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世界のトップリーダーは、どんな休暇を送っているのか

ITmedia ビジネスオンライン 8月12日(金)7時48分配信

 8月7日、米国のバラク・オバマ大統領が夏休みに入った。

 オバマは、家族とともにマサチューセッツ州の人気保養地マーサズビンヤード島で休暇を過ごす。オバマ家は同島をかなりお気に入りのようで、毎年のように休暇に訪れ、ゴルフやサイクリングなどを楽しんでいる。

 もちろん、米国にいつ何が起きても対応できるように、休暇中も国家安全保障担当のスーザン・ライス大統領補佐官などが同島に滞在している。ちなみにオバマは休暇に大統領専用機エアフォースワンを使うが、同機を飛ばすのには1時間で20万ドル以上のコストがかかる。だが世界最強国のトップリーダーたるものは、しっかりと休暇を取るのも仕事のうちなのである。

 オバマに限らず、世界の指導者たちは一体どんな休暇を過ごしているのだろうか。

 休暇で最近話題になったといえば、カナダのジャスティン・トルドー首相だ。まだ43歳のトルドーはフットワークが軽いようで、メディアでは、首相がここ2週間の休暇中にあちこちに出没して一般観光客のSNS写真などに登場していると、面白おかしく報じている。7月末から東部ケベックで休暇を過ごしたトルドーは、観光地の洞窟(どうくつ)で上半身裸で歩いているのを一般客に見つかって一緒に写真に収まっており、その姿が話題になった。

 さらに8月初旬には西部ブリティッシュ・コロンビアで、トルドーがホエールウォッチングに参加しているところを発見されている。そこでも写真撮影に応じ、それがFacebookにアップされたことでニュースになった。またパーカーとキャップ姿でショッピングしている姿もネット上にアップされている。

 するとその数日後、ブリティッシュ・コロンビアのビーチでウェットスーツを半分脱いだ上半身裸でサーフボードを抱えて歩くトルドーの姿が、一般人のビーチウェディング写真の背景に写り込んでいたことが発覚。地元メディアでは、「レアなポケモンでなく首相があちこちに登場」や、「トルドーの驚くべき出没ぶり」などと書かれたりしている。

 トルドーは2016年5月に伊勢志摩で行われたG7伊勢志摩サミットの際も、オフをとって同行した妻と11回目の結婚記念日を祝うためにプライベート温泉のある旅館で1日を過ごした。トルドーは「こうしたワークライフバランスは、自分の国への貢献で最善を尽くすために基本的なことだと、私は繰り返し述べている。私たち皆が、ワークライフバランスを維持できるよう引き続き実行していくつもりだ」と語っている。

 ちなみにカナダは、首相のこうした公私混同には敏感で、カナダ地元紙はオフの費用は「自腹」であるとはっきりと報じている。

●国民から非難の嵐

 トルドーのように休暇を好意的に受け止められるケースもあれば、逆に非難を生むケースもある。例えば、フランスのフランソワ・オランド大統領だ。オランドは、フランス南部のカンヌが好きで、好きが高じて休暇のための別荘を3軒も所有している。だがオランドと言えば、社会党の大統領であり、そもそも富裕層の敵であることをウリにして庶民派をアピールしていたが、結局は別荘を所有するなど贅沢(ぜいたく)な生活をしていることがバレて叩かれた。

 そんなオランドは、2012年に南フランスにある大統領の保養地ブレガンソン要塞をバケーションで訪問。ビーチで当時のパートナーと戯れる写真がパパラッチされたが、就任から経済と失業率の高さを改善できる見込みも立たないなかでの優雅なビーチでの休暇に、国民から非難の嵐が巻き起こった。またその後もテロ事件などが続発したりして、オランドの評価はガタ落ちになり、フランス史上最低人気の大統領と呼ばれている。

 ちなみに2016年7月にも毎月の散髪に公費から1万1000ドルを支出していることが暴露されて批判を浴びたばかりで、現在、オランドの支持率はたったの12%ほど。つまり、国民の9割近くが大統領に不支持を示していることになる。

●度肝を抜くようなバケーション

 フランスつながりで言えば、度肝を抜くようなバケーションをフランスで送ろうとして顰蹙(ひんしゅく)を買ったトップリーダーがいる。サウジアラビアのサルマン国王だ。

 国王は2015年に南仏のコートダジュールで休暇を送ることになった。そして取り巻きなど1000人あまりの大所帯でフランス入りしたのだが、実はその準備段階から地元で大騒動になった。というのも、サウジ側が、国王の滞在する別荘の周囲で違法な工事を開始したり、国王が利用するとして一般向けのビーチと、ビーチまでの海域300メートルを立ち入り禁止にしたり、宗教的な理由かどうか分からないがビーチで泳ぐ姿を女性に見られないように警備担当の女性警官をビーチ周辺から立ち去るよう要請していたことが判明した。

