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【リオ五輪】生きるため暗い海を泳いだ シリアを脱出したスイマーがあきらめない理由

BuzzFeed Japan 8月11日(木)9時27分配信

それは暗く冷たい海だった。ヨーロッパを目指す約20人の難民ですし詰めのゴムボート。エンジンが止まり、水が流れ込む。かつて五輪を夢見て練習を重ねた少女は迷わず飛び込み、海水をかいてボートを押した。命をかけてドイツに渡ったこのシリア人難民が8月10日、リオ五輪の舞台に立った。競泳選手として。

シリア出身のユスラ・マルディニ(18)は3人姉妹の真ん中。コーチだった父の影響で、3歳で水泳を始めた。

シリア代表チームのメンバーとして、大会にも出た。だが、2011年の反体制運動を引き金に始まった内戦は激化。練習するダマスカスのプールは爆弾で屋根に穴が空いた。自宅は焼けた。

終わりの見えない内戦。トルコやヨーロッパに散る難民の数が400万人を超えた昨年、ユスラもドイツを目指し、シリア脱出を決意した。BBCに語る。

「途中で死ぬかもしれない。でも、祖国では、わたしは死んだも同然だった」

<シリア内戦> 強権的なアサド政権への反体制運動から内戦に。混乱の中で過激派組織が勢力を伸ばし、米やロシアも介入して泥沼化した。難民は8月現在480万人超。死者47万人という推計もある。

シリア脱出

ユスラはBBCなどにドイツまでの道のりを次のように話している。

2015年8月12日、姉サラや父の従兄弟たちと国境を超えた。まず隣国トルコへ。
ジャングルで過ごす夜。食べ物もない。水もない。武装した男たちがうろつき、死と隣り合わせだった。

ボートで海を渡る

ヨーロッパへ向かうには、トルコ西岸からエーゲ海を渡らなくてはならない。密航業者に金を渡して乗り込んだゴムボート。6~7人乗りに20人ほどがすし詰め状態になった。

出発して30分ほど、モーターが止まる。浸水が始まり、転覆を避けようと持ち物が海に投げ捨てられた。

夕闇が迫る海。パニック状態だった。

泳ぎの得意な姉サラがまず海に飛び込んだ。サラが止めるのも聞かず、ユスラも反対側に飛び込んだ。片手でボートをつかみ、もう片方の手と足で、平泳ぎを始めた。

ほかに泳げた何人かの乗客も手伝って、凍てつく海をボートを運びながら、交代で泳ぎ続けた。

「もし海で溺れたら、本当に恥ずかしいと思いました。水泳選手だから」

3時間半後、ギリシャ・レスボス島に乗り上げた。寒さと疲労で震えが止まらず、倒れ込んだ。全員が無事だった。

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最終更新:8月11日(木)9時27分

BuzzFeed Japan