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金藤「やめるんじゃ。勝てんのんじゃけ」姉妹の絆でつかみ取った金メダル

デイリースポーツ 8月13日(土)6時4分配信

 「リオ五輪・競泳女子200m平泳ぎ・決勝」(11日、五輪水泳競技場)

 女子200メートル平泳ぎ決勝で、日本競泳陣の主将を務める金藤理絵(27)=Jaked=が、2分20秒30で金メダルを獲得した。競泳女子で日本の金メダリストは5人目で、この種目では1936年ベルリン五輪の前畑秀子、92年バルセロナ五輪を日本勢最年少の14歳で制した岩崎恭子以来3人目。日本競泳女子で表彰台に立った最年長選手になった。

 何度も挫折しそうになった。どん底からはい上がって8年ぶりに戻った五輪の舞台で、金メダルをつかみ取った。4年前の五輪選考会でまさかの敗退後、金藤は一度は引退を決めた。思いとどまらせたのは、姉が自身の結婚式で企画したサプライズの応援メッセージだった。

 レース後「いろんな(ことがあった)8年間だった。コーチや仲間、家族に応援してもらえたから、世界の頂点を狙ってこられた」と感謝した。

 小学生の時、姉前岡由紀さん(31)を追うように水泳を始め、姉の専門だった平泳ぎを自然に覚えた。父宏明さん(61)は「由紀について行こうと必死だった」と話す。

 大学2年で出場した北京五輪は7位入賞。4年後のロンドンで飛躍を目指したが切符をつかめず、どん底を味わった。高校まで指導した藤田和恵さん(51)が送ったメールにも反応がなかった。返ってきたのは約3週間後。「ゆっくり考えます」という内容だった。

 2013年8月の世界選手権は4位。しばらくして家族に伝えた。「やめるんじゃ。もう勝てんのんじゃけ」。理由を問う父に初めて強い言葉で言い返し、電話にも出なくなった。姉の目には「結果に満足できていないけど、やめたい。でも両親やコーチはまだ泳げると言うから、自暴自棄になっている」と映った。

 その年の11月、由紀さんの結婚式があった。「新郎新婦から、ある方にサプライズがあります」。スクリーンには力泳する金藤の姿が映し出された。小さい頃の水泳仲間たちに続き、加藤健志コーチ(50)も「何があっても最後まで投げ出さずに、力を合わせてあるいていこう!」とメッセージを寄せた。

 涙を流して映像を見つめた金藤。式が終わると吹っ切れた様子で姉に伝えた。「続けにゃ、いけんじゃん」

 諦めずに重ねた努力が、金メダルに結実した。「うれしい気持ちと、ここまで待たせてしまってすみませんという気持ち。お待たせしました」と金藤。スタンドで応援した宏明さんは「親から見ても立派。ご苦労さん」と温かい拍手を送った。

最終更新:8月13日(土)7時17分

デイリースポーツ