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『キングダム ハーツ』シリーズ初のオフィシャルブラスバンドコンサートの東京公演が開催! テラとナミネの特別な会話シーンも!

ファミ通.com 8月12日(金)12時2分配信

文・取材:編集部 杉原貴宏、撮影:オフィシャル

●置鮎さん(テラ)中原さん(ナミネ)、野村哲也氏がゲストに登場
 スクウェア・エニックスの人気RPG『キングダム ハーツ』シリーズ初のオフィシャルブラスバンドコンサート“KINGDOM HEARTS Concert -First Breath-”が2016年8月11日(木・祝)から8月28日(日)にかけて開催される。その初日となる東京公演が8月11日、東京・池袋にある東京芸術劇場で上演。本稿では、その夜の部の模様をリポートします。

※ネタバレには配慮していますが、それでも気になる方はご注意ください。

 コンサートは二部構成で、第一部は『Destati』からスタート。『Destati』はゲーム中ではチュートリアルを兼ねる“めざめの園”で流れる曲で、コンサートのオープニングを飾るに相応しい曲。

 『Destati』の演奏が終わるとステージが暗転。上手からシリーズでナミネ役を演じてきた中原郁さんが登場し、ゲーム中のあるシーンのセリフを朗読するというサプライズ! 本コンサートでは、要所で朗読が演出として入り、『キングダム ハーツ』の世界によりいっそうドラマチックに浸れる構成に。生演奏と朗読――。ファンにはもう歓喜としか言えない内容です。


 2曲目の『Dearly Beloved』が終わると、ステージに『キングダム ハーツ』の作曲家、下村陽子さんが登場。「一作目の作品の作曲から15年くらい経つんですが、こんな晴れやかな日を迎えることができて、感極まる、という感じです」とまずは感謝の言葉を述べた。今回のコンサートの指揮と編曲を担当した和田薫氏は、『キングダム ハーツ』シリーズのオーケストラアレンジも手掛け、それ以来、下村さんとは長い付き合い。だが、下村さんは和田さんと『キングダム ハーツ』シリーズで関わり合いになる以前、高校時代の吹奏楽部時代から和田さんが作曲した『土俗的舞曲』がテープが擦り切れるほど聴き込んだほど大好きだったと“告白”。下村さんを虜にした和田さんが得意とする吹奏楽で、『キングダム ハーツ』の楽曲がどんなアレンジで演奏されるのか。ここもコンサートの聴きどころのひとつとなっていた。

 3曲目以降は『「キングダム ハーツ」フィールドメドレー』などのメドレー曲も演奏。テンポのいい曲は、吹奏楽ならでのはパワフルさがより強く感じられ、音に圧倒されるほど。
 そして第一部の最後は、『The Other Promise』と『Another Side』という、シリーズの中でも屈指の人気を誇る2曲。しかも『Another Side』では、置鮎龍太郎さんが登場し、“留まりし思念”のセリフを朗読。『キングダム ハーツII ファイナルミックス』に登場した留まりし思念は、声があたっていなかったので、留まりし思念としてのボイスの披露は今回が初。しかも、朗読の最後の言葉は新たに追加されたもの。


 休憩を挟んで第二部は『Gearing Up~Shipmeisters' Shanty~Blast Off!』から。『Destiny's Union』へ続き、その後、置鮎さん(テラ)と中原さん(ナミネ)による朗読。でも、テラとナミネはゲーム中では出会っていなかったような……。という疑問は『The Unknown』を含むメドレーの後、置鮎さん、中原さん、そしてシリーズのディレクターを務める野村哲也氏も参加したトークコーナーで解決。じつは、テラとナミネの会話エピソードは、本コンサートツアー用に書き下ろされたもので、『キングダム ハーツ HD 2.8 ファイナル チャプター プロローグ』に収録される『キングダム ハーツ 0.2 バース バイ スリープ -フラグメンタリー パッセージ-』に繋がるエピソードになっているという。コンサートに参加した人だけが知り得る、ちょっとした前日譚といったところ。気になる人は、参加者のTwitterなどの書き込みを検索してください。そしてトークコーナーは下記のコメントで締め括られ、いよいよコンサートも終盤に。

 「皆さんの記憶の中にあるナミネに少しでも近づけたらと思って演じました。吹奏楽の演奏とともに、最後まで楽しんでください」(中原さん)

 「最後にいつものやらせてください。アクアーーー! ヴェーーーン!!(叫び。会場大拍手)」(置鮎さん)

