ここから本文です

水谷、卓球個人種目初メダル 大好きだった天国の祖父へ

デイリースポーツ 8月13日(土)6時4分配信

 「リオ五輪・卓球男子シングルス・3位決定戦」(11日、リオ中央体育館)

 男子シングルスが行われ、準決勝で敗れた世界ランク6位の水谷隼(27)=ビーコン・ラボ=は、3位決定戦で同9位のウラジミール・サムソノフ(40)=ベラルーシ=を4-1で下し、3度目の五輪挑戦で個人種目では男女を通じて初めてとなる銅メダルを獲得した。男子では団体も含めて初のメダル。日本男子をけん引してきたエースが、歴史の壁を打ち破った。

 一番のファンからの熱い声援は、今はもう聞こえない。水谷の祖父鈴木暁二さんは、長生きしてリオデジャネイロに行くと言いながら、2014年に82歳でこの世を去った。

 静岡県磐田市で過ごした少年時代、卓球指導者の両親は厳しかった。水谷はいつも近所の鈴木さん宅に逃げ込んだ。孫にすぐお小遣いをあげる優しいおじいちゃんだった。

 水谷は祖父を「世界一尊敬している」と話し、ユニホームの袖に鈴木さんが経営していた自動車部品販売会社のロゴを入れた。「隼が弱音を吐いてくる」。親しい知人にそう話す鈴木さんは、とてもうれしそうだった。

 13年の夏、鈴木さんに肺がんが見つかった。水谷は医師を探し回復を願う一方、鈴木さんのかねての願いをかなえることにした。

 14年1月、東京で開かれた全日本選手権。「1度ベンチコーチをしてみたい」。その願いが実現した。抗がん剤治療中だった鈴木さんは、一時退院して会場へ。鈴木さんはコートのそばに立った。その5カ月後、容体が急変し、亡くなった。

 母万記子さん(54)は、ベンチコーチをしている鈴木さんの写真を手に観客席から応援。孫の姿を、天国の鈴木さんも見守ったことだろう。

最終更新:8月13日(土)8時57分

デイリースポーツ