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歴史を好きになる! 子どもとめぐる「歴史的建造物」の見どころ

ベネッセ 教育情報サイト 8/10(水) 12:01配信

「歴史は暗記科目」という思い込みから、歴史嫌いになる子どもは少なくありません。しかし、「本来の歴史はただ覚えるだけのものではありません」と、神奈川県立歴史博物館・学芸員の丹治雄一さんは言います。
神奈川県立歴史博物館の建物は、旧「横浜正金(しょうきん)銀行本店本館」(国指定重要文化財・史跡)です。実際に、歴史を感じながら、建造物をめぐる楽しさを、丹治さんに聞きました。
※神奈川県立歴史博物館は、改修中のため、2018(平成30)年4月下旬まで休館予定です。

「おっ」という発見から歴史を好きになる

「年号順に出来事を覚えていく暗記科目」というのが、歴史嫌いの人が持つ歴史のイメージのようです。たしかに、学校の授業などでは、ある程度順序立てて覚えていくことが求められるかもしれませんね。
しかし、歴史的建造物を見学したり、博物館で生の資料を見たりする際には、順番や網羅性だけを意識する必要はありません。展示のキャプション(説明書き)も、気になったものだけをじっくり読めばよいのです。

大切なのは、「おっ」と関心を引いたものを突き詰めていくことです。子どもは、一つの面白さの「発見」から歴史への関心を広げていくことができます。大人が「しっかり説明を読みなさい」などと押し付けていく必要はないのです。

歴史的建造物を楽しませるには、子どもの発見を大切にしていくことが重要なのです。

歴史的建造物への子どもの関心のきっかけと広がり

子どもはどんなことで関心を持つと思いますか? 実は、決して脈絡なく興味をひかれているわけではないのです。
そこで、歴史的建造物に子どもが関心を持った時に、それを広げてるための観点を紹介します。

・歴史的事件
神奈川県立歴史博物館は、関東大震災でも崩れなかった建造物です。東日本大震災などの記憶が新しいので、震災について、現在の子どもたちは興味を持っています。こうした歴史的事件とひも付けることで、歴史的建造物への関心を促すことができます。

・地域の特徴
それぞれの地域には独自に育んだ歴史があります。その地域の特徴にからめて歴史的建造物を見ていくことで、子どもが関心を持つことは少なくありません。子どもは、学校などで地元についての学びを深めています。そのため、既に習った事項と結び付けて、建造物にも興味を持てるのです。
たとえば、横浜であれば、貿易に関する建造物や港などが、そうした地域の特徴を反映した歴史的建造物にあたります。また、他の地域の歴史的建造物を見ることで、自分の育った地域との違いなどを考えるきっかけにもなるでしょう。

・建物の元々の用途
神奈川県立歴史博物館は、旧「横浜正金銀行本店本館」です。館の中には金庫が残っており、子どもたちをそこへ案内すると、建物の元々の用途について実感することができるので、楽しんでもらえます。どんなに解説を尽くしても、実物を見るインパクトには負けてしまいます。それが、実際の建物や本物の資料を見る魅力といえるでしょう。

・建築技法の違い
現在は、大規模な建物は鉄筋コンクリートで造られることがほとんど。しかし、神奈川県立歴史博物館は、内側にレンガを積み上げ、外側を石で覆っています。もと銀行ですから、絶対に崩れないように頑丈に造られているのです。

このことから、時代に応じて、同じ目的を持っていても建築技法が違うということがわかります。学校など、子どもの身の回りの建物を引き合いに出して、現在と昔の建物の造りの違いを紹介すると関心が高まります。

子どもに多様な経験を提供しよう

なかには、歴史が「苦手」と感じている保護者のかたもいらっしゃるかもしれません。しかし、必ずしも、保護者のかたが歴史に詳しい必要はありません。知らないことが多いのであれば、博物館などで行われている「見学ツアー」にお子さまと参加してみるのも手でしょう。子どもの質問に、保護者だけが答えてあげなければいけないということはないのです。

むしろ、何かを押し付けてしまったり、「順番に見学しなさい」と導線をつくってしまったりするほうが子どもの関心が育つ機会を奪ってしまう危険があります。注意して、一緒に楽しめるとよいですね。

ベネッセ 教育情報サイト

最終更新:8/10(水) 12:01

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