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プライバシーか国家の安全か、FBI長官が暗号化技術をめぐる議論の必要性を指摘

ITmedia ニュース 8月9日(火)14時42分配信

[AP通信]
 米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官は8月5日、暗号化された電子デバイスに捜査当局がアクセスできない事例が増加している現状について全国的な議論を喚起すべく、FBIが目下、2017年に公開するためのデータを準備中であることを明らかにした。

 5日にサンフランシスコで開催されたアメリカ法曹協会(ABA)の年次総会で講演したコミー長官は、過去10カ月間にFBIの捜査対象となった電子デバイス5000台のうち650台にアクセスできなかったことを明らかにし、「暗号化技術について議論しなければ、この問題は悪化する一方だ」と懸念を示した。

 さらに長官は、「暗号化技術によって、ますます多くの刑事事件において電子デバイスの捜査が不可能になりつつある」と指摘。ただし、捜査当局が電子デバイスにアクセスできるよう暗号化技術を修正すべきかどうかについては、FBIや政府当局者ではなく米国市民が判断を下すべきとの考えだという。

 暗号化技術に関するコミー長官の懸念は、2015年12月にカリフォルニア州サンバーナーディーノで起きた銃乱射事件の容疑者2人のうち1人が所有していた「iPhone」のロック解除をめぐり、今年に入りFBIとAppleが対立し、訴訟に発展する大問題となったことに端を発する。その後、FBIは容疑者のiPhoneにアクセスする方法を見つけたとして訴訟を取り下げたため、この問題は根本的な解決には至らなかった。

 シリコンバレーのIT各社は、暗号化技術は顧客のプライバシー権を保護し、ハッカーや産業スパイやその他各種のセキュリティ侵害からの保護を提供するとの立場だ。

 コミー長官は20分間の講演中、次のように語った。「サンバーナーディーノでの事件をめぐる訴訟は必要なものだった。だが一方では逆効果でもあったと考えている。FBIは容疑者のiPhoneのデータを取り出す必要があった。その意味では、必要な提訴だった。だが、訴訟のせいで複合的な議論がしづらくなったという意味では逆効果だった」

 長官は、共和党のドナルド・トランプ候補と民主党のヒラリー・クリントン候補の大統領選での戦いが終わった後、2017年に暗号化技術やそうした技術が国家の安全に及ぼす影響について、もっと冷静な議論を始めたい考えだという。長官は7月5日には、クリントン候補が国務長官時代に私用メールサーバを公務に使っていた問題について「極めて不注意だった」と強く批判しながらも、刑事訴追を見送る方針を表明している。

 5日、この決定について問われた長官は次のように答えた。「その件についてはもう話したくない。クリントン氏の国務長官時代の私用メール問題に関するFBIの調査では、既に国会でトイレ休憩もなしに4時間40分も証言したのだから」

 その上で長官は、クリントン氏に対する調査報告で示した高い透明性や、刑事訴追を見送るよう検察官に勧告したことはFBIにとって異例のことだと述べている。
(日本語翻訳 ITmedia ニュース)
(C) AP通信

最終更新:8月9日(火)14時42分

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