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BUMP OF CHICKENが歌う相手は、ずっと変わらないただひとりの“あなた”【ライブレポート】

M-ON!Press(エムオンプレス) 8月10日(水)10時7分配信

BUMP OF CHICKEN『BUMP OF CHICKEN STADIUM TOUR 2016 “BFLY”』
2016年7月17日@日産スタジアム

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「一人ひとりと7万回握手がしたいです」。藤原基央(vo、g)は締めくくりのMCで、7万人の観客に向け、そう語りかけた。自身初のスタジアムツアー『BUMP OF CHICKEN STADIUM TOUR 2016 “BFLY”』。各日7万人・計14万人を動員した最終公演。しかし彼らは、群衆としてではなく、あくまでも一人ひとりに向けて歌い奏で、音楽を届けている。結成20周年を祝したツアー最終日に再認識したのは、そんな彼らの原点だった。

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■のっけから深く世界に引き込んでいく

SEに乗せ、巨大スクリーンに映し出されたカウントダウンに続き、大歓声の中メンバーが登場。言葉を発することなく「Hello,world!」を放ち、澄み渡った歌声とメロディアスなアンサンブルを聴かせ挨拶に代えた。そして、息を飲むようなスリルと緊張をはらんだ「パレード」へと繋げ、のっけから深く世界に引き込んでいく。

今年2月にリリースした最新アルバム『Butterflies』からの選曲を中心に、「K」「カルマ」といった代表曲を散りばめながらライブは展開。ひと言ひと言を噛みしめるように歌い表現力が深まるいっぽうの藤原の歌声、力強くも抑制の効いた升 秀夫のドラム、個性的なフレーズを紡ぎながらも全体を底支えする直井由文のベース、プレイの多様性を増しサウンドスケープを広げた増川弘明のギター。20年の時を重ね、個々がパワーアップしただけでなく4人の音が自然に溶け合っていて、新旧どの曲も、聴いていてただただ心地よい。

■20年間続けて来られたのも皆さんのおかげです

「新しい曲、やります」(藤原)との言葉から、新曲「アリア」も披露。パイプオルガンを思わせる音色や荘厳さと煌めきを持つコード感と、空へと上昇していくような美しいメロディー。藤原が最後の一音を長く伸ばし歌い終える瞬間まで、オーディエンスはじっとその世界に耳を澄まし、聴き入っていた。

その後、直井主導でスタジアムが一丸となってウェーブし、壮観な眺めに。観客は、配布されたPIXMOBという光るリストバンドを装着し、全編に渡りライティングの演出に参加していた。「結成20周年なんですけど、その前の、幼稚園の時から一緒なんですよ」と直井は思い出話を披露しつつ、「20年間続けて来られたのも皆さんのおかげです。ありがとうございます」と感謝を伝えた。

ピックを使わず柔らかく爪弾く増川のアルペジオで幕開けた「流星群」では、無数の流れ星をLEDスクリーンに投射。ラスト、色とりどりの星が巨大な軌跡を描きながら流れ落ちる光景はあまりに幻想的で、忘れがたい印象を残した。やがて、メンバーはアリーナに降りて、後方へと移動。サブステージで「孤独の合唱」「ダンデライオン」を披露した。「ダンデライオン」では客席が一面、黄色のライトで染め上げられ、日没が近付き薄暗くなり始めていた会場を温かく灯していた。

■声聴かせてください。一緒に歌おう

メインステージに再び戻ると、本格的に夜の帳が降り、暗闇に映えるライティングの演出は凄みを増していく。「GO」の宿すポジティブな未来感には胸が高鳴り、アリーナに舞い上がった紙吹雪はまるで美しい蝶の大群のように見えた。イントロでどよめきが起きた「車輪の唄」、そして「声聴かせてください。一緒に歌おう」(藤原)と呼び掛けた「supernova」。ステージ上のメンバーも観客も、ただ騒ぐのではなく、心の奥底で繋がり合えるようなアンセムを連投した。

続けて、レーザーを駆使したライティングで至高の美しさを見せた「ray」、カラフルなチームラボボールがアリーナ後方から多数転がり出てきた「虹を待つ人」と、色彩豊かな夢のような空間を立ち上げる。驚くことに、歌声も演奏も、終盤を迎えて衰えるどころか生命力と躍動感を増し、熱と輝きは高まっていくばかり。本編最後に「Butterfly」を放つと、観客は四つ打ちのリズムに合わせて大きく手拍子し、一体となって声を合わせた。ステージと客席の垣根なく熱が交流し、会場は多幸感に満ち溢れていた。

■自分たちのお客さんは10人ぐらい。でも今も同じ気持ち

アンコールでは「天体観測」を披露。15年前の瑞々しさは失うことなく、今の彼ららしい音の厚みと歌の説得力が加味されていて、深い感慨を覚えた。後奏の途中で花火が打ち上げられ、その眩しい情景に見惚れながら、彼らの20年の歩みに想いを馳せる。すると最後、藤原のギターを振り下ろすアクションを合図に特大の花火が打ち上がり、白煙に包まれる中、終演。手を繋いで深く礼をする4人に、大きな拍手が送られた。

藤原は最後ひとり残ると、「今日やってて、改めて思ったことがあるんですけど。2月11日に初めてライブをやった時はたぶん(観客が)50人ぐらいで、そのうち自分たちのお客さんは10人ぐらい。でも今も同じ気持ち」と語り、冒頭で引用したコメントへと繋げた。

7万人の塊ではなく、一人ひとりが集まって、7万人なのだ。また、「アリア」以外にも新曲が生まれていることを明かし、曲作りをしながら「ずっと君たちのことを考えてます。全部、“君たちに会いたいなあ”と思いながらつくっている音符であり言葉」だと告白。「幸せです。曲が喜んでます。どうもありがとう!」と感謝を繰り返し、ステージを去った。

つねに音楽とまっすぐに向き合い、生み出した曲を誠実に届け続けて来たBUMP OF CHICKEN。初めてライブを観たのは15年ほど前のことだが、当時と今と重ねながら、美点である純粋さがまったく損なわれていないことに驚いた。1回のライブの観客が10人から7万人に増える過程で、スタンスがブレることはなかったし、これからも決してない。そんな信頼をあらたにする夜だった。

TEXT BY 大前多恵
PHOTOGRAPHY BY 古溪一道、富永よしえ

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【SETLIST】
01.Hello,world!
02.パレード
03.K
04.カルマ
05.ファイター
06.宝石になった日
07.アリア
08.流星群
09.大我慢大会
10.孤独の合唱
11.ダンデライオン
12.GO
13.車輪の唄
14.supernova
15.ray
16.虹を待つ人
17.Butterfly
[ENCORE]
天体観測

【プロフィール】
バンプ・オブ・チキン/藤原基央(vo、g)、増川弘明(g)、直井由文(b)、升 秀夫(ds)。2000年にシングル「ダイヤモンド」でメジャーデビュー。

最終更新:8月10日(水)10時7分

M-ON!Press(エムオンプレス)