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草刈り十字軍最後の夏 寂しさ胸に汗流す

北日本新聞 8月9日(火)0時32分配信

 毎年夏に若者らが山中にこもって取り組んできた「草刈り十字軍」。参加者が年々減り、今年で43年の歴史に終止符を打つ。最後の活動が四つの隊に分かれ、10日まで県内各地で繰り広げられている。「終わるのは寂しい」「いろんな人との出会いがあった」。参加者はそれぞれ思いを胸に汗を流していた。

 黒部隊の作業場所は黒部市尾中の山の中。隊員の佐々木友紀さん(21)=大阪府高槻市、近畿大学3年=は初めて参加した。鎌を振ると、膝が隠れるほどの高さがある雑草が次々と倒れていく。ただ、太さ2センチほどの雑木は鎌を振るだけでは切れない。先輩の男性隊員から「鎌を根元に当て、体重を掛けて引くといい」とアドバイスをもらった。

 最初は軽快に作業していた佐々木さんも昼近くになると動きが落ちてきた。昼食後、佐々木さんは「鎌が重くて筋肉痛になりそうだけど、砥石(といし)で研げば研ぐほどよく切れるのが楽しい」と笑みを浮かべ、自然の中で汗を流す心地よさを体感していた。

 富山市小羽の山中で活動している富山隊は、他の隊に比べて経験豊富な隊員が多い。この日、活動した8人の隊員は、励まし合いながら、慣れた手つきで刈り進んだ。

 小泉昭則さん(66)=広島県呉市=は、28回目の参加。最後となることについて「ついに終わるかという感じ。寂しい」としみじみと語った。

 隊員らは草刈り十字軍の醍醐味(だいごみ)を「人との出会い」と口をそろえる。小泉さんも「毎回違う人と出会い、その後も関係が続いている人が多い」と話す。小泉さんは今後も「仲間と地元や富山で活動していきたい」と山での経験を生かしていくつもりだ。

 造林地への除草剤空中散布に反対して始まった「草刈り十字軍」は、自然の中で働く喜びや人との絆など、参加者に大切なものを与えてくれる場になっていた。

北日本新聞社

最終更新:8月9日(火)0時32分

北日本新聞