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小池知事、メイ首相……世界で誕生する「女性リーダー」 中国ではどうか?

ZUU online 8/12(金) 6:10配信

台湾では5月に蔡英文が総統に就任、イギリスでは7月にメイ首相が誕生、7月末日には小池百合子氏が東京の新知事に当選した。女性リーダーが注目されている。韓国の朴槿恵大統領、ミャンマーのアウン・サン・スーチー女史もいるが、彼女らは創業家の色彩が強い。またヒラリー・クリントンはアメリカ史上初の主要政党大統領候補に指名された。ともかく世界中で女性リーダーが躍進中なのは間違いない。中国人には何か感じるものがあるのだろうか。

■中国リーダーの必要条件

小池新東京都知事誕生に関する新聞記事は、極めて小さな扱いだった。女性初の首都知事が誕生した。自民党内部の葛藤の中で、無党派層と自民党支持者も取り込み大勝した。とあるだけで、いつもの批判的トーンはなく、寂しいくらいだ。中国人によく聞かれるのは、彼女に能力があるかどうかである。

昨年12月の台湾総統選前、中国やベトナムでビジネスを展開する台湾人男性は、蔡英文候補への不安をあからさまに述べていた。彼の発言には反中国姿勢の民進党という以外に、女だ、というフィルターも確かにかかっていた。しかし今やEUの盟主であるドイツのメルケル首相も、当初は不安視されていた。女性国家トップの歴史は、1960年スリランカのバンダラナイケ首相から始まったばかり、まだ半世紀しか経っていない。

中国では2000年以上にわたる王朝時代において、正式に最高権力者の地位についた女性は、唐朝を廃して自分の王朝を作った武則天ただ1人である。もう1人の有名女性、最後の王朝・清の西太后は、皇帝になる気はなく、愛新覚羅家という家を守ろうとした最強の主婦だった。

中国政治におけるトップリーダーの必要条件とは、ライバルを葬る豪腕である。現代でも政争には犠牲者が出る。王朝時代ならすさまじい血の雨が降った。これに耐えうる女性は、さすがに男性より少なかったのだろう。

■女性の最高ポストは政治局員兼副首相

中国共産党員は2014年末で8779万3000人、そのうち女性は2167万2000人で24.7%と約4分の1である。幹部になると、中央委員候補、中央委員、政治局員候補、政治局員、政治局常務委員と上っていく。

第18回党大会での中央委員候補以上はたった376人しかいない。そのうち女性は33人。政治局員は25人、女性は、劉延東(1945~)国務院副総理、孫春蘭(1950~)統一戦線部長の2人だけである。女性の割合は幹部になると10%以下に減ってしまう。

この劉延東と呉儀(1938~)が務めた政治局委員兼副首相というポストが女性の最高位である。最高権力層の政治局常務委員に上った者はいない。現役の2人も年齢からすると次期党大会(2017年)で政治局員に再任されないだろう。代わりに何人の女性が登用されるか注目される。本気で権力を取りにいった毛沢東夫人・江青(1914~1991)も政治局員止まりだった。

■女性の地位の近代史

近代以降、女性の地位はどう変遷したのだろうか。ネット辞書に「女権運動」という項目がある。それによると清末の19世紀後半、安徽省の才女・呂碧城による女子教育の提唱、女子学堂の設立を嚆矢とする。その後“知識婦女”たちの活躍により「女報」「女子世界」などの雑誌が創刊される。

1912年3月、辛亥革命で南京に中華民国臨時政府が樹立されると、同月に婦人参政権獲得に向けた激烈なデモンストレーションを行っている。その後広東省議会のうち10人を女性枠とするなど、具体的な成果も上げた。清末から中華民国までの動きは欧米の婦人解放運動と連動している。

1949年以降、共産党政権下での運動はどうか。すると1924年、上海で1万4000人の女工が参加したシルク工場の待遇改善ストライキを主導したのは共産党、と過去の功績を強調していた。1949年以降の記述は、1952年人民解放軍には11万人の女性軍人が所属していた、とあるだけだ。ここで欧米とは完全に分断された。

■ビジネスでは互角、家庭では王者?

共産党政権の大きな功績は、農地解放である。地主の使用人として、独身のまま一生を終えたであろう多数の男女が結婚できる社会になった。その結果、人口は、1940年の5億4000万人から1980年の9億8700万人へ激増している。その分主婦も増えた。そして働いても働かなくても収入の変わらない時代、家庭内権力は自然と主婦に集まった。彼女らの権力基盤は盤石だった。これが改革・開放前夜の状況だ。そして1990年代以降、男女は同等にビジネスシーンへ飛び出した。

昨年、中国の最も影響力のある女性経営者25人というランキングが発表された。トップは格力集団(電器)の菫明珠氏で、この人は抜群の知名度を誇っている。他にもファーウエイ(電子機器)の孫亜芳氏、アリババの武偉氏などが入り、最先端企業で活躍している。また中小企業ではさらに女性依存が強い。

共産党幹部では10%以下の存在に甘んじている女性だが、家庭では王者、ビジネスシーンでも互角で力の均衡は取れている。虐げられし女性というイメージも実態もすでにない。感覚もなさそうだ。中国女性たちは欧米のように言論ではなく、働いて現在の地位を築き上た。トップリーダーは少数でも実権はしっかり掌握している。名目は必要としていない。

今後を予測すると、男女平等社会を通り越し、世界初の実質女性上位社会が実現しそうに見える。特色ある中国社会主義の成果だろうか。(高野悠介、現地在住の貿易コンサルタント)

最終更新:8/12(金) 6:10

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北朝鮮からの脱出
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