ここから本文です

日本鉄道賞において「最高水準の安定輸送」と太鼓判 遅延を即座に回復させる京急の「現場力」

乗りものニュース 8月11日(木)7時0分配信

「影響のない区間はできる限り運行する」が鉄則

 京急電鉄は2015(平成27)年10月、「日本鉄道賞」において「高度な安定輸送実現」特別賞を受賞しました。

【動画】つり革も「小道具」に 走る電車で最新水着ファッションショー 京急

 その選考理由は「列車の遅延を最小限に抑制した、わが国で最高水準の安定輸送を着実に提供してきたこと」「ハード面の改善と工夫を長期にわたって積み重ねてきたことに加え、『人間優位』の運行管理思想を社内の隅々まで徹底してきたこと」というものでした。

 では、どのようにして列車の遅延を最小限に抑制しているのでしょうか。

 京急電鉄は「故障や事故などで電車が止まったときでも、影響のない区間はできる限り運行するというのが京急電鉄の鉄則です。日頃から、沿線にある4つの運転区においては、運転のエキスパートである運転主任が、信号テコを操作することで信号機やポイントを切り替えます。トラブルが発生した場合は、全線の列車の運行状況を監視する運輸司令と連携し、運転整理を行い、各列車をコントロールします。遅延を最小限にし、ダイヤを正常に戻すためには、臨機応変に対応できる“人”のほうが自由度が高く、効果的だと感じています」といいます。

 その実例として、2015(平成27)年12月に羽田空港国内線ターミナル駅(東京都大田区)で発生した車両故障の影響で、同駅の2番線が使用できなくなった際の対応を聞きました。同駅では、品川方面と横浜方面の2種類の系統の列車が交互に1、2番線ホームを使用しているため、片側のホームが使えなくなると、どちらかの系統が乗り入れることができなくなります。同時に、同駅では1線が使えなくなると、発着可能な本数が、2分の1に制約されるため、品川方面、横浜方面どちらかの系統を整理しなければなりません。

運転主任の腕の見せどころは、京急川崎駅での折り返し作業

 この時、運輸司令が出した指示は「横浜方面からの羽田空港方面行き列車は通常運行」「品川方面からの羽田空港方面行き快特を京急蒲田駅止まりにし、京急川崎駅まで回送して折り返す」というもの。

 これは、空港線内では各駅に停車する横浜方面からの列車(エアポート急行)を通常通り運行することで、空港線内各駅の利便性を確保するとともに、品川方面からの羽田空港行列車(快特)については、京急蒲田からの上り方向は通常通りのダイヤで運行することで、本線への遅延の波及を抑え、全線への影響を最小限にとどめるための判断といいます。

 そして運輸司令から指示を受けた運転主任の腕の見せどころは、京急川崎駅での折り返し運転です。本来、品川方面から空港線に入るはずの快特を、通常ダイヤで本線を運転している列車の合間を縫って折り返させます。運転主任は乗務員と連携して京急川崎駅での折り返し運転を行い、ダイヤの遅れを最小限にとどめることができたということです。

 京急電鉄によると、今後も現場一人ひとりの力の積み重ねた“現場力”によって、トラブル発生時も列車の遅延を最小限に抑制するほか、安全・安定輸送の提供に努めたいとしています。

青山陽市郎(乗りものニュース編集部)

最終更新:8月12日(金)12時23分

乗りものニュース