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”不治の病”も変わりゆく―時代を映す「映画にえがかれた病気」

dmenu映画 8/12(金) 10:00配信

「病と向き合うこと」は、人類が抱える普遍的な課題です。葛藤や苦悩の先に、生きる意味を見つめたり、あるいは、大切な何かに気付いたり…。そこには、破壊と再生の物語があり、人と人が織り成すヒューマンドラマがあります。それゆえに、古くから映画の題材としても取り上げられ続けてきたのです。
こうした『病を扱った映画』ですが、現在から過去の作品を遡っていくと、それはあたかも、時代を映す鏡のように機能しているのが分かります。中には、広く知られていない病気の認知に繋がり、社会貢献・道徳教育の役割を果たしたケースも。ここでは、そんな時代によって変遷していく「病を扱った映画」を紹介していきます。

1:醉いどれ天使(1948年公開)⇒肺結核

黒澤明が監督を務めた本作が公開されたのは、終戦間もない昭和23年。主演に抜擢された三船敏郎が、肺結核に冒された破滅的な生き方をするヤクザ役を熱演し、一躍スターの仲間入りを果たした作品です。 戦前は「国民病・亡国病」と呼ばれて恐れられていた肺結核。映画公開から3年後の昭和26年に結核予防法が制定され、抗生物質(ペニシリン)を用いた化学療法が普及して以降、「治る可能性が高い病気」になりました。

2:『生きる』(1952年公開)⇒胃がん

こちらも、クロサワ作品。『醉いどれ天使』から4年後、本作公開の前年に結核予防法が制定されて治療法が確立したことが、もしかしたら、志村喬演じる主人公の病名を「胃がん」にした理由かもしれません。 現在なら早期発見して切除したり、ステージが進行していたとしても化学療法などで延命措置もできるのでしょうが、本作ではそういった込み入った治療の描写はありません。あくまで手の施しようのない「不治の病」として描かれています。

3:『私を抱いてそしてキスして』(1992年年公開)⇒エイズ

80年代にアメリカで存在が明らかになったエイズ。南野陽子が患者役を熱演した本作は、日本映画で初めてエイズ問題を真正面から取り扱ったヒューマンドラマです。 当時、あまり知られていないその実態や症状が分かりやすく伝わるような内容になっており、病への過度な偏見・誤解を解くことにも貢献。結果、日本映画で初めて、厚生省(当時)の推薦を受ける作品となりました。

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最終更新:8/15(月) 14:04

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