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ジョン・ファヴロー監督が語る映画『ジャングル・ブック』

ぴあ映画生活 8/12(金) 11:22配信

映画『ジャングル・ブック』が日本でも公開されている。本作は、ラドヤード・キプリングの小説と、ディズニーの傑作アニメを基に、『アイアンマン』シリーズを成功に導いたジョン・ファヴローが映画化した作品で、ファヴロー監督はディズニー作品の精神を受け継ぎながら、自身の作家としてのカラーをフィルムに刻み付けている。

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本作は、ジャングルで黒ヒョウとオオカミに育てられた人間の少年モーグリが、人間への復讐に燃えるトラに出会うところから物語が始まる。トラから“人間はジャングルの脅威だ”と言われたモーグリは、自身の居場所、自身の進むべき道を求めて冒険に出る。映画化にあたって、主人公の少年以外の動物やジャングルをすべてCGで描く大胆かつ壮大な制作手法が採用された。

ウォルト・ディズニーが生前、最後に手がけたアニメーション映画『ジャングル・ブック』は、現在も愛され続けているが、ファヴロー監督は本作に着手する際に「アニメーションの制作手法を参考にした」という。「アニメーション制作は非常に予算がかかるので、彼らはアニメーションを作る前に、鉛筆でストーリーボードを描いて徹底的にストーリーを検証するんだ。CGアニメーションを手がけるピクサーも同じ手法を採用していたよ。近年、実写映画よりアニメーションの方が質が高いものが多い理由は、この手法にあると思うんだ。映画だと撮影して編集した後に追加撮影する部分は限られているけど、彼らの場合は、あらゆるアイデアを出して、考え抜かれたシーンだけで映画が構成されているんだ」

そこで彼らはストーリーボードを作成して、何度も何度も脚本を検証。納得のいくストーリーが出来上がった段階で、撮影に入ったが、スタジオで“演技指導”ができるのは、モーグリ役のニール・セディだけだ。そのため、ファヴロー監督は映画の完成まで、CGアーティストたちと話し合いを繰り返して、CGで描かれる動物たちを“演出”した。「アニメーターにはまず、実際の動物の映像を観てもらって、動物固有の感情を理解してもらったよ。たとえばネコ科の動物は顔だけではなくて全身で感情を表現する。一方、オオカミの感情表現で重要なのは眼なんだ」

ちなみに、本作は“少年以外はすべてCG”と説明されることが多いが、俳優としても活躍しているファヴロー監督が、モーグリ以外のすべての役を何らかの形で演じているため、正確には“少年とファヴロー以外はすべてCG”の作品ではないだろうか? 「その通りだよ! 世界中で取材を受けてきたけど、そのことを指摘されたのは初めてだよ。撮影現場では、主演のニールのリアクションを引き出すために、私が動物たちを演じたんだ。さらに、CGを制作する段階では、自分で動物のキャラクターの演技をしたものをアニメーターたちに観てもらったし、モーションキャプチャー用のスーツも着たよ! 動きのタイミングは口で伝えるのは難しいから、声優のセリフを流して、私が“口パク”をしながら演技をした映像を基にした場面もあるよ」

さらにファヴロー監督は、本作でも監督として長年に渡って描き続けてきたテーマを追い続けている。それは“主人公が現在の地位を捨てて、本当の自分の居場所を見つける”物語だ。「そのことも初めて聞かれたし、考えたこともなかったな。でも、確かにそうだね。僕の描く主人公はみんな“孤独”なんだ。そして、より大きなものの一部になれると、幸福を感じるんだ。(脚本を書き、出演もした)『スウィンガーズ』の登場人物は孤独だけど、誰かとつながろうとする。『エルフ ~サンタの国からやってきた~』もそうだね。『アイアンマン』ではエゴが強くて、利己的な主人公が、大きな世界とつながろうとする。でも、人間というのは、そういう風に成熟していくものではないかな? 我々はコミュニティの中で、自分よりももっと大事なものがあることに気づいていくんだ。この映画もそういう物語になっているよ」

『ジャングル・ブック』
公開中

最終更新:8/12(金) 11:22

ぴあ映画生活