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南相馬避難指示解除から1カ月 住民帰還妨げる事例も

福島民報 8/11(木) 10:53配信

 東京電力福島第一原発事故に伴う福島県南相馬市の居住制限、避難指示解除準備両区域が解除されて12日で1カ月となる。避難対象だった約1万700人のうち自宅に帰ったのは市の推計で約500人。少しずつ帰還が進む傍ら、条例上の制約や業者不足などで住宅再建が進まない事例もあり、帰還の妨げになっている。 
 市によると7月末時点で、旧避難指示解除準備区域に戻ったのは198世帯393人、旧居住制限区域は2世帯6人。帰還を報告していないケースも考慮し、市は帰還人数を推計した。旧居住制限区域の帰還者数が少ない。市の担当者は「線量への不安が要因だろう。環境省に着実なフォローアップ除染の実施を求めたい」とした。 
 「うれしさ半分、さみしさ半分だな」。小高区羽倉の無職大井守さん(80)は避難指示解除直後、仮設住宅から自宅に戻った。愛着のあるわが家での生活を取り戻し、安堵(あんど)感をかみしめる。周りの住民がほとんど帰還していない現実にも直面している。小さい子どもがいる世帯で「戻らない」という人が多いという。「特効薬はない。時間が必要だろう」と複雑な表情を見せた。 
 帰還したくてもできない住民もいる。小高区から鹿島区に避難を続けている団体職員浦令子さん(53)は「自宅の再建ができない」と訴える。県の条例では、崖地の近くに自宅を建てる場合、崖の高さから二倍以上離れた場所に建築するか、崖に擁壁を造る-などと定めている。浦さんの家は条例施行前の建築で条例は適用されなかった。だが、新築時には条例に沿わなければならない。浦さんは「同じような悩みを抱える人は多い」と語った。 
 復旧事業による建築業界の人手不足に伴い、家の新築やリフォームが数年待ちになるケースも出ている。市は「空き家バンク」事業や県の工務店などの紹介制度を活用しながら帰還促進につなげる考えだ。 

福島民報社

最終更新:8/11(木) 11:25

福島民報