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政府が掲げるスローガン「貯蓄から投資へ」は、とんでもない間違い

THE PAGE 8/22(月) 17:00配信 (有料記事)

 貯蓄から投資へ」という政府が掲げたスローガンをもとに、今年から少額投資非課税制度(NISA)の非課税枠が拡大され、ジュニアNISAの運用も開始されました。さらに2017年度からは、個人向け確定拠出型年金(DC)の加入対象が広がることになります。しかし、経済理論上は、貯蓄と投資は同じものです。なぜなら、企業があなたの貯蓄を使って投資をするか、あなたが自分の貯蓄を使って投資するかの違いでしかないからです。

 この連載では、45年以上世界の金融市場に携わってきた、あおぞら証券・顧問の伊藤武さんが、将来的に確実に利益が期待できる投資についての考え方を解説をします。初回は投資についての正しい理解と考え方についてと投資を始める前の心得を紹介していきます。


  「貯蓄から投資へ」この考え方じたいが大間違い

日本人は手持ちの金融資産を銀行預金に委ね、それは大きな問題を提起しています。統計的に、個人金融資産総額の55%程度が預貯金で、証券投資は10パーセントそこそこに留まっています。

 米国の場合はほぼ対照で、米国人の個人金融資産のうち10数パーセントが現預金で、証券投資は50%を超えています。長らく日本の金利はほぼゼロパーセントで推移していますが、デフレ環境では、その状況を我慢し続けているのが現状です。ただし、それでは老後のための利殖は不可能です。

 この事実は、政策当局が最も切実に認識しています。そこで、政府が「貯蓄から投資へ」のスローガンを掲げ、リスクも伴うが、長期的には証券投資による蓄財を率先して奨励しています。ということは、預金は安全であるが、ゼロ金利が今や常識となっている日本で、「老後の蓄えはリスクをとっても、利潤を生む証券投資をしなさい」との切実な訴えです。ところが、銀行預金は安全で、証券投資はリスクが伴うという考えは、とんでもない誤謬です。


  GDPの計算式にみる「投資」とは?

 経済学を学ぶ者なら、最初に教えられるのが、国内総生産とその方程式です。経済学を学んだことのない人でも、新聞を読めば、国家の経済規模は国内総生産 (GDP) で表現され、そのGDPの規模と推移により、日本経済がどのように動いているかを認識します。日本のGDPは米国、中国に次ぎ、世界第3位となっています。アベノミクスは2020年に日本のGDPが600兆円に達成する目標を掲げています。では、GDPは何から構成されているのでしょうか。

 その方程式は:

  **国内総生産 (GDP)=消費(C) +投資(I)+政府支出(G)+輸出(Ex)-輸入(Im)**

 なにも難しく考えることはありません。GDPの内訳はおおよそですが、家計消費が60%強、設備投資は約15%、政府支出は20数パーセントと外需は輸出マイナス輸入で、プラスになったりマイナスになったりです。そして金融統計の配分で重要なのが投資であり、その投資は貯蓄により賄われます。すなわち、

その方程式は:

  **投資(I)=貯蓄(S) **

  すなわち、経済理論上「貯蓄」と「投資」は全く同一です。なぜならば、あなたが銀行に「貯蓄」として預けられたお金は、巡り巡って企業が「投資」に使うことになるからです。あなたが間接的に投資するか、直接的に投資するという違いでしかないのです。経済学の方程式等を取り上げましたのは、投資家はこの事実をはっきりと認識する必要があり、それが投資の出発点となります。「貯蓄から投資へ」などの表現は不正確であるのみならず、投資議論の本質を混乱させる要因です。本文:6,871文字 この記事の続きをお読みいただくには、THE PAGE プラスの購入が必要です。

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最終更新:8/22(月) 19:41

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北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。