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【体操】世紀の大逆転劇を演じた内村 世界中から称賛の声

東スポWeb 8月13日(土)10時5分配信

【ブラジル・リオデジャネイロ11日(日本時間12日)発】リオ五輪体操男子団体及び個人総合で金メダルを獲得し、2冠を達成した内村航平(27=コナミスポーツ)が“真の実力”を世界に示した。体操史に残る世紀の大逆転劇を演じて王座を防衛したキングには、日本国内だけでなく世界中からも称賛の声が続出。ライバル選手たちによる内村の“神格化”も進む一方で、内村としても4年後の東京五輪に向けてまだまだ意欲を燃やす材料となりそうだ。

 10日(同11日)の個人総合決勝で見せた内村の奇跡の大逆転劇は世界に大きな衝撃を与えた。各国の主要テレビ局がトップ扱いで報道。体操競技において個人総合連覇の難しさ、偉大さが証明された結果となった。

 一夜明けた11日には、リオ市内のジャパンハウスでメダリスト会見に登場。予選、団体決勝、個人総合と計18種目をこなし「ブラジルでずっと気持ちを維持してきて、ただただしんどかった。個人総合で、3回目の五輪にして初めてノーミスの演技ができた」と充実感に浸った。

 体はボロボロ。最終種目の鉄棒で腰を痛め、演技直後は歩くのも困難だったという。現在も「痛みがかなりある状況」(内村)だが「気持ちは切れていない」と種目別床運動への戦意は衰えていない。今大会3冠達成も現実的だ。

 そんな内村に高校時代から親友の山室光史(27=コナミスポーツ)も感嘆。「団体決勝が終わった後、(加藤)凌平が良い演技をしたので『こいつ、バケモノだな』とみんなと話していたんです。でも、航平の個人総合の演技を見たら『やっぱり一番は航平がバケモノ』ということで話は収まりました」というエピソードを明かし、会見場を沸かせた。

 こうした笑い話が出るのも、内村へのリスペクトがあってこそ。そんな空気は体操界全体に流れている。

 個人総合決勝後に行われた会見で「審判から好意的に見られているのでは」と採点への批判ともとれる質問が飛んだ。最終種目の前の時点で内村は首位のオレグ・ベルニャエフ(22=ウクライナ)から0・901点差の2位。逆転は不可能かと思われた中で内村の鉄棒の得点は15・800点。後に演技したベルニャエフはやや乱れがあったとはいえ、15点台は堅いと思われた。だが、ベルニャエフの得点は14・800点止まり。これに疑問を持つメディアもいたわけだ。

 これに対し、内村は「全くそんなことは思っていない。どんな選手も公平にジャッジされている」と冷静に答えたが、この質問に内村以上に憤りを見せたのは意外にも敗れたベルニャエフだった。

「点数をつけることはフェアで神聖なもの。内村はキャリアの中で高い点数を取ってきた。今の質問は無駄だと思う」と“内村びいき”との見方を完全否定。周囲から喝采を浴びた。美しい体操を提唱し、実践してきた内村は現在の体操界のレベルを上げた。それは他国の若い選手たちほど実感しており「若い選手はみんな内村に憧れている」(ベルニャエフ)。だからこそ敗者の言葉も称賛されたわけだ。

 この言葉を聞いた内村が「僕とは違い、全て(の種目)を高難度でやりきる。もう個人総合ではオレグにかなわない」とベルニャエフをたたえたのも、器の大きさを示すもの。内村は4年後の東京五輪での団体2連覇はもちろんのこと、体操の歴史に絶対王者の名を刻むことにも意欲を見せている。床運動か鉄棒で新技を開発し「ウチムラ」の名前をつけることが目標だ。

 それを達成するには体のケアはもちろん、気力の持続という壁も立ちはだかる。だが、今回のライバルたちの声は、内村に力を与えるのは間違いない。体操界はまだまだ内村を中心に回っていくことになりそうだ。

最終更新:8月13日(土)10時5分

東スポWeb