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“内縁の夫”連続不審死事件を予言!? 婚活シニアを絶望させた小説が映画化!

dmenu映画 8月12日(金)14時29分配信

文=新田理恵/Avanti Press

“内縁の夫”となった男性が相次いで不審死。生前、夫に公正証書を書かせていた妻は、多額の遺産を入手していた――。昨年、関西で発覚したこの事件。まだ記憶に新しい人も多いのではないか。この事件が世間を賑わせていた頃、サスペンス好きの実家の母が電話口で「本物の刑事さん見たで!」と嬉しそうに自慢してきたことがある。実家のある関西の田舎町にも被害に遭った人がいるらしく、一帯を聞き込みに回っていた刑事さんの来訪を受けたのだ。犯人の女と同世代の母は、その手練手管について「スゴいわ~」と感心しきり。そして「男って、アホな生き物やなぁ」と物知り顔で(見えないけど)乱暴に結論づけたのが妙に可笑しかったのを覚えている。もちろん、被害者にとっては笑い事では済まされないが、悪事を重ねたこの女を軽蔑しきれないのは、一体なぜなのだろう。

先は短くとも魅力的な女性と幸せな生活を送りたい!?

映画『後妻業の女』の原作となった小説「後妻業」(黒川博行著/文藝春秋刊)は、この連続不審死事件が発覚した当時、「事件を予言していた!」と話題になった。

物語の主人公は、60代の小夜子(大竹しのぶ)。財産があって、お迎えも近そうな男性に近づいては、色香と機転の利いた話術で籠絡し、後妻に入って遺産を巻き上げる「後妻業」の女だ。彼女の“狩り場”は、いかにもカネにがめつそうな風貌の柏木(豊川悦司)が所長を務める結婚相談所主催の婚活パーティー。80歳の中瀬(津川雅彦)もパーティーで小夜子に出会い、その魔性におちた。たとえ老い先短くとも、魅力的な女性と幸せな生活を送りたい。中瀬はそう願って小夜子を内縁の妻として迎え入れるのだが……。

金持ちシニアを騙す悪女の言い分

シニアの独身男女が集う婚活パーティーのシーンで、背広姿のちょっと気取った男が、照れ隠しなのか、結婚自体にはさほど関心がない風を装って“建て前”を言う。「ただお茶を飲んで楽しく話せる相手がほしいのだ」と。嗚呼、哀しい男たち。そんなの、女からしてみれば、ただデートするだけなら、もうちょっと若くてキレイな男のほうがいいに決まっている。

もちろん、全員がそうとは言わないが、シニア女性が婚活して切実に求めるものは現実。余生を不安なく過ごすための「カネと家」だ。「妻に先立たれて寂しい」「女性のパートナーがほしい」(できることならキレイな女と触れあいたい)などなど、「色欲」を満たしてくれた上に「身の回りの世話」をしてくれる女を求めるちょっと夢見がちな男性陣の“本音”とは求めるものが違うのだ。

柏木は言う。「ジジイを騙すのは功徳や」と。えげつない言葉ではあるが、この映画を観ていると、あながち間違ってないのかも…という気持ちにさせられる。柏木に言わせると「罪悪感のなさはピカイチ」の小夜子は、「しばらくええ思いさせたったんやから、ええやろ?」とでも言うように、“遺言公正証書”を作らせて財産をガッポリいただいていく。被害者たちも孤独ゆえか、多少の疑いを抱きながらも、甘んじて小夜子の掌で転がされる。そんな余生もまた、決して不幸ではなかったのかもしれない。

そんな奇妙なWin-Win関係を築きながら、カネと欲にまみれた男と女は、人生のフィナーレ目指して突き進む。世知辛い世の中で、その必死の姿は滑稽ながらも、どこか愛おしい。

dmenu映画

最終更新:8月12日(金)14時29分

dmenu映画

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。