ここから本文です

「がん」にかかった時の自己負担額はいくら?

ZUU online 8月11日(木)17時10分配信

もし自分や家族ががんになったら……。もちろん命の心配が一番だが、すぐに頭をもたげるのは費用のことである。保険である程度はまかなえても、がんのステージによってかかる費用が異なるし、退院した後も意外な費用がかかる。

東北医科大学の教授がとった患者へのアンケートで年間の平均自己負担額を見るとともに、がんになった時の家計の負担という観点での「自己負担額」について考えてみる。

■保険適用にならないものが意外に細々と

「がんになってこんな費用に悩まされるとは」とため息をつくAさんのケースを見てみよう。Aさんは医療費について漠然とした知識はあったが、それでもやはり大きな悩みとなったようだ。

病院での治療のためさまざまな医療費がかかるが、健康保険の適用で自己負担は3割で済む(70歳未満の成人)。直接的な医療費の入院、手術料、検査料などはまず安心できる。

さらにAさんの場合、入院・手術と医療費は総額約100万円かかったが、実際の退院時の支払いは約8万円。これは1カ月にかかった医療費の自己負担額が、一定の金額を超えた場合に、健保に申請した「高額療養費制度」が適用されたためだ。

年齢や所得によって自己負担額は異なるが、Aさんの場合は「8万100円+(総医療費-26万7000円)×1%」。事前に調べておいたことが役立った。

しかしAさんの想定外だったのが、保険適用にならない次のようなものだった。

◎ 差額ベッド代(1日2万円)……個室に入ったため。東京都の1人部屋は1日平均7812円だが、Aさんの病院は都心にあるため高額になった。
◎ 家族の交通費……妻は体調が思わしくなく、タクシー通いだった。
◎ 入院中の食事代の一部……自己負担3割の対象外のため。360円×3食=1080円を負担。
◎ 入院中の日用品、雑費……病院内のコンビニはスーパーで買うより高め。
◎ 診断書などの作成費用……がん保険の給付金申請のため。1通5000円~1万円。
◎ 先進医療の技術料……全額自己負担だが、厚生労働省が「先進医療」と認めたものは保険診療との併用が認められるようになった。Aさんの場合は先進医療費20万円が自己負担だったが、通常の治療と共通する部分の診察、検査料などは保険が適用される。

■通院しながら治療を続けると……

Aさんは前立腺がんと診断されたが、手術後約3週間で退院。通院しながら抗がん剤治療を受けることになった。

抗がん剤やホルモン治療は1回5000円~3万円で、月2~4回の治療を受ける。これも全額自己負担だ。ただ、Aさんはがん保険の特約で抗がん剤治療をつけていたので、家計への影響は少なくて済んだ。

Aさんの例のように、がん患者の入院日数は平均19.9日と16年前より20日も短縮している。これは医療技術の進歩や、早期退院を促す病院側の治療方針などにより短縮化が進んでいるためだ。

■治療以外でかかるお金に困惑

Aさんのがんとの長い闘いは始まったばかりだが、治療以外でかかるお金が増えた。抗がん剤治療は副作用もあり、身体への負担が大きい。退院してからも付き添いの家族とともに普段からタクシー通いになってしまった。外出する際も同様だ。

女性の乳がんの場合、乳房を全摘したときに使う専用パッドや下着、抗がん剤の副作用で髪が抜けた場合の医療用かつら(ウィッグ)などの費用を想定しておいたほうがいい。価格はまちまちなので、高額になる場合もある。

がんは進行するにつれ自己負担が大きくなる傾向があることも注意が必要だ。がんのステージは、腫瘍の大きさ、転移の有無などにより大きく5つ(0~4期)に分けられるが、進行がんほど、当然治療の費用は増していく。

心理面の影響も見逃せない。Aさんも覚悟をしていたとはいえ、がんはかなりのショックだった。気晴らしに高額な買い物もしてしまった。医師からは勧められなかったが、治癒促進効果があるなどと宣伝されているサプリメントや健康食品も大量に購入した。いつもがん再発の可能性が頭をよぎり、がんの知識を得ようと書籍などの購入も増え、結局、20万円以上の出費になったこともあったという。

また妻が病弱なため家事をサポートする家事代行サービスも使うようになった。これなども、がんとは直接関係ないものの、がんによる家計負担が増えたと理解していいだろう。

■がんと家計の自己負担額は92万円

がんになった場合、自己負担するお金はいったいいくらになるのだろうか。東北医科大学の濃沼信夫教授らが行った、がん患者に対するアンケート調査(2010~2012年度)によると、年間の平均自己負担額は92万円。大腸がんでは約126万円、肺がんでは約107万円、乳がんでは約65万円となっている。

注目すべきは心理的な影響だ。この回答者のうち、3割超の人が健康食品・民間療法にも支出し、平均額は年20.5万円にのぼったという。

「5年生存率」という言葉にあるように、がんの完治の目安は治療後5年間再発しないことだ。しかし、その間は再発予防や検診などで通院しなければならないうえ、心理的な不安も大きい。がんの費用に関しては、治療費は当然だが、家計全体から見てどんな支出があるのか、改めて考えておいたほうがいいだろう。(ZUU online 編集部)

最終更新:8月11日(木)17時10分

ZUU online

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

地球外生命を宿しているかもしれない1つの惑星と3つの衛星
地球外にも生命はいるのでしょうか?NASA(アメリカ航空宇宙局)の惑星科学部門の部門長であるジェームズ・グリーンと一緒に、地球外生命を宿していそうな場所を太陽系内の中で探してみましょう。 [new]