

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