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みみめめMIMI、ツアー最終は新たな物語を散りばめたステージング/ライブレポート

MusicVoice 8月11日(木)18時1分配信

 シンガーソングライターで声優のタカオユキとイラストレーターのちゃもーいからなる、目と耳から刺激する新世代視聴覚ユニット、みみめめMIMIが『みみめめMIMI LIVE TOUR 2016「微炭酸ファンファーレ」』を開催。7月31日、東京・恵比寿LIQUIDROOMで、そのファイナルを迎えた。

ライブレポート(写真)

 昨年、シングル『天手古舞』のリリースあたりから、自身の音楽に対する向き合い方に大きな変化を感じたというユキ。その経緯を経て、彼女らは8月17日にニューシングル「晴レ晴レファンファーレ」をリリースする。ポップで明るい雰囲気をベースに、さらに自身の世界観を昇華させたアクティブなこのナンバーを引っ提げ、また新しいみみめめMIMIを見せるべく今回のツアーを敢行。

 近日、特にライブ活動を活発に行っていることも合わせて、この日のステージで彼女らはさらに進化した姿を見せてくれた。

■覚悟を自らに問いかける「Am I Ready?」

 満員となった会場の中、予定のスタート時間を5分ほど過ぎたころ会場は暗転し、流れていたSEも途切れた。不意に訪れた、静寂のひと時。やがてはステージにはバックライトの青い光がともり、ぼんやりした影を投げかける。そして雨音のSEとともに、アコースティックギターを抱えたユキがステージに登場。ユキが息を整えたころには、誰もが口を閉ざし、静寂な会場の中で緊張感すら感じさせる空気を醸し出していた。右腕を一振り、ギターのコードを鳴らし、ユキが歌い始めたのは「Am I Ready?」。

 歌の最初には「Am I Ready?」と自身への問いを投げかけ、対してエンディングには「I am Ready.」と自身に答える。そのつながりは、自らが抱えた迷いを払拭し前に進もうとする勇気を示しているようにも見える。そんな歌を歌うユキの姿は、会場の観衆一人一人に、まるで物語の序章を聞かせているかのよう。この日のステージは、まさにみみめめMIMIが作り上げるいくつかの物語を表すもの。

 頑張るって決めたんだ だって人間だもの
 前へ息をしなくちゃ
 何度も頷くんだ 自分の胸に “I am Ready.”

 そう歌が締めくくられ、プロローグは終わった。そして、ブルーを基調としていた少し寂し気な雰囲気のステージが、一気に明るくなる。この日、ユキが身にまとっていたのは、白を基調とした衣装。今回リリースされたニューシングル「晴レ晴レファンファーレ」のジャケットにもイメージされているものに近い、今までのカラフルなものとは違ったシンプルなものだ。しかし新しい一面を強く見せるスタイルとして印象付けられるものでもあった。

 4つ打ちのビートともに、ステージ背面にはツアータイトルにもなっている「微炭酸ファンファーレ」の文字が。そして「行くよ!」というユキの呼びかけで、「瞬間リアリティ」から、いよいよ物語の本編は始まりを告げた。

■ステージで様々に描かれるみみめめMIMIの「物語」

 待ってましたとばかりに観衆が振るサイリウムが、宙を舞う。ユキの呼びかけに合わせる手拍子、合いの手の声。高く、さらに高くジャンプする者もいた。みみめめMIMIの歌は、最も声が響き、突き抜ける部分で、一番気持ちを揺さぶられる言葉が響いてくる。この日もその気持ちのこもったユキの一言一言が、観衆の気持ちを大きく揺り動かしていた。さらに「1,2,少女」「相対性レプリカ」と続くナンバーで、人々の気持ちをもっと上へと持ち上げながら、ユキは叫んだ「Are you Ready!?」

