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「Windows Server 2016 Essentials」の機能と役割

@IT 8月10日(水)19時58分配信

 「Windows Server 2016 Essentials」は、25ユーザーおよび50デバイス以下の小規模ビジネス環境向けに最適化されたWindows Server 2016のエディションです。

【その他の画像】Windows Server 2016 Essentialsからサポートされる「Azure Site Recovery」との統合について

 Windows Server 2016 DatacenterおよびStandardエディションは、コアベースの新しいライセンスモデルが採用されていますが、Windows Server 2016 Essentialsは従来と同じプロセッサベース(物理プロセッサ2基ごとにサーバライセンスが1つ必要)のサーバライセンスです。

 また、Windows Server 2016 DatacenterおよびStandardエディションの場合は、クライアントデバイスまたはユーザーごとに「クライアントアクセスライセンス(CAL)」が必要ですが、Windows Server 2016 Essentialsは“CALなし”で利用できます。サーバライセンス内で仮想化インスタンスを追加したり、実行したりする権利は含まれませんが、「Hyper-Vの役割」はサポートされているので、仮想化ホストとして利用することも可能です。

 Windows Server 2016 Essentialsの新機能については、Technical Preview 5(TP5)が提供されている現在でも、マイクロソフトからは公式なドキュメントは公開されていないようです。そこで、筆者がWindows Server 2016 Essentials TP5を実際にインストールし、気付いた範囲で変更点を紹介します。

●そもそも、Essentialsでは何ができるのか?

 Windows Server 2016 Essentials TP5を一通り構成および操作してみた限り、基本的な機能はWindows Server 2012 R2 Essentialsとそれほど変わらないようです。

 Windows Server 2016 Essentialsのインストールが完了すると「Windows Server Essentialsの構成」ウィザードが自動的に開始し、ドメイン名や管理者アカウントなど、最小限のパラメータ設定だけでEssentialsのさまざまな機能を提供する「役割」や「機能」を自動的にインストールおよび構成してくれます。

 Windows Server 2016 Essentialsはドメインコントローラーとしてセットアップされ、「Windows Server Essentialsダッシュボード」でサーバのオプションを構成し、サーバとクライアントを運用管理できます。具体的には、次のような運用管理タスクを「Windows Server Essentialsダッシュボード」から一元的に管理できます。

・ユーザーおよびグループの管理
・サーバの記憶域と共有フォルダの管理
・サーバおよびクライアントの正常性の管理(更新プログラムの適用状況など)
・サーバおよびクライアントのバックアップと復元
・グループポリシーの管理
・メディアサーバ機能
・アドインによる機能拡張
・マイクロソフトのクラウドサービスとの統合

 また、Windows Server 2016 Essentialsでは「Anywhere Access」をセットアップすることで、社外のクライアントに対し、仮想プライベートネットワーク(VPN)やリモートWebアクセス(リモートアクセスのためのWebポータル)によるリモートアクセス環境を提供することができます。

 Windows Server 2016 Essentialsでは、Windows 7 Service Pack(SP)1以降とWindows 8/8.1の全エディション(Homeエディションを含む)のWindowsコンピュータ、Mac OS X 10.5 Leopard以降のMacコンピュータに対してコネクターソフトウェアが提供され、これらをクライアントとして簡単にセットアップすることができます。

 Windows 10への対応は、最新のコネクターソフトウェアの提供でサポートされました。Windows Server 2016 Essentialsのクライアントのシステム要件はまだ明らかになっていませんが、少なくともWindows 10は最初からサポートされます。

●「Windows Server Essentialsエクスペリエンス」とは?

 Windows Server 2012 R2と同様、Windows Server 2016 DatacenterおよびStandardエディションでは「サーバーの役割」として、「Windows Server Essentialsエクスペリエンス」がサポートされます。

 「Windows Server Essentialsエクスペリエンス」は、Windows Server 2016 Essentialsの機能をWindows Server 2016 DatacenterおよびStandardエディションで提供するためのもので、主に25ユーザー/50デバイスではカバーできない規模をサポートします。この機能を利用する場合は、クライアントまたはユーザーごとにCALが必要になります。

 「Windows Server Essentialsエクスペリエンス」を利用すると、既存のActive DirectoryドメインにWindows Server 2016 Essentialsのサーバをメンバーサーバとして追加したり、「Windows Server Essentialsダッシュボード」の管理機能やAnywhere Accessのリモートアクセス環境を簡単に導入したりできます。

●Windows Server 2016 Essentialsはオンラインサービス統合をさらに強化

 現行バージョンのWindows Server 2012 R2 Essentialsでは、「Azure Active Directory(Azure AD)」「Office 365」「Microsoft Intune」「Azure Backup」のマイクロソフトクラウドサービスとの統合、およびオンプレミスの「Exchange Server」との統合を簡単に構成できます。

 Windows Server 2016 Essentialsでは、さらにAzure仮想ネットワークとのサイト間VPN接続と、Azure回復サービスの「Azure Site Recovery」との統合のサポートが追加されています。

 Azure仮想ネットワークは、Microsoft AzureのIaaS(Infrastructure as a Service)環境(仮想マシン、サブネット、ストレージなど)と、オンプレミスの社内ネットワークを安全に相互接続します。Windows Server 2016 Essentialsのサーバを社内ネットワークの基盤サーバとして展開し、追加のWindows Serverをドメインメンバーとして参加させることができます。また、Azure仮想ネットワークを利用すると、Microsoft AzureのIaaS環境に追加のサーバを展開して、社内のドメインに参加させることが可能になります。

 Azure回復サービスとの統合は、Windows Server 2016 EssentialsのサーバをHyper-Vホストとしてセットアップした場合に、Hyper-V上の仮想マシンをMicrosoft Azureにレプリケーションできます。万が一、オンプレミスのHyper-Vホストが利用できなくなった場合には、Microsoft AzureのIaaS環境に仮想マシンを復元して、アプリケーションを迅速に回復できるようになります。

●筆者紹介 山市 良:岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。

最終更新:8月10日(水)19時58分

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