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《白球の詩》投手の長所引き出す 前橋育英・森田健斗捕手

上毛新聞 8月12日(金)6時0分配信

 ベンチでみんなが泣いている。「これでほんとに終わりなんだ」。思わずつられそうになりながら、必死に我慢した。それでも、二人三脚で指導してくれた清水陽介コーチを目の前にすると、「すみません」。これ以上は言葉が詰まって出てこなかった。

 昨年12月に右肩を痛め、全くボールが投げられなくなった。「キャッチャーとして仕事ができない。迷惑をかけるだけ」と1度はマネジャーへの転向も考えた。荒井直樹監督からの励ましもあり、踏みとどまったが、冬場の練習は投げる動作はほとんどしなかった。

 不安を抱えて迎えた春。練習試合で全く勝てなかった。「焦っていた。肩が悪いから、ランナーばかり気にして、バッターとか投手のことは二の次だった」と振り返る。配球を深く考える余裕もなく、悪循環が起きていた。

 「自分の事しか考えていない。だから負けるんだ」。選手時代は捕手だった清水コーチから厳しい言葉をかけられ、目が覚めた。熱い指導に必死で付いていった。

 一番意識を変えてくれたのは、清水コーチとやりとりを続けた「キャッチャーノート」。公式戦だけでなく、練習試合や紅白戦から1試合ごとに2ページ分を埋めた。

 まず「投手の良かった、悪かった部分」を冷静に振り返り、「相手打者の特徴と結果」を1打席ずつ分析。さらに「どんな配球で、どんな試合の流れになったのか」と根拠を持って説明し、最後に試合で感じたことをまとめた。

 「だんだん自分の思ったように試合が進むようになって、キャッチャーが楽しくなった」。積み重ねたページの分だけ、間違いなく力になっていった。春の関東大会では、準々決勝から毎試合、違う3投手が完投勝利。層が厚い投手陣の頑張りはもちろんだが、それぞれの長所を引き出した女房役の手腕を存分に発揮した結果だった。

 大会後、清水コーチからキャッチャーノートとは別に手紙をもらった。「森田の成長があったから、優勝できた。関東王者になったから、次は日本一のキャッチャーになろう」。目標が明確になり、これまで以上に気合が入った。

 厳しかった群馬大会を勝ち抜き、甲子園で迎えた初戦。七回に嘉手納の強力打線を前にエース佐藤優人の制球が定まらなくなった。「タイミングをずらしたりして、なんとかしようと思ったけど、うまくいかなかった」と大量点を与え、反撃できずに終わった。

 試合後、泣いて謝ると清水コーチが言葉を掛けてくれた。「この舞台に一回でも立てたんだから、経験を生かしてほしい。自分の夢に向かって頑張ってくれ」。心は決まった。「プロ野球選手になる」。必ず恩返しをする。(越谷奈都美)

最終更新:8月12日(金)6時0分

上毛新聞

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