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大野将平“兄貴”の首に金メダル 天理大・穴井監督の前で初めてのうれし泣き

デイリースポーツ 8月10日(水)6時3分配信

 「リオ五輪・柔道男子73キロ級」(8日、カリオカアリーナ)

 男子73キロ級で13、15年世界選手権王者の大野将平(24)=旭化成=が、決勝でルスタム・オルジョイ(アゼルバイジャン)に小内刈りで一本勝ちし、日本柔道の今大会金メダル第1号となった。現在の階級制度になった00年シドニー大会以降、日本選手の同階級制覇は史上初で、日本男子としても金メダルは2大会ぶり。

 悔しくて泣いてばかりだった大野の目から、初めてうれし涙がこぼれた。「穴井監督に会って、いろいろ思い出して泣けてきた」-。14年に就任した天理大の穴井隆将監督(32)は「身近で兄貴のような存在」だ。

 12年ロンドン五輪では、100キロ級代表で出場した穴井氏を観客席から応援したが、メダルは獲れず「お前に託した」とバトンを渡された。「苦しいことも共有してきた。穴井先輩の分も2人でつかんだ金メダルだと思う」。勲章を兄貴の首にかけ、2人で泣いた。

 「苦しいこと」の中には自身の“不祥事”もあった。天理大柔道部で、当時主将の大野ら4年生が下級生に暴力を振るったという暴力問題。ただ、当該の行為が数カ月前にもかかわらず、報道が出たタイミングが大野の世界選手権優勝直後ということや「大野は小突いた程度」という話もあり、大野だけがやり玉に挙げられたのには疑問の余地もある。

 穴井監督は言う。「彼が悪かったという論調だが、指導者に一番責任がある。柔道界全体の問題だと思うし。世界王者として帰ってきたのに誰もおめでとうと声をかけられなかった。指導者も柔道界も暴力に目を配らなければいけない。そういう意味でも『リセットしよう』と言った」

 大野は謹慎中、山口市の実家で母・文子さんと柔道以外の進路も模索したが、地元の道場で少年たちを指導するうちに再び柔道と向き合う決意が芽生えた。頼れる“兄貴”とともに4年間の葛藤を乗り越えたことが圧倒的な強さで金メダルを獲る精神力を育てた。

最終更新:8月10日(水)7時43分

デイリースポーツ