 「来年、『キングダム ハーツ』は15周年を迎えます。このコンサートを始め、イベントが目白押しです。『キングダム ハーツ HD 2.8 ファイナル チャプター プロローグ』ももう少しで発売されます(12月発売予定)ので、皆さんも15周年に向けて、いっしょに盛り上がっていただければ、ありがたいなと思っています。今日はありがとうございました」(野村氏)。

 トークコーナー後、『Musique pour la Tristesse de Xion』、『The Power of Darkness』を含むボスバトルメドレー、そして本編の最後は、締め括りに相応しい曲『March Caprice For Piano & Orchestra』。ああ、もうエンドクレジットが目に浮かぶようですよ……。

 万雷の拍手に迎えられて始まったアンコールでは、下村さんもピアノ演奏で参加。観客からは手拍子も起こり、会場が一体に。そして最後のアンコール曲が終わると、スタンディングオベーション。これまで、何度もゲームコンサートを取材してきましたが、拍手のテンポというか密度というか、「本当にすばらしかった!」という気持ちが滲み出ているかのような観客の反応。興奮冷めやらぬなか、シリーズ初のオフィシャルブラスバンドコンサートの初日は終了した。

 まるで、ゲームを最初から最後まで体験したかのような曲構成と、中身の濃い内容、そして吹奏楽の生の迫力。これから参加される方はぜひお楽しみに! 参加できなかった方は、来年のオーケストラコンサートに参加しましょう!


■セットリスト
<第一部>
1.Destati
2.Dearly Beloved
3.Traverse Town
4.Hand in Hand
5.Journey of KINGDOM HEARTS ※KINGDOM HEARTS フィールドメドレー
6.Lazy Afternoons
7.The Other Promise
8.Another Side

<第二部>
9.Gearing Up~Shipmeisters' Shanty~Blast Off!
10.Destiny's Union
11.The Unknown ※メドレー
12.Musique pour la Tristesse de Xion
13.The Power of Darkness ※ボスバトルメドレー
14.March Caprice For Piano & Orchestra

<アンコール>

●ゲームを遊んだ人が、それを追体験できる、ゲームプレイをなぞるような構成に
――まず、初日を終えての感想からお願いします。

下村 本当にすごくうれしいです。いろいろと大変だったことも全部消化されるというか、ただただ喜びと幸せをかみしめています。たくさんの方に協力していただいて、和田さんに全力の指揮とアレンジをしていただいて、私の作った音楽をたくさんの方が聴きに来てくれて、最高の幸せだと思います。ありがとうございます。

和田 とりあえずは初日が終わったところということで、「ふう~」という感じなのですが(笑)、お客様には喜んでいただけて、聞くところによると泣いていた方もいらっしゃったとか。1日2公演は大変ですが、たっぷりと『KH』の音楽にひたれるのは、指揮者・アレンジャー名利につきます。下村さんとは長い付き合いで、15年近くになりますか。走馬灯のように思い出が浮かんで、気持ちよく指揮をさせていただきました。

――編曲されるうえで大事にされたポイントを聞かせてください。

和田 オリジナルのオーケストレーションも僕がやっていたのですが、皆さんの持つゲームのイメージや原曲を大事に、生ならではの迫力が出るように……吹奏楽ならではの音圧、ライブ感が伝わるようにがんばりました。

下村 アレンジが完成した時点で、簡易音源で制作したデモを送っていただくんです。それで想像はしていたんですが、リハーサルで聴いた瞬間に「これが和田さんの頭の中で鳴っているんだ!」と驚愕しました。

和田 デモがヘタですみません(笑)。

下村 そういう意味じゃないです!(笑)。“想像を超えてくる”って、こういうことなんだなと。私も和田さんの曲やアレンジが好きなので、私の頭の中でも鳴ってはいるんですが、リハーサルで生になった瞬間、泣きそうになりましたよ。

――今回のセットリストは何を基準に決めたのでしょうか。

下村 ゲームを遊んだ方が、それを追体験できる、ゲームプレイをなぞるような構成にしたいと思ったんです。なので、ふつうのコンサートだと、トラヴァースタウンの曲をメドレーを含めて2回演奏する、ということはしないですが、今回はあえてやっています。哲さん(野村哲也氏のこと)も、「こっちの曲をやったほうがいいんじゃないか」と、監修してくださいました。

――朗読のパートも、野村さんが関わられているんですよね。

下村 そうですね、哲さんの「やりたい」という意志があって。それでイントロを調整したり……和田さん、ありがとうございました。

和田 何でも、ご要望にお応えします(笑)。

下村 哲さんは(朗読用の)エピソード書き下してくれたりもしました。ここまでディレクターの方が関わってくれるというのは、私の経験ではこれまであまりなかったことなので、とても恵まれたコンサートだと思っています。

――編曲するうえで、ブランバンドと相性のいい曲はあるのでしょうか?