 少し興奮した表情で、ライブを心から楽しむ観衆。その人々に、ユキは語り掛ける。「ちょっと恥ずかしいんですけど…。今日はみなさん、私とデートしに来たつもりで楽しんでください!」。そして、会場には夏祭りに出かけようとする二人の男女の会話が流れ、次の曲「閃光ハナビ」へ。そして曲は「センチメンタルラブ」「no name love song」と、切ない恋心が曲を追うごとに深く表現されていく。“片思い”なのに“君を好きになれた”、「1メートル」の詞に表現された、恋への前向きな気持ちが、聴く者の気持ちをぐっとつかむ。ここに描かれた物語は、まさに「淡いひと時の恋」のようだった。

 そして、ステージは中盤、一転しておもちゃ箱をひっくり返したような楽しさを見せる「チャチャチャ」から、近日みみめめMIMIのライブではよくおこなわれている、ユキの「ステージでお弁当を作る」コーナーへ。ステージで弁当?という疑問など無意味と思えるほどに、お弁当を作るユキの声が近くに聞こえ、楽しさを運び込んでくる。そのひと時に観衆が下した評価は「星三つ!」。そしてその楽しさをさらに盛り上げるように「O.B.E.N.T.O」へ。これも彼女らの作り上げた、楽しい時を表した一つの物語だ。

 いよいよ「CANDY MAGIC」からステージは後半、クライマックスに向けて大きな盛り上がりを見せ始めた。「お絵描き」「天手古舞」と、曲を追うごとに打ち鳴らされるビートは激しくなり、それに合わせてユキの歌も感情表現が激しくなっていく。そして「みんな最後に、一番カッコいいところを見せてください!」と観衆をあおり、「サヨナラ嘘ツキ」へ。<嘘ツキの心に サヨナラ>、曲のラストに叫ぶように歌われるこの一節で、最初に歌われた「Am I Ready?」の表現がオーバーラップし、改めて人々を後押しする流れを見せていく。その空気を確かなものにするかの如く、ラストナンバー「晴レ晴レファンファーレ」へ。そして会場の観衆すべてに向けたエールとともに、ステージは終わりを迎えた。

■歌が自分に沁みつく―本当の意味で自分の曲となる瞬間

 さらにアンコールに応え、登場したみみめめMIMIの面々。ここでは未発表の新曲「1/2ぶんこ(はんぶんこ)」が披露された。みみめめMIMIらしい、ポップで明るく、カラフルなサウンドが、会場を再び明るい色に染め上げていく。そして、この日の最後を飾ったのは、ピアノの弾き語りによる「ミッディ」。みみめめMIMIの楽曲は、これまでもたびたびステージでピアノの弾き語りにより披露されているが、回を増すごとにその曲としての味わいを、深いものとしている。それは自分の歌を、大事に自分自身に沁みつかせた結果でもある。

 曲のラストのサビで見せた、大きなブレイク。そしてそこに強く込められた情感は「まるでこの瞬間のために、この日があった」とも思えるような、深い余韻を残していた。曲が終わるとユキはマイクを使わず、両手で口を囲みフロアに向かって叫んだ。「今日はありがとう!」その一言に、惜しみない拍手が寄せられる。そして誰もいなくなったステージには、みみめめMIMIからのラストメッセージが写し出された。「ありがとうございました! シュワッシュワの夏を過ごしてね!」

 明るくポップで爽やかなサウンド、一方ではセンチメンタルな物語、さらにはシリアスでクールな雰囲気と、様々な面を持つみみめめMIMIの魅力。音だけでなく、ちゃもーいと作り出す彼女らのおとぎ話のような世界は、また一つ新たな章を追加してくれたようにも見えた。この日はまた、秋に2年ぶりのフルアルバムをリリースすることが発表された。ステージの端々で見えた、新たなステップへ向かうかみみめめMIMIの決意の強さ。その結果が、新たなアルバムで存分に見られることを、心待ちにしたい。(取材・桂 伸也)

最終更新:8月11日(木)18時1分

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