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フィッシュマンズのライブの絶対的な魅力を実感する、貴重な記録…『LONG SEASON ’96-7 96.12.26 赤坂BLITZ』(Album Review)

Billboard Japan 8月12日(金)11時35分配信

 2011年にFISHMANS+としての新たなプロジェクトをスタートさせて以降も、フィッシュマンズは断続的にライブ出演を行い、結成25周年を迎えているこの2016年には、実に11年ぶりとなるツアー「LONG SEASON 2016」(東名阪)を先頃完遂させた。9月には、彼らの残してきたオリジナル・アルバム8作(初リマスター&高音質CD)が、ポニーキャニオンとユニバーサルから揃ってリリースされる予定だ。

 少し時間を遡る話題となってしまうのだが、今回のツアー前にリリースされたライブ・アルバム『LONG SEASON ’96-7 96.12.26 赤坂BLITZ』について触れておきたい。タイトルに記された日付どおり、当時衝撃をもたらした1トラック・アルバム『LONG SEASON』のツアーの一夜を収めている。のっけから佐藤伸治による身体の表裏をひっくり返すようなシャウトが響き、HONZIのヴァイオリンの旋律が天を衝くように立ち上るなど、現在ではすでに地上を去っているミュージシャンたちの息遣いもヴィヴィッドに感じられるアルバムだ。

 ライブでの絶対的な魅力が当時から語り草となっていたフィッシュマンズだが、ライブ音源作品というのは限られた数しか残されていない。フルのライブ・アルバムというと、柏原譲脱退時の音源であり、結果的には佐藤の生前最後のライブとなった『98.12.28 男達の別れ』のみであった。ライブ録音された音源をもとに制作された『8月の現状』もあるが、基本的にはスタジオ作はスタジオ作、ライブはライブとして、それぞれにクオリティを突き詰めようとした姿勢が伺える。今日になってみると、やはり今回の『LONG SEASON ’96-7 96.12.26 赤坂BLITZ』は、ファンにとって極めて貴重な記録なのである。

 陶酔感溢れるダブ/ロックのサウンドにメッセージが伝う名曲“バックビートにのっかって”や、ファンキーかつアップリフティングな“Smilin’ Days, Summer Holiday”はもちろん、余りにも夢見心地な“エヴリデイ・エヴリナイト”や“夜の想い”も素晴らしい。現実の視界をぐにゃりと捻じ曲げ、常識の価値観に直接揺さぶりをかける力が、計り知れない優しさと残酷さが、フィッシュマンズの表現にはあった。

 そして極めつきはやはり、40分越えの壮大なサウンド・アドヴェンチャー“LONG SEASON”である。辣腕メンバーと、今日に至るまで絶大な信頼を置かれ続けるダブ・エンジニア=zAkが、ライブから約20年の時を経て再びリスナーを誘うのだ。願わくば、現在進行形のフィッシュマンズによるライブ・アルバムも、ぜひリリースして欲しいところ。(小池宏和)

◎リリース情報
『LONG SEASON ’96-7 96.12.26 赤坂BLITZ』
2016/06/29 RELEASE
UPCY-7147 3,300円(tax in.)

最終更新:8月12日(金)11時35分

Billboard Japan

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。