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【東南アジア経済】ASEANの製造業生産(8月号)~インドネシア・マレーシアは減速傾向に歯止めの動き

ZUU online 8/12(金) 17:00配信

16年6月のASEAN主要6カ国の製造業生産指数の伸び率(前年同月比)を見ると、昨年から緩やかに減速してきたインドネシアは同9.1%増(前月:同7.4%増)、マレーシアは同4.6%増(前月:同3.7%増)とそれぞれ上昇した。また中国からの生産拠点移転の動きが続くベトナム、統一選挙を終えたフィリピンは減速しつつも高い伸びを維持している。一方、足元で改善傾向が続いたタイとシンガポールは低下した。

インドネシアの16年4-6月期(*1)の製造業生産指数は前年同月比5.54%増(前期:同4.13%増)と、1年半ぶりの水準まで上昇した。

業種別に見ると、4-6月期は全23業種中13業種が前年同月比で上昇、10業種が低下した。主力のアパレルが同6.81%減(前期:同9.97%減)、輸送用機器が同4.85%増(前期:同0.82%増)、化学製品が同1.05%増(前期:同10.85%減)と上昇した。また医薬品が同12.21%増と、5四半期連続の二桁増を記録した。一方、食品加工が同5.17%増(前期:同5.28%増)、ベースメタルが同2.78%減(前期:同7.61%増)と低下した。

タイの16年6月の製造業生産指数は前年同月比0.8%増と、前月の2.7%増から低下した。足元は4ヵ月連続で増加しているものの、海外需要と国内の購買力の回復の動きは鈍く、昨年から続く一進一退の状況を脱し切れてはいない。

業種別に見ると、全21業種中9業種が前年同月比で上昇、12業種が低下した。6月は自動車が同7.8%増(前月:同18.5%増)と前月の新型車発売の反動で低下したものの、高い伸びを維持した。またエアコンとソーラーパネルの輸出の増加を受けて電気機械・器具(同7.8%増)も好調を維持するなど、一部では増加している品目もある。

しかし、食料・飲料(同2.5%減)、織物(同7.5%減)やアパレル(同16.9%減)、ゴム・プラスチック製品(同16.5%減)、ハードディスクを含むオフィス用機器(同9.3%減)と、幅広い品目で減少傾向にある。

6月の出荷指数は同0.8%増(前月:同4.1%増)と鈍化する一方、在庫指数は同0.2%減(前月:同1.2%減)とマイナス幅が縮小し、出荷・在庫バランス(出荷前年比-在庫前年比)は0.9%ポイント(前月:5.3%ポイント)と低下した。また6月の設備稼働率は66.3%(前月:67.5%)と、生産が鈍化した影響で小幅に低下した。

マレーシアの16年6月の鉱工業生産指数は前年同月比5.2%増と、前月の同2.8%から上昇した。

業種別に見ると、全体の7割弱を占める製造業が同4.6%増(前月:同3.7%増)と上昇し、電力は同8.7%増(前月:同9.6%増)と好調を維持した。また停滞が続く鉱業は同6.4%増(前月:同1.1%減)と大きく上昇した。

製造業の内訳を見ると、全23業種中20業種が前年同月比で上昇、3業種が低下した。主力のコンピュータ・電子・光学製品は同9.4%増(前月:同9.1%増)と好調が続いたほか、化学製品(同5.6%増)と石油製品(同5.1%増)、ゴム・プラスチック製品(同4.3%増)は堅調に推移した。一方、食品は同6.8%減(前月:同5.1%減)と引き続き減少した。

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(*1)インドネシアの製造業生産の業種別指数は四半期毎に開示されるため、ここでは4-6月期の結果について記述する。
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シンガポールの16年6月の製造業生産指数は前年同月比0.3%減(前月:同0.8%増)と、旧正月の影響でマイナスとなった2月以来のマイナスを記録した。年明けから好調が続いていた主力のバイオ医療が急落したことが全体を押下げた。

分野別に見ると、全体の約3割を占める電子製品は同19.7%増(前月:同5.3%増)と好調の半導体に加えてデータ・ストレージも増加に転じ、一段と上昇した。また精密エンジニアリングは同4.3%増(前月:同1.6%減)と半導体関連の機械・システムの輸出増加を受けて15ヵ月ぶりのプラスに転じた。一方、同じく主力のバイオ医療は同10.2%減(前月:同13.4%増)と医薬品原料の需要減を受けて低下し、6ヵ月ぶりのマイナスとなった。また化学は同5.1%減(前月:同0.8%減)と石油化学工場のメンテナンスに伴う操業停止によって低下した。輸送エンジニアリングは同17.2%減(前月:同16.9%減)と、油田開発用リグの建造の減少を受けて船舶・海運を中心に減少した。

フィリピンの16年6月の工業生産量指数は前年同月比8.5%増と、前月の同7.3%増から上昇した。選挙特需を背景とする年明けの二桁増からペースダウンしたものの、堅調な伸びが続いている。もっとも6月はドゥテルテ大統領が環境基準を満たしていない鉱山を閉鎖する方針を示したことがベースメタルの生産を大きく押上げた可能性がある。7月には、政府が鉱山の取締りを強化し始めたことから、ベースメタルの生産は今後低下すると予想される。

業種別に見ると、全20業種中10業種が前年同月比で上昇、10業種が低下した。石油製品が31.2%増(前月:同31.4%減)、ベースメタルが同76.9%増(前月:42.6%増)、輸送用機器が同39.8%増(前月:19.7%増)と大きく上昇した。また機械・設備(同34.0%増)は高い伸びが続き、化学製品(同4.1%増)は底堅く推移した。一方、全体の約2割を占める電気機械は同3.9%減(前月:同4.1%減)と低迷したほか、食品加工は同2.0%増(前月:16.1%増)と大きく低下した。

また6月の設備稼働率は83.5%と、前月(83.4%)から概ね横ばいとなった。

ベトナムの16年6月の鉱工業生産指数は前年同月比7.4%増と、前月の同7.8%増から低下した。依然として高水準を維持しているものの、上昇ペースは昨年7月をピークにやや鈍化している。業種別に見ると、製造業が同11.3%増、電気ガス業が同10.8%増、水供給業が同7.6%増と好調を維持しているものの、鉱業が同6.1%減と7ヵ月連続のマイナスとなって全体の重石となっている。

全体の7割を占める製造業の内訳を見ると、主力のコンピュータ・電子・光学機器(同19.6%増)をはじめ織物(同21.1%増)、アパレル(同9.5%増)、バイク(同12.9%増)など外国企業の投資が伸びている分野が堅調な伸びを続けるなか、干ばつの影響が和らいだ食品加工(同9.4%増)も平均を上回った

5月の製造業の出荷指数は同7.8%増と、これまでの二桁台の伸びに比べて鈍い動きが見られるなか、在庫指数は同9.2%増と小幅に上昇した結果、出荷・在庫バランス(出荷前年比-在庫前年比)は▲1.2%(前月:▲1.4%ポイント)ポイントと2ヵ月連続のマイナスとなった。

斉藤誠(さいとう まこと)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部

最終更新:8/12(金) 17:00

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