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防犯カメラなし56%…福祉施設が対策苦慮 費用や地域連携で難しさ

埼玉新聞 8月11日(木)2時8分配信

 相模原市の知的障害者施設で入所者19人が刺殺された事件を受けて、埼玉県が県内41の社会福祉施設などを対象に調査を行ったところ、56%の施設で防犯カメラを設置していないことが分かった。防犯カメラ設置には費用面の課題のほか、過度な防犯が地域に開かれた施設に逆行しかねないという声もあり、施設の運営者は防犯対策に苦慮している。

 県の調査は県内の障害者支援施設や特別養護老人ホーム、児童養護施設など入居施設1077施設のうち41施設を対象に7月28日から8月3日にかけて行われた。

 調査結果によると、不審者の侵入に対応する危機管理マニュアルを作成していない施設は56%。警察の協力を得た防犯訓練を実施していないのは85%に上り、42%は緊急時に直ちに警察や消防などに通報できる体制を整備していなかった。一方、76%の施設が夜間の参集体制や非常連絡網を整備。88%が外灯(防犯ライト)を備え、83%が緊急時における利用者の避難経路を確認していた。

 相模原事件を受けて、9日に県内社会福祉施設10団体の代表者などが集まった県の防犯対策検討会議では、「防災対策は積極的に取り組んできたが、防犯対策は不十分」との意見が多かった。

 会議では、相模原事件の現場となった「津久井やまゆり園」と同様に知的障害者らが入居する「県立嵐山郷」(嵐山町)の担当者が防犯体制の現状を説明した上で、小川署との防犯訓練の実施、携帯型通報装置や防犯カメラ、さすまた、催涙スプレーなどの防犯用品の導入などの見直し案を示した。

 会議で県が防犯カメラや電子錠、防犯ガラスなどの導入を検討すべき事項としたことに対し、出席者からは「膨大な費用がかかる」「県から補助などの支援は受けられるのか」など懸念する声も。マニュアル作成でも「施設側は地域との連携を大切にしてきたので、がんじがらめになるようなマニュアルにはしないでほしい」との意見があった。

 会議に出席した障害者支援施設「江南愛の家」(熊谷市)施設長で、県発達障害福祉協会の長岡均会長は「各施設には今まで地域と積み上げてきたものがある。防犯を強化することで、地域との信頼が崩れてしまうのは寂しい。防犯はもちろん大事だが、地域に開かれた施設に逆行しかねない面もあり、本当に難しい問題」と話した。

最終更新:8月11日(木)2時8分

埼玉新聞