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【体操】男子団体12年ぶり金メダル!「王国復活」歓喜の舞台裏

東スポWeb 8月10日(水)6時0分配信

【ブラジル・リオデジャネイロ発】体操ニッポンに悲願の金メダルだ! 8日(日本時間9日)、体操男子団体総合の決勝が行われ、日本は6種目合計274・094点で1位となり、2004年アテネ五輪以来3大会ぶりの金メダルを獲得した。体操人生のすべてを懸けて今大会に臨んでいたエース内村航平(27=コナミスポーツ)をはじめ、メンバーは破顔一笑。体操王国を見事復活させ、チームがここまでまとまったのはなぜか? 歓喜の舞台裏を追った。

 先に演技を終え、2位ロシアの演技を待った選手、コーチは肩を組んで電光掲示板を見つめた。ロシアの最終演技者の得点が出て、合計得点が映し出されると、一番上にあったのは「JAPAN」。金メダルが確定した瞬間、選手たちは「やったー!」と絶叫し、輪になって歓喜に浸った。

 簡単な道のりではなかった。ブラジル特有のつんざくような歓声の中、日本はあん馬からスタートした。トップバッターの内村が完璧な演技で、チームを勢いづける。続く山室光史(27=コナミスポーツ)が落下してしまうが、加藤凌平(22=同)の安定した演技で締めた。

 6位で迎えた2種目目のつり輪も日本は集中していた。田中佑典(26=同)をはじめ、内村、山室全員がノーミス。続く跳馬では内村が大技「リ・シャオペン」、白井が「シライ/キムヒフン」を繰り出し、半分が終わった段階で2位に浮上した。

 日本が苦手とするあん馬、つり輪で踏ん張った良い流れが後半に生きた。平行棒も田中、加藤、内村が落ち着いてクリア。鉄棒も3人が15点台をマークし、全体トップに立って迎えた最終種目の床運動。白井健三(19=日体大)が大技「リ・ジョンソン」などを決めて16・133点の驚異的な得点を叩き出すと、加藤が安定した演技でつなぎ、最後の内村が着地までバッチリ決めて「栄光の架け橋第2章」を完結させた。

 ここまでチームがまとまったのも、ある“事件”があったからだ。7月9日の試技会でのこと。選手たちはこの日、予選本番を想定した演技を行った。居並ぶのは、体操協会の重鎮たち。ところが、選手たちはミスを連発し、出来があまりにも悪かった。ある代表選手の関係者が証言する。

「体操協会の二木英徳会長など、幹部たちはかなりオカンムリでした。『何やってんだ!』『ふざけるな!』と。内村が『本番までには合わせるから、これでいいんじゃないか』と言って、とりあえず収まったんですが…」

 試技会の目的は、その日までにきっちりコンディションを合わせること。細かいミスもそうだが、それ以上に「合わせられなかった」という事実が幹部たちの逆鱗に触れた。だが、気が緩んでいた選手たちは、これで一気にまとまったという。

 率先してチームを引っ張ったのはもちろん、内村だった。他の選手たちにあれこれ指図するのではなく、世界選手権個人総合6連覇してもここまで練習しているというのを体で示してきた。

「僕は言葉で言うより演技で伝えたいんです。あとは見て盗んでほしいと思っている」(内村)

 都内にあるナショナルトレーニングセンターでライバル中国の選手たちの映像が流れていてもまったく眼中になく、ひたすら練習に集中した。

 それは今大会が初五輪となった白井も同様だった。

「日体大では一番最後まで練習するのが白井です。大体、体操競技部の学生たちは午後8時に練習を終えるんですが、さらに2時間はやっていると思います。それも毎日やるので他の学生もついていけない」(日体大関係者)

 大学生活も決して派手ではない。他の学生がコンパをする中、白井は「コンパって何ですか?」と真顔で聞くほど練習漬けなのだ。父の白井勝晃さん(56)は「本人はやることがありますからね。授業も面白いと言っていますし、今は体操と勉強で頭がいっぱいなんでしょう。それでいいと思います」と目を細める。

 試技会でミスした加藤もしっかりこの日に合わせ、田中も本番で“美しい体操”を披露。山室にはミスがあったが、ロンドン五輪の跳馬で骨折した悔しさを晴らすことができた。

 それぞれ5人が力を合わせてもたらした大殊勲。体操ニッポンの復活は、4年後の東京五輪に向けても大きな弾みになった。

最終更新:8月10日(水)6時4分

東スポWeb