ここから本文です

正恩氏側近の「スポーツ外交」不発 ブラジル首脳との会談も虚偽

聯合ニュース 8月10日(水)15時0分配信

【リオデジャネイロ聯合ニュース】リオデジャネイロ五輪が開催されているブラジルで活発な「スポーツ外交」を展開すると予想されていた北朝鮮の崔竜海(チェ・リョンヘ)朝鮮労働党副委員長だが、ほとんどの時間を自国の選手の応援や観光に費やしている。崔副委員長が5日にブラジルのテメル大統領代行(副大統領)と会談した、と伝えた北朝鮮の朝鮮中央通信の報道も事実ではないことが分かった。

 聯合ニュースが崔副委員長一行の動向を追跡した結果、一行は国際オリンピック委員会(IOC)主催のイベントへの出席や、競技場での応援、現地名所の観光をして過ごしていることが分かった。8日には卓球の競技会場でキム・ソンイ選手を応援した後、コルコバードの丘に立つキリスト像を見学した。

 今月4日(現地時間)にリオデジャネイロに到着した崔副委員長はIOCが手配したとされるリオデジャネイロ市内のホテルではなく郊外のホテルに11日まで滞在する。

 このホテルの顧客名簿には崔副委員長とクォン・ソンチョル元駐キューバ大使の名前が記載されていた。2人は隣り合わせの客室に宿泊しているもようだ。

 崔副委員長はリオに到着した初日にIOCのバッハ会長が主催する夕食会に出席し、各国要人やIOC委員と握手を交わし談笑した。夕食会にはテメル大統領代行も出席し多くの来賓と握手をしながら形式的なあいさつを行った。

 だが、朝鮮中央通信は7日、崔副委員長がテメル大統領代行と会談したと報じた。

 同通信は、崔副委員長がテメル大統領代行に金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の温かいメッセージを伝えた上で、ブラジルとの親善協力関係を発展させていこうとする北朝鮮政府の立場を伝えたと説明した。テメル大統領代行は北朝鮮との親善協力関係をさらに発展させていくつもりだと強調したという。

 聯合ニュースがこのほど確認したところ、同通信の報道は事実ではなかった。ブラジル外務省関係者は「北朝鮮から副大統領クラスの高官が派遣されたのは知っているが、テルマ大統領代行とは接触していない」と断言した。 

 同通信はほかにも崔副委員長がバッハ会長やリオ五輪組織委員長らと面会したという虚偽を報じている。

 こうした報道の背景には、北朝鮮で序列ナンバー2に当たる崔副委員長が国際社会の一員として正常な活動を行っていることを宣伝し、外交的にも経済的にも孤立している状況から抜け出そうとする意図があるとみられる。

 北朝鮮が4回目の核実験と事実上の長距離弾道ミサイル発射を実施した後、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議が履行されたほか、米国が人権侵害の疑いで金委員長を制裁対象としたことで今回の五輪ではスポーツ外交を展開し国際社会で孤立している状況を打開するのではないかとみられていた。 

 実際に、崔副委員長はテメル大統領代行との会談を複数回打診したが、そのたびに拒否されたといううわさが出ている。これについて、ブラジル外務省は事実確認を避けた。

 崔副委員長が宿泊しているホテルは治安の悪い地域にあり周辺には古い建物が立ち並ぶ。同ホテル関係者は外国政府要人が利用することはほとんどないと話した。

 崔副委員長は9日もアーチェリーや飛び込みの競技会場を訪問し北朝鮮選手を応援した。

最終更新:8月10日(水)15時30分

聯合ニュース