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ドローンやAIを駆使して40億人を救う Facebookが進めるネットインフラ構築とは?

ITmedia ビジネスオンライン 8月12日(金)10時59分配信

 宇宙ビジネスの世界に新たな巨大プレイヤーが加わった。

 17億人超のアクティブユーザーを持つソーシャルネットワークサービス(SNS)最大手の米Facebookが7月21日、ソーラーパワーで飛ぶドローン(無人航空機)「Aquila」のテスト飛行に成功したと発表した。背景には衛星、ドローン、AI(人工知能)などの最先端技術を組み合わせることで、地球の隅々までインターネットインフラを普及させるという同社のプロジェクトがあるのだ。

【Aquilaの概要】

●専門組織の立ち上げ

 Facebookがインターネットインフラ普及に関する取り組みを公表したのは3年前に遡(さかのぼ)る。2013年8月に通信機器大手の欧Nokia、欧Ericsson、半導体大手の米Qualcomm、スマートフォン大手の韓Samsung Electronicsとともに、世界のインターネット普及促進を目指した非営利団体「Internet.org」を立ち上げた。

 同社のマーク・ザッカーバーグCEOによると、同団体はインターネットインフラが十分ではない40億人の人々を対象に、世界的なパートナーシップを通して長期的な問題解決を行うことをビジョンに掲げている。同団体の発表によると、過去3年間の活動を通して2500万人の人々が新たにネットに接続できるようになったという。

 また、Facebookでは2014年にInternet.orgの一環として社内に「Connectivity Lab」というチームを立ち上げた。これはドローン、衛星、レーザーなどを活用して、地理的環境に左右されずインターネット接続を実現するための研究を行うチームだ。同組織には、高空域長期滞空無人機で定評のある英Ascenta、NASA(米航空宇宙局)のジェット推進研究所やエームズ研究所などのエキスパートも名を連ねている。

●ドローンを活用したネットインフラ構築

 同時期にFacebookはドローンメーカーとして著名な米Titan Aerospaceの買収を試みている。同社は「大気圏衛星」と呼ばれる高度約2万メートルを、着陸や燃料補給することなく5年間飛行可能なドローンを開発中だ。しかしながら、最終的には同じく新興国におけるインターネットインフラ普及の取り組みを進めているインターネット大手の米Googleが同社を買収することになった。

 2015年7月、FacebookはConnectivity Labの取り組みとして、「Aquila」と名付けた、高度1万8000メートルを3~6カ月間飛行可能なドローンとレーザー技術を活用したインターネット接続計画を発表。Facebook自身はISP(インターネットサービスプロバイダー)になるのではなく、ドローンおよび通信技術を世界の通信キャリアに提供し、既存の携帯電話網でカバーできていない人々がインターネットに接続できるようにするという思いがある。

 そして今年6月にはAquilaのフルサイズ版を活用してテスト飛行を実施。地上からエンジニアが遠隔操作して、当初想定していた3倍の時間に当たる約96分間の飛行に成功した。当面の開発目標は2週間の連続飛行を掲げているが、今後の課題として夜間に飛び続けるための電力確保、飛行中の電力消費量の抑制などが指摘されている。

●衛星データからAIで人口分布を解析

 さらにFacebookは将来のAquila運用に向けた準備も進めている。Aquila自身は遠隔操作も可能だが、飛行中は自動操縦を前提として開発されている。ドローン自体が効率的に飛行してレーザーを発するためには、インターネット接続環境にない地域における詳細な人口分布データが重要だ。

 しかしながら、新興国では詳細な人口統計データが存在しないケースも多く、同社は衛星画像データから建物の数などをカウントするなどして5メートル分解能の人口分布図を作製した。対象地域はアフリカ14カ国に、インド、スリランカ、メキシコ、トルコなどを加えた計20カ国、合計2160万平方キロメートル分に及んだ。

 ザッカバーグCEOによると、人口分布図作成のために合計で156億枚の衛星データをAIに解析させたという。なお、この人口分布図は他コミュニティーも活用することができ、インターネットインフラだけではなくて、エネルギーインフラ、輸送インフラなど多岐に渡る可能性がある。

●衛星を活用したインターネット接続サービス

 Facebookの取り組みはドローンだけではなく、衛星通信を活用したものもある。2015年10月には、大手衛星通信企業の欧Eutelsatと協力して、静止衛星「AMOS6」の回線をリースする形で、サブサハラアフリカ(アフリカ南部)における衛星インターネット接続サービスの提供を発表している。

 また、今年4月には大手通信衛星企業の欧SESの衛星回線をリースすることも発表した。さらにFacebookやニュースサイト「BBC」など基本的なインターネットサービスを無料提供する「Free Basics」を始めたり、Community Cellular Networksを提供する米Endagaを買収したりするなど、さまざまな技術とサービスを模索し続けている。

 新興国におけるインターネットインフラとしては、本コラムで何回か取り上げている米OneWebが数百機の衛星を活用した衛星インターネット網の構築プロジェクトを進めており、大手航空宇宙企業の欧AirbusやQualcommなども支援している。衛星、ドローン、レーザー、無線など各技術がしのぎを削り合うインターネットインフラの普及競争から目が離せない。

(石田真康)

最終更新:8月12日(金)10時59分

ITmedia ビジネスオンライン

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