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用意周到に進めてきた日産の“電池切り”

ニュースイッチ 8月10日(水)7時55分配信

「EVのリーダー」(ゴーン社長)の地位死守へ体勢立て直し

 日産自動車が電気自動車(EV)向けの電池を生産するNECとの共同出資会社オートモーティブエナジーサプライ(AESC、神奈川県座間市)の株式売却を検討している。日産はリチウムイオン電池の自前主義からの脱却を着々と進めてきた。

 EV「リーフ」は2015年末、日欧米で航続距離を伸ばした仕様を追加した。このリーフに搭載する電池は、座間市のAESCと日産の米国工場で生産している。前者で生産する電池の正極材は従来と同じNECエナジーデバイス製を採用しているが、後者の正極材は韓国LG化学製に切り替えた。

 さらに、今秋にも発売する主力小型車「ノート」のレンジエクステンダー(航続距離延長)方式のEV仕様の電池は、パナソニック製を採用することが決まっている。これまでEVの駆動用電池は内製かAESC製に限ってきたが初めて外部調達することにした。

 日産はエコカー戦略の主軸にEVを置き、その基幹部品となるリチウムイオン電池の開発・生産をNECと組んで自前で始めた。

 当時は車載用リチウムイオン電池を生産するメーカーが少なかった。ラミネート形状の独自の電池構造はノウハウが必要だったこともあり、リチウムイオン電池をコア技術と位置付けていた。だが電池事業を取り巻く環境が変わり、「外部との競争の中で最適なものを採用する」(カルロス・ゴーン社長)と方針転換した。

<低コストの新興国メーカーが台頭、自前主義脱却のきっかけに>

 環境変化の一つは新興電池メーカーの台頭だ。韓国の電池メーカー、LG化学は米ビッグスリーのほか、ダイムラーやアウディなど欧州メーカーへの搭載が決まっており取引先完成車メーカーは10社を超えている。

 取引拡大が量産効果を生んで電池の低コスト化につながり、さらに取引を拡大するという好循環になったようだ。一方の日産はEVが当初計画より販売が伸びず、量産効果を思うように生み出せなかった。

 資本提携先の仏ルノーも日産と一緒にEV拡大を進めているが、AESC製を採用した車種は限られる。むしろルノーはLG化学と15年に共同開発を結んでおり、AESCとは距離を置いていた。AESCは日産以外に納入先を広げられず、採算が悪化していた。

 新興EVメーカーの攻勢も激しい。米テスラモーターズは同社初の普及価格帯となる「モデル3」を17年から生産する計画だ。

 世界最量販EVのリーフは発売から5年後の15年にやっとのことで累計販売が20万台になったところだが、モデル3の受注台数は発表後1週間で30万台を超えた。中国のエコカー市場でシェアトップのBYDは電池を内製して低コストを武器に攻勢をかけている。

 日産はこうした環境変化を受け苦戦を強いられ、電池の自前主義の脱却を進めてきた。EVやプラグインハイブリッド車(PHV)といったリチウムイオン電池を多用するエコカーは、各国の環境規制の厳格化に伴って市場は拡大傾向にある。

 「EVのリーダー」(ゴーン社長)を自負してきた日産は、新興メーカーの猛追を受ける中で、AESCを手放すことで自前主義の脱却をさらに一段推し進め、激化するEV競争で体勢を立て直したい考えだ。

最終更新:8月10日(水)7時55分

ニュースイッチ

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