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「薬物使用者」呼ばわりがきっかけで中国と豪州が五輪で場外戦

東スポWeb 8月11日(木)6時0分配信

 五輪の晴れ舞台で中国とオーストラリアの“場外バトル”が過熱! 競泳男子400メートル自由形で金メダルを獲得したオーストラリアのマック・ホートン(20)が、2位の中国・孫楊(24)を「薬物使用者」呼ばわりした。これに激怒した中国水泳協会は、オーストラリア水泳連盟に抗議文を送付。両国は南シナ海問題で対立しているだけに、中国はこの一件を外交問題に発展させる気だ。すでに工作員はオーストラリアのテレビ局にまでイチャモンをつける始末。お家芸のクレーマーぶりを、五輪の場でもいかんなく(?)発揮している。

「スポーツに政治は持ち込まない」という不文律は過去に米ソの五輪ボイコットなどで侵されてきたが、中国にも通じないようだ。

 ホートンの発言は、6日の男子400メートル自由形の競技前の練習でロンドン五輪の同種目金メダリスト・孫のあいさつを無視したことが発端とされる。

 中国人記者らの取材に対し、孫を「薬物使用者」「詐欺師」と表現して大騒動に発展。一部では孫を「バカ」「薬物詐欺」呼ばわりしたとも報じられた。孫は2014年にドーピング検査で興奮剤トリメタジジンに陽性反応を示し、3か月の出場停止処分を科されている。

 それでも中国人記者は発言を問題視。6日の決勝レース後の記者会見で真意を問いただすと、ホートンは「彼がドーピング検査で陽性だったからだ」「ドーピング検査で陽性反応を示した選手と同じプールで戦いたくはない」とやり返した。

 その後に「私はドーピング検査で陽性反応だった選手に対し不満があっただけで、孫に対してではない」と釈明したものの、後の祭り。会見場は中国人記者による“炎上芸”が繰り広げられ、たきつけられた孫は「己が潔白なら説明するまでもない。五輪に参加する選手はみな尊重されるべきだ」と反論した。

 中国メディアはそんな孫を「腹を立てることなく、顔に笑みさえ浮かべていた」とヨイショ。孫は8日の男子200メートル自由形で優勝した。

 国営新華社通信によると、中国水泳協会はオーストラリア水泳連盟に謝罪を求める抗議文を送付。中国のネット上でも「ホートンは試合で勝って、人格で負けた」「彼は自分が使った新薬に陽性反応が出ない自信があるのだろう」といった批判が大量に書き込まれている。

「昔からドーピング大国といえばロシアと中国。事実、中国は今年春に競泳6選手が過去のドーピング検査で陽性だったことを公表した。国家ぐるみの隠蔽もささやかれているだけに、非常にナーバスになっている」とは中国系ライター。

 オーストラリアのキティ・チラー選手団長は「我々に謝罪する考えはない!!」と明言しており、騒動は過熱の一途だ。

 騒動には別の狙いもうかがえる。中国とオーストラリアは、南シナ海の領海問題で対立中。南シナ海をめぐっては、中国の人工島造成などの動きにフィリピン、ベトナムなどが反発し、日本も中国を批判している。

 ほぼ全域で中国が主張する主権などは国際法に反するとしてフィリピンが求めた仲裁手続きでは先月、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所が、中国が独自に引いた境界線「九段線」で囲った海域に歴史的権利があるとの主張は「法的に根拠がない」とした。

 オーストラリアは中国の領有権主張を否定した仲裁裁判所の判決に従うように求めて、中国側がこれに猛反発している。

 関係者は「今回のホートン発言を政治利用し、南シナ海問題でけん制しようとする狙いがアリアリだ。中国の共産党機関紙が連日この問題を取り上げ、オーストラリアへの敵対感情をあおっているのが何よりの証拠」と指摘する。

 さっそく、工作員も動いている。同国のテレビ局「チャンネル7」にはクレームが殺到。5日のリオ五輪開会式を中継した際、中国選手団が入場した途端にCMに切り替わったことや、中国選手団を映した時間が2秒だったこと、さらに各国のメダル予想を取り上げた際に、中国旗と間違えて南米チリの国旗が表示されたことなどを挙げ、同局に抗議電話やメールを大量に送りつけているという。同局は謝罪したと報じられた。

 リオ五輪では、表彰式で掲揚される大半の中国旗が、正式な国旗と「微妙に違う」と中国側が大会組織委員会に抗議し、謝罪を受けたという。

 クレーマーぶりを競う種目があれば、中国が間違いなく金メダルだ。

最終更新:8月11日(木)7時19分

東スポWeb