和田 『Hand In Hand』のように、吹奏楽に向いている曲もありますし……。でもまあ、向いてないとやりませんよね(笑)。

下村 どんな曲も、和田さんマジックで吹奏楽の曲になっているんですよ。アコギがなくても、コーラスがなくても成り立っていて。すばらしいです。

――苦労した曲はありますか?

和田 全部、苦心はしてるんですけどね(笑)。でもとくに下村さんからはああしてほしい、こうしてほしいというのはなかったですし。

下村 メドレーはこんな感じに、という要望を出させていただいたのと、原曲のイメージは残してください、というくらいで。かけ離れているとかは……。

和田 そういうことはなかったですね。15年の付き合いですから(笑)。

――下村さんから見た、和田さんの曲、アレンジの魅力とは?

下村 アツいんですよね。舞台でもお話しした和田さんの曲(『土俗的舞曲』)は、一度聴いただけで、すごく耳に残ったんです。また聴きたくなるし、飽きない。これは何なんだろうと。

和田 そんなこと巨匠に言われると……。

下村 何をおっしゃっているんですか! やめてくださいもう(笑)。

――では、和田さんから見た下村さんの曲の魅力は?

下村 聴きたくない! 怖い!

和田 (笑)。やっぱりキャラクターがすごいというか。アレンジャーは料理人みたいなもので、何が来ても料理はするんですけど、素材がよくないとおいしい料理は作れない。下村さんはやっぱりピカイチです。独特の世界観があり、キャパが広いというのもあるし、『KH』は下村さん抜きには語れないですね。

下村 明日から私、ちょっと自信を持って生きていけそう(笑)。

――下村さんは曲作りにおいて、和田さんから影響を受けているのでしょうか。

下村 曲を分析して、「こういう感じのものを作ろう」というのは、私は一度もやったことがないんです。どれだけ好きな作曲家でも。ただ、曲を聴いて、これだけ“残る”ということは、どこかで絶対に影響を受けているだろうなと。……「影響受けてこれ?」って思わないでくださいね(笑)。

和田 いやいやいや(笑)。

――吹奏楽の観点からすると、フィールド曲のメドレーでは吹き分けが難しそうでしたが、練習のときはどうでしたか?

和田 このコンサート自体、かなり体力的に大変です。でもそれを超えてでも表現したい、というのをプレイヤーから感じます。吹奏楽ではあまりないタイプの曲ばかりなので、びっくりしたというのはありながらも、それがシエナ(・ウィンド・オーケストラ)さんにとっても刺激になったんじゃないですかね。

――メロディーラインがはっきりしていて、間違えられない曲が多いですよね。下村さんはアンコールでピアノを弾くとき、緊張しませんでしたか?

下村 ピアノを弾いたというか“戯れ”させていただいたというくらいなんですけど(笑)、いい思い出になりました。でも絶対失敗できないですよね。ああいうところで気が抜けてしまうと、すごく目立ってしまいます。和田さんには、「私でも弾けるようにしてください」とムチャぶりをしてしまいました(苦笑)。

――では最後に、今後のツアーや、来年のワールドツアーへの展望をお聞かせください。

下村 長くこの仕事をしてきていますが、私はシリーズもので続きを作らせていただく機会がなかなかなかったので、『KH』には思い入れがありますし、特別なタイトルだと思っています。今後もいろいろな方の期待を裏切らないよう、ファンの皆さんに喜んでいただける曲を作っていけるよう、がんばりたいです。ワールドツアーの曲はだいたい決まって、引き続き和田さんにアレンジで参加していただこうと思っていますので、生のオーケストラで、今回とは違う響きを楽しんでいただければ。ぜひワールドツアーに来ていただいて、ゲームも遊んでいただいて、いつになるかわらないですがサントラも買っていただいて(笑)、いっぱい『KH』の世界を堪能していただければと思います。

■野村哲也氏コメント
東京の昼・夜公演に出演しましたが、残念ながら私は全公演に出演するわけではありませんので、どこに出てどこに出ないのか、それもサプライズです……。

 じつは、今回のコンサートのセットリストや内容は、来年のワールドツアーのセットリストと同時並行で考えたもので、個人的には今回のブラスコンサートとワールドツアーで前後編のような構成で考えました。

 今回楽しめた方はまた次回もお越しいただいて、来られなかった方は次回こそ参加していただければと思います。

最終更新:8月12日(金)12時2分

ファミ通.com

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。