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「GDP成長率とキャッシュレス化は比例する」一方で現金決済もまだ成長余地あり

ZUU online 8/12(金) 16:10配信

「グローバル・キャッシュ指数(GCI)」の西ヨーロッパ版が発表され、デビットカードやクレジットカード、仮想通などに押され気味の現金決済が、少なくとも今後4年間は成長を続けると予測されていることが判明した。その一方で「GDP成長率の高い国ほどキャッシュレス化が進み、GDP成長率の低い国ほど現金決済が主流のままである」という、興味深い指摘がなされている。

全体平均的としては成長速度は鈍化し、GDP(国内総生産)に対する割合は落ちこむようだ。

■現金決済率とGDP成長率の速度のバランスが崩れ始める

GCIは米決済情報サイト「PYMNTS.com」が、「決済手段として利用されている現金の未来」をテーマに、西ヨーロッパ15カ国(英、独、仏、伊、オランダ、オーストリア、ベルギー、スイス、フィンランド、スウェーデン、アイルランド、ルクセンブルグ、マルタ、ポルトガル、スペインをWU-15と称する)における現金の決済流通高を予測したものだ。

昨年WU-15で決済に用いられた現金は2兆1000億ユーロ(約237兆5812億円)。2010年からの5年間で0.3%増えており、2015年から2020年までにさらに0.7%成長すると見こまれている。

しかし同時期に15.4%の伸びを見せているGDPに対する割合は、今後1.8%減少。GDP自体は3.1%の上昇が期待され、現金決済自体も2兆2000億ドル(約248兆8946億円)に達すると見積もられているため、現金決済の成長速度がGDP成長速度に追いつかなくなることが予想される。

特にデビットカードの普及率が世界一といわれるドイツやオランダを始め、フィンランド、アイルランドなどでは、2020年には現金の成長率がマイナス2.2%から35.3%に達するようだ。

意外なことに、キャッシュレス化先進国、スウェーデンの現金決済成長率は5.9%と予測。。過剰なキャッシュレス社会化を懸念したスウェーデンの中央銀行が、「キャッシュ・サービスの提供を、決済用口座の必須事項として銀行に義務つける」という法的必要条件を、今年3月に財務省に要請したことが背景にあるのかも知れない。

■国民1人あたりのGDP成長率とキャッシュレス化は比例する

調査の対象となった2015年のデータでは、スペインの現金決済率が最高で29%を記録。次いでイタリア(22.3%)、ポルトガル(21.6%)、ドイツ(21.4%)、マルタ(20.9%)だ。
逆に15カ国中6カ国では10%をきっており、すでにスイスなどでは5%にも満たないことから、12.8%という平均値が2020年には9.8%まで落ちると見られている。

レポートの中では、経済発展国と成長が鈍化している国におけるキャッシュレスの進展に、大きな格差が広がる点も指摘されている。

国民1人あたりのGDPが高いWU-15カ国(スイス、ルクセンブルグ、アイルランドなど)の国民1人あたりの平均GDP成長率は4万1300ユーロ(約467万2430円)、現金決済の割合は10.3%であるのに対し、国民1人あたりの平均成長率が低い5カ国(スペイン、ポルトガルなど)では2万4200ユーロ(約273万7840円)で20.2%と、約2倍もの差があいている。

PYMNTS.comは、現金決済の正確なデータを把握している政府機関が少なく、決済として利用された現金の測定が非常に困難である点を指摘したうえで、キャッシュレス化の格差が、「経済的に発展した国ほど、デジタル決済に投資できる環境が整っている」のが原因ではないかと推測。

また経済大国ほど、キャッシュレス化への促進運動が盛んであることも、消費者の意識を現金から代替決済に向ける要因となっている。

しかし「バイクや車が出現した後も自転車が変わらず愛用されているように、代替決済とともに現金も利用され続けていくだろう」とPYMNTS.comは結論づけている。(ZUU online 編集部)

最終更新:8/12(金) 16:10

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