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社説[尖閣に中国公船]緊張煽る行為をやめよ

沖縄タイムス 8月11日(木)9時45分配信

 今月5日から連日、中国海警局の公船や多数の漁船が尖閣周辺を航行する行動を繰り返している。一部は領海にも入っている。日本側はその都度抗議しているが、中国がやめる気配はない。

 9日には岸田文雄外相が程永華駐日中国大使を呼び、抗議した。だが、その後も公船などの航行は続いている。日中の「対話」が成立していないことを示すが、中国は緊張を煽(あお)る行為をやめるべきだ。

 外務省と海上保安庁は、ホームページ(HP)に5~10日の中国公船などの活動を写真付きで掲載。英語版も準備しており、政府は国際世論に訴える考えだ。

 HPによると、同期間に領海に入った公船は延べ28隻、漁船は72隻に上る。接続水域での操業は日中漁業協定で認められているが、漁船は200~300隻と大規模だ。今年6月には中国海軍の軍艦が接続水域を航行。力を背景にした現状変更の意図は東シナ海の緊張を高め、国際社会の信用を失わせるだけである。

 中国の狙いはどこにあるのだろうか。

 公船が領海に入ることを既成事実化し、実効支配している日本に揺さぶりをかける。南シナ海問題で日米の連携にくさびを打ち込む。国内問題も絡んでいよう。中国が独自に境界線を設定した南シナ海の「九段線」を巡る仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)で中国は完敗。中国共産党内部の不満を東シナ海に向けようとしているのではないか-。

 政府も国民も互いに不信感を募らせる中、政府は中国の意図を正確かつ冷静に分析する必要がある。だが、そのチャンネルは乏しい。

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 心配されるのは現場海域でちょっとした行き違いから偶発的に起こる衝突だ。尖閣問題は、話し合いで解決することを日中とも改めて確認しなければならない。

 抗議を受けた程氏は「中国固有の領土だ。中国の船舶が活動するのは当然だ」と反論する一方で、「事態をこれ以上複雑化させないよう、お互いに努力すべきだ」とも話した。「お互いの努力」に言及したことに注目したい。

 安倍晋三首相と習近平国家主席は2014年の初会談で対話を通じて不測の事態を避けることで一致した。その方向でしか解決の糸口は見いだせない。そのためには相互の不信感を取り除き、日中の対話のチャンネルを構築しなければならない。

 だが、不測の事態を防ぐための「海上連絡メカニズム」を設置する協議は遅々として進んでいない。

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 中国で9月上旬に20カ国・地域(G20)首脳会合が開かれる。政府は事態をこれ以上こじらせないためにも、日中首脳会談を実現するよう尽力してもらいたい。

 それで問題が一気に解決に向かうとは思わないが、首脳同士が直接対話を重ねる外交努力が重要だ。

 中山義隆石垣市長は10日、外務省と海上保安庁に「毅然(きぜん)とした態度で取り組んでほしい」などと要請した。

 日中が関係改善を図ることが、東シナ海の平和と安定の大前提である。

最終更新:8月11日(木)9時45分

沖縄タイムス