 ビーチ封鎖については、それを知った地元民が、ビーチの私物化はフランスの法律違反だとして封鎖反対のキャンペーン活動を行い、15万人ほどの署名が集まった。だが地元のビジネス関係者は、国王一団は地元経済を活性化させるとして、逆に一行を歓迎する署名活動を行う事態になった。

 事実、国王一行は周辺のホテルを500部屋も予約していた。だが結局、国王歓迎の署名は400人ほどしか集まらず、またこうした一連の騒動により、一行は1カ月ほど滞在予定を早く切り上げ、1週間ほどでフランスを離れることになった。そしてもっと融通の利くモロッコで残りの休暇を過ごしたとみられている。

 サルマン国王ほどではないが、ロシアのウラジミール・プーチン大統領も「豪快な休暇」で知られる。といっても、こちらは大金が動くような景気のいいものではなく、プーチン様のナルシシズム全開な休暇である。国内各地で、アイスホッケーに興じたり、上半身裸で乗馬を楽しんだり、バタフライを泳いで見せたり、大型バイクを走らせてみたり、雪の中で愛犬と戯れる姿も公開している。お気に入りの観光地であるソチには、最近辞任を求める署名活動が行われて話題になっているドミトリー・メドベージェフ首相とよく出かけて、釣りや射撃などレクリエーションを楽しんでいた。

 とにかく、プーチンはまるでPRと自己主張のために休暇を取っているかのような状況になっている。

●非日常的なゆっくりとした時間を過ごす

 そのほかのリーダーでは、ドイツのアンゲラ・メルケル首相はイタリア・イスキア島の温泉で夫と一緒に過ごしたり、ウィンタースポーツで有名なスイスのサンモリッツでスキーを楽しんだりしている。日本の安倍晋三首相も、山梨県の別荘で、ゴルフやバーベキューをして過ごす。

 基本的には普段忙しく政策議論を行ったり世界各地で会議などに出席する首脳たちは、休暇を心身ともにリラックスするために使っているように感じる。プーチンは例外として、非日常的なゆっくりとした時間を皆過ごしているようである。

 まだ現時点では首脳ではないが、今話題の米大統領候補らの休暇はどんなものなのか。暴言が止まない不動産王で共和党指名候補のドナルド・トランプは休暇に「冒険」はしない。基本的には自らの所有するホテルやゴルフ場などで過ごすようだが、米ロサンゼルスに行けば、ハリウッドの超有名ホテルであるビバリーヒルズ・ホテルに滞在して過ごすという。そして観光地である高級ショッピングエリアのロデオドライブに行ってお気に入りの「グッチ」で買い物をするらしい。

 一方のヒラリー・クリントンは「不動産王」のような分かりやすい金持ちではないが、全米有数のリゾート地であるニューヨーク州ロングアイランドの高級リゾート、ハンプトンズがお気に入りだ。毎年のように訪れているハンプトンズでは、週5万ドルの賃貸別荘に滞在し、友人や家族とゆっくり過ごす。そして2014年に、クリントンが2度目となる大統領選に出馬を決意したのは、ハンプトン滞在中のことだったと言われている。

●迂闊に休暇を取れない

 ここまで世界の首脳らの休暇を見てきたが、国によっては首脳が休暇などでゆったり過ごすことが命取りになりかねない場合もある。

 例えば最近、クーデター未遂で世界的なニュースとなったトルコがいい例だ。クーデターの試みが始まったとき、レセップ・タイイップ・エルドアン大統領はトルコ南西部マルマリスで家族とともに休暇を過ごしていた。つまり、実質的な最高権力者であるエルドアンが首都アンカラに不在のタイミングを見計らって、クーデター作戦は遂行されたのである。

 不安定な国では、首脳が外遊や休暇で国や首都を不在にする際に、政権転覆を狙うクーデターなどが起きやすい。そういう国のリーダーは残念ながら、迂闊(うかつ)に休暇を取れないのだ。

 クーデターなど心配をせずにゆっくり休暇を過ごすためには、毎年のように高級リゾートでゆっくりとした時間を過ごすオバマなど先進国の首脳らに、国家のあり方についてアドバイスを受けるしかないのかもしれない。

(山田敏弘)

最終更新:8月12日(金)7時48分

ITmedia ビジネスオンライン

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