ここから本文です

鴻海のシャープ出資完了へ。「日台連合」に勝機はあるか

ニュースイッチ 8/12(金) 9:01配信

ディスプレーの2本柱は再生の象徴

 台湾・鴻海精密工業によるシャープへの出資が12日にも行われる見通しになり、ようやく経営再建が動き出す。特に最大の課題である液晶事業の立て直しをどのように進めていくのか。ディスプレイーパネル戦略はシャープ再生の鍵を握る。さらにモノのインターネット(IoT)、家電、電子部品などシャープの既存事業にはシナジーを期待できる分野が多く、シナジーをどう描くか。「日台連合」の勝機を探る。

 「ディスプレー産業は競争の土俵が変わるタイミングに来ている」(郭台銘鴻海会長)。シャープと鴻海は有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネルを18年までに量産化して米アップルの新型アイフォーン向け受注を狙う計画だ。

 シャープは17年内に、鴻海と共同運営する大型液晶工場「堺ディスプレイプロダクト」(SDP、堺市堺区)で有機ELパネルの少量生産を始める計画。三重工場(三重県多気市)で有機ELパネル製造の前工程である回路基板を生産し、SDPでパネルに仕上げる。

 18年に計画する本格量産は、亀山工場(三重県亀山市)の活用を検討。ただ、亀山工場は液晶パネル製造も継続するため本格量産時は鴻海グループの工場を活用する可能性もある。

 アップルのスマートフォンを組み立てる鴻海。アップルに液晶パネルの納入実績を持っているシャープを買収しサプライヤーとしての地位向上を狙う。シャープを通じて有機ELパネルを供給することは、アップルから与えられた課題でもある。

 ただ、アップルはスマホで競合する韓国サムスン電子の有機ELパネルを17年から一部機種に採用するとみられるほか、時計型ウエアラブル端末には韓国LGディスプレー製をすでに採用済み。

 スマホなど携帯型端末のトレンドリーダーであるアップルが有機ELパネルの採用を広げれば、他の端末メーカーでも液晶からの置き換えが急速に進む可能性がある。シャープの有機ELパネル量産が市場の拡大期に間に合わなければ、上位メーカーの生産能力を補う調整弁の地位しか得られなくなる。

<「有機ELよりもコストに優れるIGZOを押したい」>

 そこで郭鴻海会長が考えるもうひとつの戦略はシャープが量産し、アップルの最新タブレット型端末に採用された液晶パネル「IGZO」の拡大だ。郭会長は「OLED(有機EL)よりもコストに優れるIGZOを押したい」との方針。

 過去のベータとVHSのビデオ規格競争を引き合いに「技術よりビジネスで勝敗が決まることもある」として、グローバルに広がる販路を生かし、まずIGZOを伸ばす考えだ。

 シャープは今後、IGZOを生産する亀山工場に600億円を投資して、中型液晶の高精細化や生産能力増強に充てる計画。IGZOは円形などさまざまな形をつくれる「フリーフォームディスプレイ」など自動車や産業分野向けの製品開発も進んでいる。

 カメラデバイスと組み合わせてシステム提案できれば安定受注につながる可能性もある。ただ、IGZOはまだシャープしか量産しておらず、採用メーカーが複数調達先を確保できないという課題もある。

 有機ELとIGZO。シャープ・鴻海の日台連合が進めるディスプレーパネル戦略の2本柱は、有機ELで先行する韓国勢、最新鋭の液晶工場を次々立ち上げる中国勢、ジャパンディスプレイとJOLEDの日本勢との競争に打ち勝つことができるのか。シャープ再生の最大の鍵となる。

1/3ページ

最終更新:8/12(金) 9:02

ニュースイッチ

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。