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ドガの肖像画に隠された「別の女性」、豪研究で詳細判明

AFPBB News 8/12(金) 10:33配信

(c)AFPBB News

【8月12日 AFP】仏印象派画家エドガー・ドガ(Edgar Degas)による肖像画「Portrait de Femme(女性の肖像)」の下に隠されていた別の女性の絵について、その詳細が初めて明らかになった。この女性は、当時フランスの画家たちに人気の高かったある女性モデルとよく似ているという。研究者らが4日、発表した。

 この隠されていた女性は、19世紀のフランス画家たちのお気に入りのモデルだったエマ・ドビニー(Emma Dobigny)とみられる。ドガは、ドビニーが描かれたキャンバスを上下逆さまにして、新たな絵をその上に制作した。

 今回の発見について、同絵画作品が収蔵されている豪ナショナル・ギャラリー・オブ・ビクトリア(NGV)の修復担当者は「非常にわくわくする発見だ」とコメントしている。

 作品に隠された別の女性の絵の存在については1920年ごろから知られていた。時間の経過とともに、あいまいでぼやけた人の顔が徐々に現れ始め、後に描かれた女性の顔部分に、濃い色合いの「染み」として広がった。

 塗りつぶされた元々の絵を調べるこれまでの試みでは、かすかな輪郭がわずかに判明していただけだった。

 英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に発表された研究論文によると、上の画に損傷を与えずに「下の絵」について知ることは不可能と長らく考えられていたとされる。

 今回、研究のために作品が持ち込まれたのは、豪ビクトリア(Victoria)州にある研究施設「オーストラリア・シンクロトロン(粒子加速器、Australian Synchrotron)」。蛍光X線分析法と呼ばれる技術を用いて「下の絵」について調べた。高分解能撮像の技術は、諸研究やセラピー、法医学的分析の分野でも利用されている。

 研究では、新たに判明した女性の絵とその他既存の絵画作品と比較し、この絵が、当時の人気モデルのドビニーを描いた「未知の肖像画」である可能性が高いと結論付けた。

■「画家の筆遣い」も

 1869年から1870年にかけてドガのモデルを務めたドビニーは当時16歳だった。仏ルーブル美術館(Louvre Museum)の元館長も、この顔の主がドビニーであることは「おおいにあり得る」としている。

 だが、キャンバス上で彼女に取って代わった黒い服を着た女性については、氏名不詳のままだ。この作品は 1876~1880年ごろに制作された。

 研究者らによると、「Portrait de Femme」は、新たに下地を設けずに制作が開始されたため、薄く塗られた油性絵具の「隠ペい力」の弱まりとともに、ドビニーの姿が透けて現れたのだという。

 研究者らは、シンクロトロンを使い、顔料に含まれていたヒ素、銅、亜鉛、コバルト、水銀といった様々な金属元素ごとにキャンバスの「地図」を11点作成した。

 これら元素の地図を重ね合わせると、「下の絵」の細部にわたる再構成が得られ、そこには画家の筆遣いさえも見て取れた。色彩だけは推測によるものだ。ドビニーの髪の一部に見られる「ぼやけ」については、ドガが何度か作り直した跡だという。

 研究チームは、「隠れていた絵からは作品と画家についての重要な洞察が得られる」と述べている。10日撮影。(c)AFPBB News

最終更新:8/12(金) 17:14

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